産業カウンセラーってどんな仕事?
看護師の資格や、看護師として働いた経験を生かしながら、医療機関(病院・クリニックなど)以外で働く……
そういった道を考えてみた人はいるでしょう。いくつ選択肢はあります。看護師が求められている場は、医療機関以外にもどんどん広がっているのです。
そんな選択肢のひとつが「産業カウンセラー」です。
必ずしも看護師だけがなる職業ではありません。また、看護師とは別の資格も必要です。ですが、看護師資格と一緒に持っていることで、転職の幅が広がりますし、有利にもなります。
1.仕事内容はメンタルヘルスケア
まず、「産業カウンセラー」の仕事内容は、ひとことでいうと「メンタルヘルスケア」です。
今、企業などで働いている人の中に、精神面でのトラブルを抱えている人がたくさんいます。
「職場の人間関係がうまく行かない」「家庭と会社の両立に悩んでいる」「任された仕事や役職のプレッシャーでつぶされそうになっている」「ノルマが厳しくて、精神的に参っている」などのパターンが考えられます。
これらの人に対し
心理学的な手法を使って、精神的な問題や、抱えている悩みを解決できるようにサポートする
というのが、メンタルヘルスケアであり、産業カウンセラーの仕事です。
2.職場
職場は一般企業、公共団体、福祉関連施設などです。そういったところの社員や職員として働くのが一般的です。
中には、独立して事務所を持ち、契約した相手企業などへ出向いて、カウンセリングをするような人もいます。
3.専門の資格
この「産業カウンセラー」という肩書を使うには、専門の資格を持っていないといけません。
「産業カウンセラー」はかつては看護師資格同様に、厚生労働省による公的資格でした。今は「一般社団法人日本カウンセラー協会」による民間資格となっています。
3-1.取得条件
資格を取るにはまず、次のどちらかの条件を満たす必要があります。
①協会もしくは協会が委託し、行う産業カウンセリングの学識及び技術習得を目的とした講座、あるいは協会がそれと同等以上の水準にあると認めた講座を修了
②4年制大学学部及び大学研究科において心理学または心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかを修了
その上で、1試験・2次試験をパスして、初めて資格が与えられます。最終的な合格率は、受験者全体の60~70パーセントです。試験は例年1月です。
看護師さんからの転身の場合、①が近道です。
3-2.講座内容
講座はここにあるようにいくつかのところが開いています。協会自身が開いているものを例にすると
・理論学習48時間、演習81時間、在宅研修(宿題)約40時間
・講座の期間は4~10月の7か月間。主に土日を使い、20回程度
となっています。
今の時代、企業などのほうでも、「精神的なトラブルを持った人たちを放置しておくと、その人個人の成績が下がるだけではなく、職場全体のマイナスになる」と気がつくようになりました。
今後さらに求められることが多くなる職業でしょう。
4.現状
ただし、現状では、産業カウンセラーでなくても、企業の医務室勤務の看護師さん・保健師さんなどは同じような役割を果たしています。
「産業カウンセラー」として募集が出ていることも、あまり多くありません。
ただ、企業・大学などの保健室勤務や、総務課の中のメンタルヘルスケア担当への応募の際に、この資格を持っていることで、「カウンセラーとしてのノウハウをマスターしている」と、強力にアピールすることができます。