大学病院の看護師の給料、待遇、夜勤手当はどれくらい?高年収の病院選びのポイント

看護士

大学病院の看護師の待遇や年収について考えるときは、「国立大学病院」「公立大学病院」「私立大学病院」に分けて考えましょう。

平均の給料額だけを見ると、決して高いというわけではないので、給料アップ狙いのひとは他の転職先も候補に入れておきましょう。

地方公務員看護師と国家公務員看護師の違いは?給料はどっちがいいの?

看護師の年収が高い診療科は?(上位7位)

大学病院はそれぞれ経営のスタイルや方針が全く違い、給与も大きく変わります。

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1.給料

1-1.国立大学病院(全国に42院)

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国立大学病院の看護師に関しては、文部科学省が毎年、病院ごとの看護師(看護職員)の年収を調べています。平均年収のデータですので、ボーナスや退職金は別になります。

平成25年6月現在のデータで、高い方を挙げると

大阪大学 555.2万円(平均39.5歳)
九州大学 528.9万円(38.6歳)
京都大学 526.7万円(37.9歳)
東京医科歯科大学 522.7万円(35.4歳)
富山大学 521.6(42.0歳)

低い方は……

山梨大学 425.1万円(32.1歳)
愛媛大 430.7万円(33.5歳)
鳥取大 432.3万円(33.8歳)
旭川医科大 433.1万円(33.3歳)
滋賀医科大 436.1万円(31.8歳)

全体の平均は472.3万円(35.6歳)です。これは看護師全般の平均とほとんど変わりません。

平成16年から制度が変わって、国立大学は「国立大学法人」となりました。簡単にいえば、「国の経営から、大学が自分自身で経営するという形に変わりました(看護師も国家公務員ではなく準公務員となりました】。

そのため、このように給料にも差がでてきます。

1-2.公立大学病院(全国に9院)

公立大学病院も同様に、「公立大学法人」となっています。「法人」となると、看護師も「地方公務員」ではありません。給料などの待遇に関しても、それを運営する地方自治体とは別になっています。

ただし、実際は病院のある地方自治体の給料システムとほとんど同じと考えていいでしょう。

1-3.私立の大学病院(全国に29院)

私立の大学病院の場合は、もともと大学病院ごとに経営方針や置かれている環境がバラバラで、違いがとても大きいため、「平均年収はこれぐらい」ということができません。

一般的には、地方よりも都会にある病院の方が年収が高くなりますが、これもその大学や大学病院の経営状態次第です。

1-4.診療科によっても給料は変わる

また、同じ大学病院内で働いていても、激務の科にいる人、楽な科にいる人とでは給料の額は違ってきます。国立、公立、私立どこでもこれは同じことが言えます。

たとえば、夜勤にしても、大学病院の看護師全員がやるわけではありません。夜勤のある・なしだけでも月給は手取りで5万~10万くらいは変わってきます。

また、組織が大きいので、役職がたくさんあります。「看護師長」までは一般の病院でもみられますが、大学病院では、さらにその上に「看護部長」「総看護師長」といった役職があります。

この役職の重さに応じて手当の額も変わってきます。

2.大学病院の看護師の待遇

大学病院の受付ナース

大学病院の看護師の待遇の特徴は、全体的に

①給料は特に高くない
②福利厚生はしっかりしている

といえます。

ただし、これも国立・公立・私立とそれぞれに分けて考える必要があります。また、同じ国立同士や私立同士でも違いがあります。

自分の就職先、転職先として考えるのならば、個々の病院ごとに待遇をチェックする必要があります。

各病院の給与や待遇を細かく調べて、比べるという作業は自分でするのはとても大変です。
看護師転職サイトを使えば、お目当ての病院の細かな条件や内情も、代わりに調べて教えてくれます。職場探しの場合は看護師専門の転職サイトをうまく活用するのも一つの手です。
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2-1.国立大学病院

2-1-1.収入

国家公務員時代と違い、国立大学病院ごとに独自に待遇を決めるようになりました。今では、定年・定年後の再雇用、年金、夜勤手当、有給、休みなどに関する規定もそれぞれ違います。

平均年収(平成24年度、看護職員)を例にすると、最も高いのが大阪大学で555.2万円(平均39.5歳)、最も安いのが山梨大学(32.1歳)の425.1万円です。

平均年齢の差はあるにしろ、年間で130万円も違ってきます。

ちなみに、全体の平均では472万円(35.6歳)です。これは公立・私立の一般病院も含めた看護師全体の平均と、ほぼ同じです。

2-2-2.異動

ほかの面の待遇をいえば、その大学病院内での異動は頻繁にあります。

分院があるようなところであれば、本院から分院、分院から本院といった転勤もあります。ただし、現実には看護師長など管理職クラスの場合がほとんどです。

2-2.公立大学病院

公立大学病院の場合も国立と同じことが起こりました。今は公立大学も「公立大学法人」となっています。「公立大学病院の看護師は地方公務員ではなく準公務員というのも同様です。

