消化器外科の看護師の業務内容・役割。求人見つけ前にわかる業界おまとめ!
「消化器外科」は、単に「外科」という名前を使っているところもあれば、「食道胃外科」、「胃腸外科」、「肝胆膵外科」といった名前にしているところもあります。
「外科」の場合は、消化器外科以外のこともあります。それ以外のここに挙げたものはすべて「消化器外科と同じ」と考えていいでしょう。
目次
1.消化器外科とは
消化器外科で扱う主な疾病を臓器別に見ると、次のようになります。
食道=食道がん
胃・十二指腸=胃がん、胃十二指腸潰瘍穿孔
胆道・胆嚢=胆道がん、胆石症、胆嚢ポリープ、胆嚢炎
膵臓=すい臓がん、膵炎、膵管内乳頭状粘液性腫瘍、粘液性嚢胞腫瘍
肝臓=胆細胞がん
脾臓=脾機能亢進症、食道・胃静脈瘤
大腸=大腸がん、腸閉塞、潰瘍性大腸炎、クローン病
盲腸=虫垂炎
肛門=痔
これらの疾病に対し、外科的な治療をするところが、「消化器外科」です。
「外科的」とは早い話が「手術」です。実際には、抗がん剤による治療なども含まれます。
少し前までは難しい手術の代表のようにいわれ、今ではどんどん普及している「生体肝移植」を扱うのも、この消化器外科です。
比較のために挙げると、「脳外科」ならば扱うのは脳だけ、「心臓外科」ならば「心臓」だけです。いくつもの臓器を扱うのですから、「消化器外科」は格段にカバーする範囲が広いです。
そのため、病院や医師によって、「腸が専門で、痔、虫垂炎まで診る」「がんが専門で、胃がん、大腸がんなどの執刀例が多い」「腹腔鏡手術のエキスパート」といったように細かく分けて考えたほうがいい場合もあります。看護師さんの仕事内容や範囲も広くなります。
2.消化器外科の看護師の役割
消化器外科で働く看護師さんが覚悟しておかなければならないのが……
①扱う臓器の種類は多く、疾病の種類も様々。検査、手術の種類も多い。緊急時の対応も必要になる。
②CT、内視鏡など使う機器は最新で、種類も多い。
③治療や看護にはチームで当たることが一般的なので、スタッフ内でのコミュニケーション能力も求められる。
④特に化学療法を行っている患者さんの場合、副作用で苦しんでいることが多く、ケアもその分重要になる。
といった点です。
2-1.がんの治療が中心
「疾病の種類も様々」ですが、特に中心になるのはがんと考えていいでしょう。
患者さんの数も多く、生死にかかわる重症の割合も多いです。何しろ、日本人の約3割が「悪性新生物(がん)」で亡くなるぐらいですから。
さらに細かく見ると、男性の場合、2位が胃がん、3位が大腸がん。女性は一位が大腸がん、3位胃がんです。いずれも消化器外科で受け持つ疾病になっています。
消化器のがんの場合、初期段階では自覚症状のないことも多いです。そのため、各種の検査が必要になるわけです。
2-2.手術
手術の際の看護師の役割は、ほかの診療科と大きな差はありません。
「バイタルチェック」「採血」「食事や排泄の介助」「患者さんのコンディションの観察」「機器の手渡しなど医師のサポート」などをします。
ただ、この手術には最先端の医療が採用されています。なので②の「機器が最新で、種類も多」くなります。
看護師もそれについていくため、常に勉強が必要です。
2-3.コミュニケーション能力
手術や治療にかかわるのは、看護師、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師などです。ほかの診療科よりも大きな医療チームを組んでいます。
この多い人数の中で、それぞれが連携し、役割分担もして、働かなければなりません。③のコミュニケーション能力が求められるわけです。
さらに大変なのが、④にあるように、手術で治療が終わるとは限らないことです。そこから放射線療法や化学療法に移ったり、併用することもあります。
これはほかの外科との大きな違いでしょう。
2-4.大病の患者さんのメンタルケア
死と向き合わなければならない患者さんも多くいます。吐き気や体のしびれなど、化学療法の副作用などに苦しんでいる人もいるでしょう。
精神的に不安定になるのも無理のないところです。
また、消化器にトラブルを抱えているわけですから、食事をとれない人もいます。そのために大きなストレスを抱えていることも珍しくありません。
患者さん本人だけではなく、その家族も不安を抱えています。
消化器外科の看護師さんには、こういった患者さん、その家族への精神的なケアも任されます。
ここでもやはり高度なコミュニケーション能力が求められます。
3.専門看護師や認定看護師への道もある
消化器外科の看護師さんの特徴として、「専門看護師・認定看護師がいくつも用意されている」も挙げられます。
3-1.直接関係するもの
・がん看護専門看護師
=がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する⇒詳細
・がん化学療法看護認定看護師
=がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理/副作用症状の緩和およびセルフケア支援⇒詳細
・がん性疼痛看護認定看護師
= 痛みの総合的な評価と個別的ケア/薬剤の適切な使用および疼痛緩和
・がん放射線療法看護認定看護師
=がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援 /安全・安楽な治療環境の提供
・手術看護認定看護師
=手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)/周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践⇒詳細
3-2.間接的なもの
また、「家族支援専門看護師」「集中ケア認定看護師」「緩和ケア認定看護師」などもかかわりが深いです。
「看護師にもそれだけ高度な知識やスキルが求められる」ということの表れです。
4.まとめ
このように消化器外科の看護師さんの業務はとてもハードです。
扱う臓器の種類は多く、しかも最先端の医療で対応しています。勉強も欠かせません。
しかも「診断」から始まって、「急性期」「慢性期」「終末期」までの患者さんが看護の対象です。
さらに患者さんだけではなく、家族への精神的なケアも欠かせません。
ですが、「自分のスキルや知識をみがきたい」「キャリアップをどんどんしていきたい」という意欲的な看護師さんにはとても魅力的な職場です。
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