がんセンター勤務の看護師は、待遇、年収はどう?仕事内容・役割・給料。転職前にわかる業界おまとめ
看護師が転職する場合、「もっと看護師としてのスキルを付けたい」「せっかく医療の世界にいるんだから、最先端の医療に触れてみたい」という人もいるでしょう。
また、新卒でも一般的な病院には物足りないという人もいるでしょう。
こうした人たちに、ガンに特化した高度な医療や研究が行われているがんセンターは注目度が高いです。
目次
1.がんセンターは3つある
がんセンターとよばれる施設は次の3つがあります。
①国立高度専門医療研究センター。
これは国立がん研究センター中央病院と国立がん研究センター東病院の2つです
②国立病院機構。
これは北海道がんセンター、中国がんセンター、四国がんセンター、九州がんセンターの4つです。
③地方公共。
これは、各県が作っているもの10か所です。
・宮城県立がんセンター
・山形県立がん・生活習慣病センター
・新潟県立がんセンター新潟病院
・栃木県立がんセンター
・群馬県立がんセンター
・神奈川県立がんセンター
・埼玉県立がんセンター
・千葉県がんセンター
・静岡県立静岡がんセンター
・愛知県がんセンター
・兵庫県立がんセンター
こうして見ると分かるように、がんセンターはどれも公的な病院ばかりです。
以前はここに勤務する看護師は国家公務員や県公務員でした。しかし今は、組織の運営の仕方が変わって厳密には、国家公務員や県公務員ではありません。
⇒地方公務員看護師と国家公務員看護師の違いは?給料はどっちがいいの?
ですが、待遇は公務員時代のものが、ほぼそのまま引き継がれています。
月給、残業手当、夜勤手当、ボーナス、年金なども、国立高度専門医療研究センターと国立病院機構は国の規定と、地方公共の場合は各県の規定と大きな差はありません。
2.待遇はどう?
普通の病院よりも高いのか?というと、「基本的には、民間の病院とほとんど変わらない。だけど、努力次第で大幅アップも望める」といえます。
というのは、高度な医療が行われているため、看護師にもスペシャリストがたくさんいますし、必要とされているからです。
そのスペシャリストの例としては、がん看護専門看護師があります。
他には、認定看護師なら、
がん化学療法看護、
がん性疼痛緩和、
乳がん看護認定看護師、
緩和ケア認定看護師
などのジャンルの資格を持っている人が優遇されます。
こうした資格を持っていると、その分の手当がつきます。基本給そのものが高くなることもあります。
もし、今は特別な資格は持っていなくても心配することはありません。意欲次第です。資格を取るのに積極的にバックアップしてくれるのもがんセンターの特徴です。
また、病院組織が大きいので、長く勤めていると、主任、看護師長、看護部長などとポストが上がっていくこともあります。その役職手当もつき、収入もあがります。
3.福利厚生も充実している!
給料以外では、福利厚生が充実しているのも魅力です。なんといっても、国や県の公務員とほとんど同じ扱いですからね。育休や産休なども、一般的な民間病院に比べれば、十分な期間が用意されています。
4.研修は多くて多忙
ただし、研修会や勉強会、セミナーなどが多いのは、大学病院などと同じです。
「夜勤明けでふらふらなのに、そのまま研修会に出なければならない」といったこともあるでしょう。高度医療についていくための自主的な勉強も欠かせません。
こういったように見ていくと、のんびりやりたいという人には勤まらないのが分かりますね。向上心が旺盛で、タフな人向けです。
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5.がんセンターで働く
5-1.設立の背景
がん治療の研究が本格化したのは、戦後のことです。各地の国立大学などに次々にがん治療のための部門ができるようになりました。
それらの拠点となるような施設・組織となるようにと作られたのが、国立がんセンター(東京都中央区築地)です。
1962年の開設以来、がんにかんする診療、研究、調査、人材育成、情報提供などの中心になっています。
5-2.国立
その後、国の組織の一部だったのが、国からは離れ、国立研究開発法人に変わりました。名前も「国立がん研究センター」になりました。
現在、国立がん研究センター中央病院と、国立がん研究センター東病院のふたつの病院を持っています。
診療科には、中央病院の場合で……歯科、形成外科、脳脊髄腫瘍科、眼腫瘍科、頭頸部腫瘍科、乳腺外科・腫瘍内科、呼吸器外科・内科・内視鏡科、食道外科、胃外科、大腸外科、消化管内科、消化管内視鏡科、肝胆膵外科・内科、泌尿器・後腹膜腫瘍科、婦人腫瘍科、骨軟部腫瘍科・リハビリテーション科、血液腫瘍科、造血幹細胞移植科、小児腫瘍科、緩和医療科、精神腫瘍科、麻酔・集中治療科、総合診療内科……