待遇に関しては、その関係する地方自治体や大学本体、大学病院などの方針次第です。今のところは、一般的には初任給は安くても、後の昇給は順調です。

また、退職金、年金なども手厚くなっていることが多いようです。これは「地方公務員時代の名残」と考えていいでしょう。

2-3.私立大学病院

私立大学病院は、それこそ、病院の数だけ待遇が変わってきます。

一般的には地方よりも都会の大学病院のほうが給料は高くなります。特に大差がつくのがボーナスです。経営状態がストレートに反映します。

2-3-1.福利厚生

私立の場合は、福利厚生でも大きく違いが出てきています。具体的には、「看護師寮の有無と寮費」「住宅手当の額」「通勤手当の額」「社員食堂の有無とメニューの料金」などです。

福利厚生が充実していれば、出費は少なくて済みます。給料が少なく見えても、十分に埋め合わせになります。

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3. 勤務体系、残業

福祉施設の廊下

3-1.規則正しい

医師、看護師とも十分な数が配属されています。また、役割分担もしっかりと守られています。勤務シフトも急に変更されることは少ないでしょう。残業時間もバラバラではなくきちんと決まった時間であがれることがほとんどです。

3-1-1.交代制

大学病院は診療科がたくさんあります。それに応じて、勤務体系も複数作られていることがほとんどです。

ひとつの大学病院の中で、「二交代制」と「三交代制」の両方があることも珍しくありません。1日の業務もほぼ決まったもルーティンワークに近いです。

たとえば二交代制

日勤 8:30~17:00
夜勤 15:30 ~翌朝09:00

三交代制

日勤 08:30~17:00
準夜勤 16:00~深夜00:30
深夜勤 00:00~08:45

といったかたちです。

どちらになるかは、配属される診療科次第です。楽な科を希望するなら検査中心の急患が少ない科を狙いましょう。「日勤のみというのは、あっても例外的な少数の人だけ」と、考えておいたほうがよさそうです。

3-1-2.急出

働く時間がきちんとしているので働きやすい!

また、一般的な看護師の勤務というと、いつも問題になるのが、「急な呼び出し」と「残業」です。

「夜勤明けで休んでいるのに、『人手が足りない』と寮に連絡が入る」、「長時間の勤務を終えて、やっと帰れると思ったのに、急患が運ばれてきて、そのまま残業」といったことは珍しくありません。

ですが、大学病院は、こういった面の心配は少ないです。

3-2.勤務外の研修

ただし、「勤務として扱われない仕事(研修、勉強会)が多い」という面もあります。

たとえば、研修や勉強会です。

「大学病院は教育システムが整っている」というのが大きなメリットとされています。しかし、その勉強は、普段の仕事に加わってくるのでその分時間がとられてしまいます。

夜勤明けや休日でも、研修などに参加を求められるようなことがあります。また、その準備のために時間を使う必要もあります。

さらには、自分がその研修などの担当者になれば、その分の仕事も加わります。

これは、大学病院にもよります。ただ、こういった担当になったからといって、普段の仕事が免除されることはないようです。

激務できつい、忙しくて大変というと、研修が頻繁に行われ、急患が多い科になります。ストレスがたまりやすく、体も大変ですが仕事にやりがいを感じて頑張っている看護師も多いです。

4.夜勤

談笑する医師と看護師

夜勤に関しては、「大学病院だから」といって、大きくは変わりません。一般的な大きめの総合病院とほとんど同じです。

といっても、大学病院にしろ、総合病院にしろ、病院ごとの違いが大きいです。ですから、しっかりチェックポイントを押さえて、その病院ごとに確認することが必要です。

①72時間ルールが適用される病院か?

②夜勤専従のメリットデメリットは?

③夜勤手当がどれくらいつくか?

参考 ⇒ 夜勤の看護師の実情は?体調管理、待遇改善について

 

4-1.72時間ルール

夜勤を考える時に第一に確認したいことは、72時間ルールが適用される職場か?という点です。

72時間ルールは、これまでに総合病院などで夜勤を経験している人は、知っているでしょう。

ただ、夜勤のない病院や診療所からの転職だったり、ルールができる前に退職していた人はもう一度十分に見なおしておきましょう。

⇒ 看護師の夜勤の72時間ルールってなに?

最も基本となる条件のひとつが

看護師の夜勤は1カ月のトータルが72時間まで、というものです。

これだと、三交代制の場合は、準夜勤・深夜勤を合わせて月に9回程度まで、二交代制ならば4回までとなります。

これを守らないと、病院は国からもらう診療報酬が大幅に減らされます。病院側は経営的には大打撃となります。

4-2.72時間ルールの例外

ただしこの「72時間ルール」には、大きく分けて2つの例外があります。「適用されない」ということです。

4-2-1.24時間体制の病院

ひとつは、病棟の種類によるものです。救命救急センター、集中治療(ICU、NICU、HCU)、緩和ケア、認知症治療などでは適用されません。

こういったところは「夜間だから」といって、休んでいるわけにはいきません。看護師の人数も減らせません。

働いている看護師のコンディションよりも、病棟側の必要性を優先して例外扱いとされています。

4-2-2.夜勤専従

もうひとつの例外は、夜勤専従の場合です。72時間ルールができた2006年には、夜勤専従者の労働時間の上限は144時間となっていました。ですが、2012年にこの上限はなくなりました。

