産業保健看護専門家制度(専門家・上級専門家)

先に見たように、「産業保健看護専門家制度(産業看護専門家制度+産業保健専門家制度)」では、最初に試験をパスし、「登録者」となる必要があります。

この制度の前身である「産業看護講座基礎コース」の場合、それ自体が資格でした。

新しい制度では、その「基礎コース」で教えられてきた内容は、「登録者」となって、次に「専門家」となる間に修了する形に変更になりました。

ですから、「登録者」となってもそれ自体が資格として扱われるようなものではありません。転職などの際に、肩書として通用するのは、「専門家」になってからと考えたほうがいいでしょう。

「産業看護専門家」となるには、登録者としての有効期間内(5年、1回のみ更新可能)に、次の条件を満たす必要があります。

・看護師免許を取得後、産業保健看護に係る実務経験が5年以上であること

・継続研修20単位を履修(基礎研修50単位は登録者の有効期限内に履修)

・学会発表学会発表/GPS/協議会/地方会での発表を含む論文等1本以上(筆頭著者)

・学会出席5ポイント以上(総会・協議会2ポイント、地方会1ポイント)

・社会貢献教育活動

資格申請の際には、これらの内容を書面にして提出します。

これに加えて……

・グループ・ディスカッション(状況設定課題)

・個人面接(書類審査に関する内容)

・口頭試験(産業保健にかかわる知識・状況設定課題

……があります。これにパスして初めて、「産業看護専門家」となります。

また、資格の更新は5年ごとです。同じ条件がチェックされます。ただし、試験はなく、書類審査だけで済みます。

ちなみに「産業保健専門家」もほぼ同じ内容になっています。

また、これらの上級の資格である「産業看護上級専門家」「産業保健師上級専門家」の申請にも同様の書類を提出します。

問われる項目は同じですが、「実務経験10年以上」「学会出席8ポイント以上」などと、条件が一段厳しくなっています。

まだ新しく始まったばかりの制度ですが、「産業看護講座基礎コース」という前身があり、2015年9月に、旧制度から新制度への移行登録審査が行われました。

この結果、産業保健看護専門家398名(保健師278名、看護師120名)が誕生しています。また、登録者は281名(保健師200名、看護師81名)でした。

「上級専門家」はまだいません。

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