看護師で働くこと。なかなか分かってもらえない特殊な仕事の影。

     

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病院で働く看護の現場でのジレンマ。仕事では誰でもストレスを感じるものですが、看護師という不規則な労働環境はなかなか周りに理解をされず、人知れず悲しさを感じる人が多いです。

現場に立つ人のリアルな声が一番響きます。

参考出典元 「素顔の看護婦」 木村快 編・著 同時代社
燃えた青春時代 北 秀子(太田病院)

理解されない看護労働

一般の人には、看護労働の厳しさみたいなのが、なかなかわかってもらえないなあと思います。
PTAの役員をしていた時、「いいわねえ、昼間家にいられて、いえのこともできるし、
お金も高いし」って、よく言われました夜働く大変さがどんなものか深夜明けなんか、足は棒のようだし、身体はクタクタだし保母さんからも「夜勤明けだったら、夕方四時には迎えに来てください」って言われるし夜勤明けで十時頃家に帰って、すぐ寝られるわけじゃないし、あと片づけしたり洗濯したりそれよりも興奮してて、すぐには眠れないんですよね結局寝るのはお昼ぐらいになっちゃうんですだから四時に迎えに行くのは本当にきつい「日中寝てるからいいわねなんて言われるとがっかりしちゃう日勤深夜というのは、八時半から三時まで働いてその日の夜十一時半から翌朝までなんです。

子どもがいなけりゃ帰って休めばいいけど、子供がいると迎えに行って、ご飯食べさせて、朝はわたしがいないわけだから、学校の準備をさせたりして、休む暇なく深夜に出かける。自分でもよく続くなあ、と思う。

三交替勤務はどこの病院も似たりよったりです。うちは、準夜は夕方四時から夜中の時、二時までですが、次の日は午後から働きます。日赤なんかは準夜して日勤なんです。だからうちなんかより、もっと厳しいところもあります。夜勤のあり方はいろいろ問題になっています。実際は難しいですけど、深夜明けから準夜の間は八時間は空けようとか。

ほんとは、夜勤は子持ちは子持ちじゃない人の半分でいいという看護婦部内の申し合せがあったんです。それから子どもを産んで一年間は育児期間といって、時間は勤務時間が短くていいことになっている。だから、十一回夜勤だとすると子持ちは半分の六回でいいわけです。

ところがどんどん子持ちが増えて若手とのバランスでそういう保証ができなくなったんですね。今は子持ちじゃない人は最高十回、子持ちは十回までになっています。わたしも月九回から、十回です。十回夜勤に入ると、月の半分以上は夜勤です。日勤は通して週間ですね。だから、夫や子どもと夕御飯を緒に食べるのは、一週間に数回ですね。

わたしのなかの矛盾

わたしの頃はなかったけど、今は、希望すれば年間育児休業がとれます。給料は出ないですから、その人の生活に応じて、三カ月とか半年とか中には年とる人もいます。ただ、その分、限られた人員の中で補い合うわけですから、そういう意味では権利の拡大なんだけど、職場でそれを守る大変さが出てきてますよね。

まあ子どもは手を離れましたけど。中学二年生と、六年生と、三年生だから手がかからないといったら語弊がありますけど、まあ、おむつ替えたりなんてことはないですよね。だけどどんどん年をとってくるでしょう。仕事はいやじゃないですけど、夜勤が十回、十回となると、もう体力的には限界。子どもが小さかった頃はもっと大変だったと思うんだけど、若かったんでしょうね、そうは思わなかった。

今はね、もう多少時間があっても、何もやりたくないんです。ほんの四、五年前までは、映画を観たいとか思ったんだけど、今は、休みの日はとにかく次の勤務のために休んでおきたい。身体がついていかないもんですからね、仕事をしていても患者さんに優しくできないんですよね、昔みたいに。そういうことを繰り返して働いていることがすごくせつない。

わたしの知ってる子で、ある病院の準看学校を卒業して、お礼奉公みたいにして働いてる人がいるんですけどね。その病院は四百五十床の病院なんですけど、とてもきつくて、年のお礼奉公を続けるのがぎりぎりだって。わたしたちも大変大変って言ってるけど、話を聞いてみると、もっと大変みたい。

わたしもここだからやってこれたんだろうけど、でも、もう限界だなって思う。だから、夜勤のないパートをやろうかななんて、つい考えたりしちゃうんですよね。

今の若い人は、わたしたちが看護婦になった時代と違いますからね。医療レべルもすごく高くなってるし、夜中に人工呼吸器を一人で何台もみていくとかね。それだけ責任も重いし、よくやってると思いますよ。今の方がはるかに条件もきついし、仕事もハードです。

わたしたちが卒業した頃は、こんなレべルの仕事、とても考えられない。そういう意味ではすごくきびしいことを要求されてるし、また応えていっているわけですからね。すごいなって思います。だから、若い人と働くのはすごく刺激になるし、学ばないといけないと思いながら、でも、体力的についていけないんですよね。

それにしても、若い頃あんなに燃えてたのにと思う。本当は人生的にも技術的にも、経験を積めば積むほどいい仕事ができるはずなんだけど、それがやれなくなるとしたら、ほんとに悲しい。年代に応じた仕事ができるようにならないものかしら。

まとめ

どんどん高度化していく医療現場は、同時にいろいろな負担も増えていきます。

責任感が大きくなる、専門知識が多くなる、患者さんが多くなる・・・

その一方で看護師の負担を減らす試みは進んでいない現状。働く看護師を守ることは緊急の課題です。

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