などがあります。
「がん治療のための専門の病院」というイメージとは違い、一通りのというより一般的な病院よりもはるかに多くの診療科がそろっています。これだけでも内容の充実ぶりがわかります。
中央病院で働く看護師(看護職員)は約520人、東病院は約350人です。
また、国立病院機構も北海道がんセンター、中国がんセンター、四国がんセンター、九州がんセンターとがんの治療や研究のための拠点を4つ持っています。
5-3.県立
各県が作っている次の10のがんセンターもあります。
・宮城県立がんセンター
・山形県立がん・生活習慣病センター
・栃木県立がんセンター
・群馬県立がんセンター
・埼玉県立がんセンター
・千葉県がんセンター
・神奈川県立がんセンター
・新潟県立がんセンター新潟病院
・静岡県立静岡がんセンター
・愛知県がんセンター
・兵庫県立がんセンター
こうして見るとわかりますが、運営している組織は違っても、これら全部を合わせて、全国をカバーするような形になっています。
「がんセンターへの転職」といった場合、これらの16の病院・拠点が対象になります。
「最新の医療・看護にかかわりたい」「がんは疾病の中でも最も深刻で、最も多くの人がかかる。その医療現場で働きたい」といった意欲のある看護師さんにはあこがれの職場です。
また、職場となる病院はいずれも公的な施設・組織です。身分が安定しているのも魅力です。安心して長く勤めることもできるでしょう。
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6.がんセンター看護師の仕事内容
これらのがんセンターで行われている仕事の特徴は高度専門医療です。これに尽きます。
先に見たように、ものすごい数の診療科があります。このことからわかるように、ひとつの診療科でカバーする範囲はかなり狭いです。
その分、専門性を極めるような医療・看護が行われています。最先端の医療が導入されています。機器も最新式です。
看護師も常に勉強が求められます。
病院側でも、充実した教育制度を用意しています。勉強会や研修会の数も半端ではありません。
向上心のある看護師には、充実した生活になるでしょう。
ただし、それが負担になる人もいます。就職先・転職先に考えるときは、覚悟も必要です。
7.がんセンター看護師の給料
7-1.みなし公務員・準公務員
7-1-1.国立
「国立がんセンター(現・国立がん研究センター)や国立病院(現・国立病院機構)は国の組織の一部。だから、そこで働く看護師も国家公務員」という説明が、長い間されてきました。
ですが、今は少し様子が変わってきています。
国立がん研究センターの場合は国立研究開発法人、国立病院機構の場合は独立行政法人という形になっています。どちらも「国立」と名前に付いていますが、厳密にいえば、すでに国の組織ではありません。
少し前までは、正式の職員として採用された場合は、みなし公務員という扱いでした(「実際には公務員(国家公務員)ではないが、それと同じに扱う」という形です)。
今はさらに国とのかかわりが少なくなり、国家公務員扱いもなくなりました。ですが、待遇の内容には大きな変化はありません。「公務員に近い」ということから、「準公務員」と呼ばれます。
7-1-2.県立
県立のがんセンターもこの国立病院機構と同じような形を取っています。
つまり、「厳密には県の公務員ではないが、待遇などは県の公務員時代のものが、ほぼそのまま引き継がれている」という形です。
7-2.各種の手当と福利厚生について
以前は国立病院だったところや、県立病院だったところなど、公的な病院に共通するのは、「募集要項に書いてある基本給などは、民間に比べて安め」です。これはがんセンターも例外ではありません。
7-2-1.給料のメリット
ただし、実際のところは安いわけではありません。
公的な病院の給料(月給・ボーナス・年収)には、次のような特徴があります。
①スタート時点では給料は安めでも、後で着実に昇給していく。数年たつと、民間病院とは逆転する
②各種の手当が充実しているので、基本給以外のプラスアルファの部分が大きい
7-2-2.福利厚生
また、給料そのものではありませんが、③として、「福利厚生が充実している」というのも、見落としてはいけません。
この各種の手当や福利厚生は公的な病院の中でも、がんセンターはさらに一段上です。
福利厚生は一般的には民間よりも公務員のほうが充実しています。準公務員であるがんセンターの正式職員も、この充実した福利厚生を受けることができます。