これで、病院側はより積極的に夜勤専従者を増やし始めています。そうすることで、日勤&夜勤のローテーション勤務をしている看護師の負担はやや減ることになります。

大学病院への転職は「夜勤専従」が意外と人気です。ただし、夜勤専従者の時間制限がなくなってから、まだ年月がたっていません。今後どのようになるかはまだ何ともいえません。

4-3.夜勤は体がきつい

どうなるにせよ、夜勤には体がきついというデメリットはあります。夜勤専従ならばなおさらです。夜働くということで寝る時間は不規則になりがちです。そのため、年々体がきつくなり、疲れが取れない、体調がよくない、眠気が取れないという状態がだんだん続くようになります。

もちろん個人差や慣れが大きいのですが、年齢とキツさは密接につながっていて、夜勤を止めてから体調が良くなった、戻ったという人も実際多いです。

参考 ⇒ 夜勤専従について詳しくはこちら

4-4.夜勤のメリット

 

夜勤手当・残業手当など種々の手当がつくので、労働時間あたりで考えると、割がいいといえます。大学病院への転職も、この夜勤専従を選んで応募する人たちもかなりいます。

ただ、実際の仕事がハードどうかは、大学病院ごとに違いが大きいのが現状です。

「手術などがないので、夜間のほうが楽」というような職場もあれば、反対に「夜間は勤務者の人数が足りなくて、本当に忙しい」というところもあります。

また、「日勤・夜勤が入れ替わりになる普通のバターンよりも、いつも夜勤の方が体が楽」という看護師さんも少なくありません。

⇒ 夜勤のみの看護師の職場・科にはどこがあるか?

4-5.夜勤手当の額

夜勤手当の最低額はちゃんと法律で決まってます。

しかし、この金額を間違って計算している人がたくさんいます。

たとえば、看護師転職の案内をしているあるサイトでは、…

2交代制で月4回の夜勤、3交代制で月8回の夜勤の場合、看護師さん8人がいた場合、その夜勤手当は、月額8,000円から80,000円と10倍もの差があります・・・

としています。少ない人は「1回あたりの夜勤手当は1,000円」としているのです。

でもこれは間違いです。実際は

・夜勤手当(22時~05時)=日勤での給料に比べ最低でも25パーセント増し

・残業手当(1日に8時間あるいは1週に40時間を超えた分)=同様

と、法律で決まっています。これは看護師もほかの職業・職種も同じ仕組みです。

一般的な看護師の勤務パターンならば、夜間はたいていこの夜勤手当(1.25倍)と残業手当(1.25倍)の両方がつきます。つまり最低でも1.5倍の手当となります。

例えば、月給制の人であっても、仮に時給計算に置き換えて考えてみると、日勤で時給2,000円もらっている人は、夜勤の時間帯の賃金は、最低でも1時間ごとに1,000円のアップで時給3000円になる!ということです。

ただし、

どういった計算方法になっていて、どういった名目で給与明細に載っているかはいろいろなやり方があり、病院ごとに違います。

「1.5倍で計算した上に、更に1回あたりの定額でプラスアルファするところ」、

「1.5倍よりも更に高い倍率で計算するところ」、

「1.5倍ぴったり。定額でプラスアルファも一切なし」という病院もあります。

「1回あたりの夜勤手当は1,000円」としているのは、おそらく、この定額のプラスアルファ部分だけを見ているかと思います(そうでないと、その病院は完全に法律違反です)。

この点は求人情報の待遇欄をチェックするときには、しっかり気をつけておきましょう。

転職サイトのプロのアドバイザーに、きちんと計算して比較してもらうのが確実です。「どっちのほうが給料がいいか」と自分で計算しても、あいまいな知識では間違いも多くなります。

5.まとめ

街中の個人クリニックのような小さなところと比べると、大学病院の給与や手当の条件は他の総合病院並みにいいほうではあります。

ただし、大学病院の種類や(国立、公立、私立)、どの診療科に勤務するかで、実際の手取りはかなり変わってきます。病院ごとに条件や待遇はあまりに多岐にわたり、大学病院とひとくくりにはできません。

初任給が安くても、残業代や手当がきちんとつけば、総収入は悪くないですし、賞与も考えると実際のもらえる金額は変わります。

平均年収のデータはあくまで参考にして、各病院ごとに収入の内容をきちんとチェックして仕事先を決めていきましょう。

6.満足できる転職のコツ

大学病院ごとの内情や、実情を細かく把握しているのは、やはり看護師専門の転職サービスです。

もともと大学病院の求人数自体、さほど多くはありませんし、非公開の求人が多いです。いくつかの候補を詳しく比較してみるということも、働きながらでは困難です。

でも。転職サイトはお任せするだけで自分で転職先を探しても、目にすることができない求人や、病院の内情や、なかなか外には公表されないデータも教えてくれます。

満足できる大学病院へ転職をしたいなら、転職サイトを上手く活用することは欠かせません。無料で利用できるので試しに登録して非公開の求人をさっと見るだけでもかなり転職で有利になります。

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