公務員看護師になるとどんなメリットがある?
公務員看護師のメリット・デメリットは、「公務員看護師全体」、あるいは「国家公務員看護師」、「地方公務員看護師」でひとまとめにして考えるよりも、更に細かく分けて考えたほうがいいです。
「国立大学付属病院の場合」「都道府県立の病院の場合」といったかたちです。
目次
1.給料
1-1.国立病院機構
データの上でもはっきり「お給料(月給・ボーナス・年収)がいい」と確認できるのが、「国立病院機構」です。
募集案内のパンフレット(「けっこういいぞ!NHO 看護職版2105年」)では、「将来の年収の見込」として……
看護師=520万円
副看護師長=610万円
看護師長=740万円
副看護部長=790万円
看護部長=900万円
……としています。
厚生労働省の発表(平成26年)によると、看護師の平均年収は473万円(平均38.9歳)です。
「国立病院機構の看護師になれば、特別な役職についていないような若い看護師でも、看護師全体の平均よりもいいお給料がもらえる」ということです。
1-2.国立大学付属病院
同じく「国家公務員看護師」の一種であっても、「国立大学付属病院」に勤務する場合、お給料はあまり望めません。
42校44院の平均年収は473 .9 万円(平均年齢35.7歳。平成26年)です。「全く平均的なお給料」ということになります。
また、国立大学医学病院の場合、「仕事がハード」「勉強会や研修など、勤務時間に計算してもらえなくて、給料にも反映しないことに時間をとられる」といったこともよく指摘されます。
「自分のキャリアアップになる」などと考えることができればいいですが、目先のお金の面だけに注目すると「あまり割はよくない」のは否定できません。
1-3.地方公務員看護師
地方公務員看護師の場合、運営しているところが都道府県・市町村と数が多いです。
給料もそれぞれ個別に決めています。
ただし、国の側も地方自治体の側も互いに、「あまり給料に格差がでないように」と意識しています。
「県立病院、市立病院などの多くのところは、国立病院機構とあまり差はない」と考えておいていいでしょう。
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2.福利厚生
2-1.充実している
「福利厚生」とは「住宅手当、寮、社宅」「保険類(健康保険、団体保険)」「子育て支援」「資格所得支援」「保養所」「社員(職員)食堂」などのことをいいます。
これは「公務員看護師全体」としてひとまとめにして考えてほぼ大丈夫です。
かなりいいです。「公務員看護師のメリット」といった場合には、真っ先に挙げる人も多いでしょう。
民間の医療機関の場合、ごく一部の最もいいところでも、ようやく公務員看護師並みです。
また公務員看護師の中でも、国(国立病院機構、国立大学付属病院など)、都道府県(都道府県立病院、公立大学付属病院など)、市町村(市立病院など)の順番になるのが一般的な傾向です。
2-2.財政状態の影響は大きい
ひとつ注意点もあります。
これらの医療機関は運営している国・都道府県・市町村の財政状態の影響を受けます。
不況が長引いていることもあって、特に市町村の中には、財政破たんするようなところも出てきています。この場合、その医療機関自体の運営はうまくいっている場合でさえ、給料などの待遇が悪くなることも考えられます。
そういった時に、真っ先に削減されるのが福利厚生面です。
ですから、財政問題を抱えている地方自治体の医療機関に就職するのは、慎重になったほうがいいでしょう。
3.転勤
3-1.地方公務員看護師
「よその土地には動きたくない」という場合、「地方公務員看護師」がおすすめです。それも都道府県よりもより市町村です。
その地方自治体のエリアから外に出ることは、まずはありません。市町村ならば、一層範囲が狭くなります。
ただし、比較的短期間で、そのエリア内の病院などを定期的に転勤させている地方自治体もあります。「全く動かない(転勤がない)」というのは、むしろ珍しいでしょう。
その転勤先は必ずしも都市部ではなく、過疎地も含まれると考えておきましょう。これをメリットと考えるか、デメリットと考えるかはその人次第です。
