トリアージナース(救急看護師)の仕事内容、役割、資格は?。転職前に確認したい業務内容。

1.トリアージ(トリアージュ)とは

救急医療・救急看護の現場で必要になるノウハウに「トリアージ(トリアージュ)」があります。

語源はフランス語の「triage」で、「選別」を意味します。

最も狭い意味での「トリアージ」の場合、大規模火災、震災、集団食中毒などの災害・事故現場が典型的なシチュエーションです。

軽傷(軽症)から重傷(重症)までのケガ人や病人が同時に、しかも多数、発生します。

2.トリアージナース

2-1.役割

来た順番にケガ人・病人を診たり、病院などに搬送するのではなく、まずは「選別」します。「後回しでも大丈夫な軽症者」「すぐに治療を始める必要のある重傷者」といったように分けていくのです。

中には、「重傷過ぎて、治療しても助からない」と判断される人がいる場合もあります。医師・看護師の手が全く足りない状況ならば、処置は放棄されることになります。

このノウハウは次第に、普段の救急外来でも採り入れられつつあります。この場合も意味の解釈をやや広げて、「トリアージ」の言葉を当てるのが一般的です。

救急外来の場合も、診察を待つ患者さんには一刻を争うような人も交じっています。

それを来た順番に診察していては、せっかく病院まで来ているのに、待っている間に手遅れになったり、最悪は亡くなるようなことも現実に起きています。

そこで診察よりも前に、患者さんの緊急度を判断します。血圧・呼吸数・脈拍などをチェックし、その結果次第で、診察の順番を変えます。

具体的なやり方は病院の方針次第ですが、例えば……

・緊急=最優先で診察・治療を行う

・順緊急=1時間以内の診察・治療が必要

・安定=順番通りに診察・治療を行う

……といった3段階に分けることが多いようです。

この判断は看護師に任せることが多く、その役割をする看護師を特に「トリアージナース」と呼びます。

また、トリアージナースは、「なぜ、そういう順番に変えたか」「これからどんな治療をすることになるか」「今現在の病状はどうなっているか」といったことを患者本人や付き添いの家族への説明をすることにもなります。

2-2.トリアージナースになるには?

このトリアージナースになるには特別な資格は要りません。

もし、スタッフの中に「救急看護認定看護師」の資格所有者がいれば、その人がなることが多いようです。

2-3.現状

ただ、この救急看護認定看護師は全国でも1,021人(2015年7月現在)しかいません。

一方、トリアージナースの必要な数は数千人ともいわれています。救急看護認定看護師全員がなっても全く足りません。

そのため、日本看護救急学会などが短期の育成研修会などを開いて、人材の育成を急いでいるのが現状です。

これを反映して、「トリアージナース」として求人が出る場合、「臨床看護師として4年以上の経験があり、トリアージ関連の学習会や研修会を修了していること」といった応募条件がよくみられます。

救急の現場で働く看護師のあるべき姿勢とは?

救急医療の看護師は、ある意味看護師の中でも花形です。

これは救急医療が「どれだけテレビドラマの題材になっているか」、「どういった描かれ方をしているか」を見ればわかるでしょう。

日本の番組ならば『救命病棟24時』、アメリカならば『ER緊急救命室』あたりが代表でしょう。

「患者さんの直接生き死ににかかわる」という重要性・分かりやすさから来ていると考えていいでしょう。

1.仕事はハード

ただし、これから就職する、あるいは転職するという看護師さんが、救急医療機関を選ぶのならば、相当な覚悟が必要です。

仕事がハードです。これは単に「忙しい」「勤務がきつい」というだけではなく、「精神的にも」という意味が込められています。

救急救命センター

救急医療機関の中でも、「三次救急」を受け持つ、「救急救命センター」の場合は、ことさらそうです。

ここには、すぐに措置をしないと命を落としかねない患者さんが運ばれてきます。その結果は必ずしもいい方ばかりではありません。

ベストの治療・看護をしたにもかかわらず、亡くなってしまう人もいます。

こういった場合には、家族らが嘆き悲しむ姿を見たり、時としては医師や看護師に厳しい目を向けられるようなことも出てきます。

トリアージナース

また、診察を受ける順番を決定する「トリアージナース」ともなると、順番を後回しにされた患者さんや患者さんの家族から苦情をいわれることもあるでしょう。

ほかの診療科や配属先では、看護師がこういった役割をすることはありません。やりがいがあると同時に、難しさや責任も負っています。

また、忙しさについては、単に忙しいというだけではなく、ムラがあります。

何しろ相手は救急の患者です。いつ、何人運ばれてくるかわかりません。長時間待たせておくわけにもいきません。

その結果、昼食の時間や休憩時間がズレこんだり、飛んでしまったりといったことも日常的に起きます。

2.人気の理由

それでも看護師さんが、この救急看護師を選ぶ理由はいくつかあるでしょう。

まず、最初に挙げたように、「やりがい」や「仕事内容の重要性がわかりやすい」ことがあります。

それ以外では

・専門性を極めることができる

・高給も期待できる

・将来の転職に有利

などが考えられます。

専門性を極めるには、「急性・重症患者看護専門看護師」「救急看護認定看護師」などの資格を取るのが、最もわかりやすいステップでしょう。

3.給料

給料に関しては、基本給はほかの診療科と特に違いはありません。ですが、救急救命センターは、夜勤にかんする制限である「72時間ルール」の例外扱いになっています。

体力に自信のある人限定ですが、多めに夜勤に入ることで、「夜勤手当」「残業手当」などの割り増しもたっぷりと受け取ることができます。

4.転職に有利

また、将来の転職は、現実の問題として看護師さんが頭に入れておかなければならないことです。

同じ所で定年まで勤め上げる人のほうが少ないぐらいです。また、大きい病院で定年になっても、自分さえその気になれば、その後も転職先が見つかります。

救急看護を経験した看護師さんは「幅広い種類の疾病やケガのケアを経験している」「手際がいい」「瞬時の判断もできる」と期待されています。「来てほしい」という職場はたくさんあります。

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