企業でのメンタルサポートの必要性が高まっている!鬱の社員も増加

メンタルサポートをしないと会社経営に大打撃

企業看護師として、医務室で働く場合、健康診断の実施の責任者となったり、保健指導を行うことになります。

それに加えて、近年ますます重要になり、企業からも期待されているのが「メンタルサポート」です。「メンタルヘルス対策」などと呼ばれることもあります。

かつてとは違い、体の不調だけではなく、精神面の不調のカバーも企業看護師に期待されているわけです。

この場合の「精神面の不調」とは、最もわかりやすいものとしては、「うつ病」を考えればいいでしょう。そのせいで、仕事に集中できなかったり、休んでしまったり、最悪は自殺ということもあります。

また、はっきりと精神面の病気や不調とまでいかなくても、「仕事と家庭の両立に悩んでいる」「職場の人間関係で苦しんでいる」「担当する仕事の上での悩みがある」といったことでも、勤務に悪い影響を与えることもあります。

こういった人たちをそのままにしておくと、企業側にすると

①個人個人の生産性が下がる。そればかりか、職場全体も悪影響を受ける可能性もある。

②本当に精神的な不調の人が出ると、休業補償など対応のための費用がかかる。

③労災の可能性が高まる。場合によってはそれで多額の賠償を請求されることもある。

といったマイナスがあります。

医務室でメンタルケア

そこで必要となるのが、医務室などによるメンタルサポートです。

もちろん、医務室を新たに作ったり、メンタルサポートを理解している看護師や保健師を置くのもコストがかかります。

ですが、精神的な不調者が出る環境で生産性が下がったり、実際に入院などされるよりも、コスト面でも有利になります。

ドライな考え方に聞こえるかもしれませんが、「働いている人が体も心も健康に」というのは、「経営者が優しいから」ではなく、あくまで「そのほうが経営にはプラスだから」ということでやっています。

精神的な不調者はどのくらいいるの?

メンタルヘルスの問題が大きくなり、厚生労働省も無視できなくなったのは、平成12年ごろからです。

この2年前には社会全体で自殺者が増え、初めて年間3万人を超えています。専門家らは、急増の原因を「景気の悪化」「雇用・経済環境の悪化」などと考えています。

厚労省の心の健康指針

そこで厚労省は「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を作って、各事業所(企業)などに広めようとしています。

ですが、なかなかうまくは行かず

労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える状況にある。

また、精神障害等に係る労災補償状況をみると、請求件数、認定件数とも近年、増加傾向にある。

としています。

これは平成18年に厚生労働省が発表したものですが、今も大きくは変わっていないと考えていいでしょう。

ただ、実際にメンタルサポートに力を入れるか、内容はどのようなものかは、その会社ごとの判断によって大きな違いがあります。

まだまだ少ない取組み

「労働者健康状況調査」の19年版では、「心の健康対策に取り組んでいる事業所の割合」は33.6パーセントです。

また、この調査は5年に1回です。この前回の23.5パーセントよりも増えているものの、まだまだ少ない状況です。

また、産業医、保健師、看護師などの「専門スタッフがいる」としたのは、「取り組んでいる事業所」のうちの52.0パーセントです。

つまり、専門スタッフがいるのは全体の7分の1程度です。特に中小企業で遅れています。

看護師の役割は?

企業の医務室などで看護師がやるメンタルサポートは

・従業員自身からの健康相談の応対。必要によっては、従業員の家族からの健康相談の応対

・職場環境のチェック。特にストレスに関するもの

・休業者の職場復帰の手伝い

などです。

こういったところから、企業の医務室に勤務したいのならば、カウンセラーのノウハウを持っていたほうがいいでしょう。

また、ちゃんとカウンセラー関連の資格を持っていると、採用の際には強力なアピールポイントになります。

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