また、がんセンターはいずれもが国や県を代表するような医療機関です。できるだけ優秀な人材を集めるために、福利厚生を魅力的にしている面もあります。
福利厚生が充実していると、家賃手当など給料以外でお金がプラスされたり、病院内に安い食堂があったり、自分で使うお金がかなり減ります。
その分、給料が高いのと同じです。
7-2-3.手当
がんセンターはいずれも大規模な病院です。
その規模が大きい分、たくさんの部署があり、多くの看護師が働いています。看護師にも様々な役職があります。
中堅、ベテランと進む中で、それらの役職に就き、部下をたくさん持つ人も出てきます。こうなると、役職手当の名目で給料がプラスされます。
高度医療・先端医療そのものの世界ですから、認定看護師、専門看護師など各種の資格を持った看護師の価値も十分に理解されています。
こちらの面からも特別なポストが用意されていたり、その資格を持っていることだけでも優遇もされます。こちらも、その分の手当が付くことになります。
8.がんセンター看護師に必要なスキル
先端医療・高度医療を行っているからといって、看護師の仕事内容が大きく変わるわけではありません。ただし、求められるレベルが高くなります。
例えば、患者さんの多くは、ほかの病院では対応しきれない人ばかりです。珍しい症状、治りにくい症状に取り組まなければなりません。
また、使われる機器も最新式です。新しいものが出たら、どんどん導入されます。看護師もその度に、勉強しなおして、使いこなせるようになる必要があります。
現場の体制は、チーム医療が基本です。医師、看護師、薬剤師、検査技師など大勢のスタッフと協力し合いながら、仕事をこなすことになります。
「スタッフ間でのコミュニケーション能力も高くないといけない」ということです。
診療科が細かく分けられていることからも分かるように、専門性を持っている人が有利です。「広く浅く、なんでもできる」という人よりも、「この看護分野にかけては、ほかの人には負けない」というタイプの人が歓迎されます。
その専門性の高い人がたくさんいて、それぞれの得意分野を生かしながら、日ごろの医療・看護を進めている状況です。
面接に有利になるポイント
履歴書に書き込んだり、面接の際にアピールする際に、はっきりと有利になるのは、認定看護師・専門看護師などの資格を持っていることです。
実は、これらの資格は、ほかの医療機関では必ずしも、アピールポイントにはなりません。
※認定団体である日本看護協会が、認定看護師を対象にアンケートを取ったところ、約3分の2が「取る前と取る後で、役職も給料も変わらなかった」と答えています。「資格の価値が分かる勤務先は少ない」ということです。
ですが、逆にがんセンターでは、プラスに評価されます。
診療科も一通り以上にそろっていますので、がんに直接は関係なさそうな資格でも、活かせる可能性も高いです。
「せっかく資格を取ったのに、宝の持ち腐れ状態」と嘆いている人は、ぜひ転職を検討してみましょう。
また、「今は、自分にはアピールできるほどの専門性はない。資格だってなにも持っていない」という場合でも、あきらめる必要はありません。
専門性の価値がわかっているだけに、これから資格を取ろうという人へのバックアップも充実しています。
「これから努力して、そうなる」という意欲を見せることができればOKです。
9.がんセンター看護師の資格
看護師のスキルアップ・キャリアアップのための資格としては、日本看護協会が認定団体になっている認定看護師と、その上級の専門看護師が代表的なものです。
それぞれ21、11の看護分野で用意されています。
9-1.認定看護師
がんに直接関係ある認定看護師だけでも4つあります。がん化学療法看護認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師、乳がん看護認定看護師、がん放射線療法看護認定看護師があります。
9-2.専門看護師
専門看護師なら、がん看護専門看護師があります。
9-3.これら以外
これら以外でも、集中ケア認定看護師、緩和ケア認定看護師、手術看護認定看護師、家族支援専門看護師なども直接・間接にかかわりがあります。
実際に、多くの認定看護師・専門看護師が働いています。
10.がんセンターで働くメリット・デメリット
10-1.メリット
・最先端の医療・看護に触れることができるので、看護師としての興味が満たされる
・スキルアップのための条件がそろっている
・がんという現代でもっとも対策が必要な疾病の現場で働くことができ、看護師としての充実感が高い
これらは仕事の内容のものです。