3-2.国家公務員看護師
「国家公務員看護師」の場合は千差万別です。
勤務先が国立大学付属病院の場合、分院などを持っているところも少なく、ずっと同じ病院内で勤務するのが普通でしょう。これは地方公務員看護師である公立大学付属病院の場合も同じです。
3-2-1.通常
宮内庁病院、国立印刷局東京病院など、中央省庁がそれぞれひとつだけ運営しているような医療機関も同じです。
3-2-2.自衛隊病院
逆は自衛隊病院です。全国に15院あります。「辞令一本で日本中どこでも飛んで行く。落ち着いたと思ったら、また転勤の辞令」は覚悟しておきましょう。
3-2-3.国立病院機構
独自の工夫をしているのが、「国立病院機構」です。
143ある病院・療養所を全国6つのブロックに分けています。
本人が希望しない限り、そのブロックの外への転勤はありません。逆に、自分さえ希望すれば、「関東信越ブロックから、九州ブロック」「中国四国ブロックから、近畿ブロック」といった転勤も可能です。
「夫は転勤族。単身赴任もさせたくない」という人にはメリットの大きいシステムでしょう。付いていった先で新しく勤め先を探さなくても、国立病院機構の中での異動で済みます。
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4.仕事内容
「夜勤や呼び出しなど、仕事の内容がハードになるかどうか」「先端医療に積極的に取り組んでいるかどうか」といったことは、「公務員看護師か、民間看護師か」よりも、「総合病院」「大学付属病院」「クリニック」などの医療機関としての形態によるところが大きいです。
ただし、民間の医療機関の場合、経営状態のバラツキは、国立・公立の医療機関よりも大きいです。また、経営者個人の考え方もいろいろな所に反映します。
そのため、民間は、総合病院だったら総合病院の中で、大学付属病院だったら大学付属病院の中で、違いやバラツキも大きいです。
つまり、仕事内容に関していえば「どちらかといえば、民間看護師に比べ、公務員看護師の方が当たり外れはない」といえるでしょう。
5.雇用保険
公務員看護師の最大のデメリットに挙げる人も多いのが、「雇用保険がない」です。
違う言い方をすると、「失業手当がない」です。
失業手当をもらうには、働いている間に雇用保険に加入している必要があります。そうすると給料の額などに応じて、自動的に給料から「雇用保険料」が引かれます。また、同じだけの額を事業主は国に支払っています。
そして、「会社(病院)が倒産した」「会社を辞めた」といった時に、働いていた期間などに応じて「失業手当」としてお金が支払われます。
雇用保険がないのは、公務員看護師だけではなく、公務員全員です。
公務員を雇っている国や地方自治体は倒産することが想定されていません。ですから、雇用保険の制度もないのです。
「あまりの激務で体調を悪くし、退職せざるをえなくなった」「職場がどうしても自分に合わなかったので、辞めた」といった時にも、民間ならばもらえる失業保険もありません。
ただし、この「公務員」かどうかは、厳密に適用されます。
当てはまるのは、雇い主が国や都道府県の場合だけです。
国を挙げての大きな改革があり、「国立病院機構」や「国立大学付属病院」「公立大学付属病院」などは、今は国や地方自治体の組織の一部ではなくなりました。
そこの正規職員も、「かつては公務員で、今も待遇面では公務員とはそうは変わらない」という「準公務員」です。
公務員ではなくなったときから、雇用保険制度は適用されています。
6.副業
また、やはり「厳密な意味での公務員」の場合に問題になるのが、副業です。
民間の医療機関でも就業規則で、副業を禁止している場合もあります。ですが、特に決まりがなければOKです。
公務員の場合は、法律で禁止されています。全員NGです。
「夏休みを利用して、ほかの病院で短期のアルバイト」「土日休みの職場なので、週末だけ介護施設で手伝い」や、「どうしてもお給料が足りず、夜はコンビニで店員」といったパターンも許されていません。
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