この他に、雇用面のメリットも注目してみましょう。
どのがんセンターも、ほぼ国家公務員・県公務員と同じような待遇です。身分は安定しています。
特に福利厚生の点では最高レベルと考えていいでしょう。
これも福利厚生の一種なのですが、ママさんナースへの支援も手厚いのもがんセンターのメリットのひとつです。
出産・育児による休職は通常の病院なら1年です。がんセンターの中には、3年程度認めてくれるようなところもあります。
さらにはどのがんセンターも、院内保育園をもっています。設備面で整っているだけではなく、遅い時間まで預かってくれる延長保育なども十分に対応しています。
復職のためのプログラムも充実しています。また、そうしないと先端医療・高度医療のスタッフとしては働いてもらうのに差し支えます。
「仕事がハードそう」とがんセンターへの転職・復職に腰が引けるママさんナースもいるかもしれません。ですが、実際にはママさんナースにも働きやすい職場になっています。
10-2.デメリット
デメリットは、仕事のやりがいの高さと裏表の関係になります。
最先端の医療技術・医療機器が入ってきます。それに対応するための勉強が終わることはありません。
患者さんも重症度が高かったり、ほかの病院ではめったに見ないような珍しい症状の人もいます。
並大抵のスキル・知識では対応しきれないでしょう。
がんセンターの中でも、どの持ち場になるかにもよりますが、患者さんの死に立ち会うことも多くなります。「看取りがある」ということです。
勉強会・研修会は多いです。向上心の高い看護師さんには歓迎できることでしょう。
ですが、日ごろの仕事に、さらにこれらが加わることになります。中堅・ベテランともなってくると、これらに参加するだけではなく、自分のほうが準備・指導する立場にもなります。
「意欲があるだけではなく、体も丈夫で疲れ知らずでないと、がんセンターの看護師は勤まらない」というのは、頭の中に入れておきましょう。
11.がんセンターへの転職の注意点
もし、転職先・復職先をがんセンターだけに限っているのなら、ほかの一般の病院とはかなり状況が異なります。
①候補となる勤務先の数が極端に少ない
②情報はかなりオープンにされている
③看護師転職サポートが扱っていることは少ない。また、扱っていても公開情報で、登録しなくても見られる
①にかんしていえば、がんセンター自体が全国でも16院しかありません。
首都圏以外の人ならば、通える範囲のものは、あってもひとつかふたつです。
人気のある転職先・復職先だけに、もちろん「今住んでいるところから離れてでも、そこの看護師さんになりたい」という人も少なくないでしょう。それでも候補の数はしれています。
②はがんセンターの設立の目的が関係しています。
「情報を発信する」というのも、がんセンターの大きな役割のひとつなのです。「どんな患者が多いか」「診療・看護の特徴」「どういった設備があるか」など各種の情報は簡単に手に入るようになっています。
病院見学の類にしても積極的に受け入れています。
国立がん研究センターの場合、病院側から用意するものだけでも、平成28年の1年間に新卒者向けに18回、経験者向けには3回の病院説明会(病院・看護部概要の説明、院内見学、宿舎見学、質疑応答)があります。
給料などの雇用条件に関しても、オープンにされています。それに、もともとお役所(国立、県立)だっただけに、個々の違いは大きくありません。
③
がんセンターの場合、どこも組織が大きく、その分、新卒者・経験者の募集人員も多いです。人事関係の担当にもしっかり人数を割いています。
採用のための手間を惜しむことがないために、外部の業者に頼る必要があまりありません。
がんセンターだけでなく他の病院も視野に入れよう!
がんセンターへの転職・復職なら、看護師転職サポートは使わなくても自分で調べようと思ったら、ちゃんと調べられるように公開されています。
とはいえ、実際には転職先・復職先をがんセンターだけに絞るより、「がん治療に力を入れている病院」「自分のスキルや知識が生きる勤務先」も一緒に探して比較したほうがより選択肢が広がります。
この場合に看護師転職サイトを充分に活用しましょう!
自分で情報収集するのは大変です。候補となる病院は増えるけれど、情報はがんセンターほどにはオープンにされていません。
おすすめの転職・復職の進め方は、
がんセンターについては、自分でしっかり調べる。直接相手に問い合わせたり、場合によっては足も運ぶ。それ以外については、看護師転職サポートをうまく利用する
という方法がベストです。
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