外来看護師(一般外来・専門外来看護師)で働く!仕事内容・年収・役割。転職前にわかる業界おまとめ

     

Nurses have a syringe

1.外来(一般外来・専門外来)で働く

看護師さんにするといまさらの話ですが、ひとことで外来といっても、いくつかの種類があります。

外来の言葉でイメージされるのは、病院での「日帰りの診察を受け持っている部門」です。これと対になるような存在は入院病棟です。

診療所(小規模なクリニック・医院)でやっているのも、外来といえば外来です。ですが、経営規模が異なるため、仕事内容も違えば、給料などの待遇も違います。別のものとして考えたほうがいいでしょう。

病院の外来は、次のように分かれます。

1-1.一般外来

内科、外科・形成外科、小児科、呼吸器科、産婦人科といったように、カバーする範囲は比較的広めになっているものをいいます。

1-2.専門外来

一般外来で扱うよりもカバーする範囲が狭くなっています。

「どういう範囲を扱うか」「どういった名前をつけるか」は、病院の自由なので、様々なものがあります。

たとえば、内科系であれば、神経内科専門、内分泌専門、胃腸専門といった体の部位などで名前が付いているものがあります。

かと思うと、糖尿病専門、ぜんそく外来、アレルギー外来、更年期外来、肥満外来、禁煙外来など、症状・疾病や目的で名前が付けられるものもあります。

外科系も同様です。手専門、膝専門、脊椎専門、股関節専門、乳腺専門、肛門専門といったものもあれば、腫瘍専門、リウマチ専門、骨粗しょう症専門などなど、ほとんどなんでもありです。

1-3.処置室

大きな病院の場合、一般外来や専門外来以外に、この処置室を作っていることがあります。

ここでは主に、採血や点滴などを受け持ちます。

1-4.救急外来

24時間態勢で急患を受け付けています。そのため、ほかの外来にはない夜勤があります。

必要とされる知識・スキル、資質も異なります。これも全く別のものと考えたほうがいいでしょう。

ここでは病院が持っている外来で、一般外来と専門外来を採り上げてみます。

2.外来看護師の仕事内容・役割

もちろん、病院やその診療科にもよりますが、外来看護師の仕事は次のようなものです。

①問診をし、問診表をつくる
②待合室・診察室での誘導
③体温・血圧などのバイタルチェック
④医師の診察の介助
⑤検査
⑥処置
⑦患者への説明、相談の相手
⑧病棟との連絡
⑨診察室・待合室の備品整備・整理整頓
⑩事務仕事

外来看護師の仕事というと、だれでもが思いつくのが、④の「医師の診察の介助」です。ですが、実際には仕事は、患者さんが診察室に入る前から始まっています。①~③がそれに当たります。

・診察前

受付や待合室に来た患者さんの様子を観察します。また、患者さん本人や付き添いの家族に声を掛けて、状況を聞き出し、緊急性の高さも判断しなければなりません。これらは問診表に記録します。

中には、受け付けた順番を変えてまで、優先しなければならない患者さんもいるでしょう。

こういったところから、疾病に関する幅広い知識、正確な観察眼、患者さんらとのコミュニケーション能力が必要です。

問診表は、医師が診察を始めるときの参考になります。信頼でき、手際のいい看護師さんがいるかどうかで、診察時間の長さや医師の負担も変わってきます。

・待合室・診察室での誘導

これは意外に大事です。単に「◯◯さん、診察室にどうぞ」と声をかけるだけではありません。

外来は、もうかなり前から常に大混雑になっています。「3時間待ちの3分診療」などといわれてしまう状況です。ロスする時間はできるだけ少なくするしなければやっていけません。

言葉は悪いですが、患者さんをどんどん回転させることもやることになります。

ぐずったり、駄々をこねて、診察を拒否しそうな子供がいたら、なだめなければなりません。

お年寄りはもちろんのこと、若い人でも、病気のせいで注意力が散漫だったり、足の運びがスムーズではないかもしれません。こういった場合、患者さんの手助けをするというだけではなく、早く出入りしてもらうということからも、手を添えるなど看護師さんの方でも工夫が必要です。

診察室の中では、もちろん、診察補助があります。薬剤・機器の用意のほか、注射や点滴といった処置、機器の操作などまで含まれます。

ただ、病院によっては、検査室や処置室が別に設けられていて、患者さんにはそこに回ってもらうようなところもあります。

この場合、診察室の担当であれば、⑤の検査や⑥の処置などにはノータッチになることもあります。

⑦患者への説明、相談の相手

診察が終わったあとの患者さんへの応対も大切です。

医師から説明を受けても、十分に理解できておらず、看護師さんにもう一度説明を求めてくる患者さんもいます。先生(医師)よりも看護師さんのほうが話がしやすいということで、相談を持ちかけてくる患者さんも珍しくありません。

こういった時に、「自分にはよくわからない」で済ませるわけにはいきません。かといって、わかりもせずにいい加減なことをいうわけにもいきません。

・日帰り手術

また、診療科によっては、あまり難しくないものであれば、そのまま外来で手術まで受け持つことがあります。日帰り手術や外来手術といわれるものです。

看護師さんも、外来担当のメンバーがそのまま手術室に回るようなところも珍しくありません。

この場合、手術室専門の看護師ほどではありませんが、手術に関するスキルや知識も必要になります。

この日帰り手術が比較的多いのは、産婦人科、眼科などです。

3.外来看護師の給料

これは病棟の勤務と比較して考えるのが、理解が早いでしょう。

基本給は変わらないが、夜勤手当のない分、安くなるというのはもはや常識です。

「では具体的にはいくらぐらい?」となると、財団法人・日本看護協会が出している「病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書2012」の数字が参考になります。

これによると、夜勤手当の平均額は、三交代・準夜勤=3,812円。三交代・深夜勤=4,635円。二交代=10,119円です。

「同じ病院内で病棟勤務している人が二交代で月4回夜勤に入っている」とすると、これだけで月給で約4万円の差がつくことになります。

実際にはさらに、残業手当でも差がつきます。

とりあえずのメドとして、「外来の方は、病棟に比べて、この倍ぐらい(約8万円)月収が安い」と考えておけばいいでしょう。

ボーナス(賞与)でも差がつきますから、年収でいえば、100万円以上の差になります。

三交代との比較であれば、もう少し差が小さくなるのが一般的です。

これらの金額は、もちろん勤め先や、自分の年齢・経歴でも大きく変わります。あくまでメドです。

4.外来看護師に必要なスキル

一般外来でも専門外来でも共通して必要とされるのが、手際の良さです。

これは看護師ならば外来以外でも同じでしょう。ですが、外来であれば、この手際の中でもスピード感が特に要求されます。

これは先に挙げた「3時間待ちの3分診療」から考えると、もはや説明は要らないでしょう。

もちろん、単に早いだけではダメです。医療事故につながらないように正確にやらなければなりません。

また、コミュニケーション能力がなければ、このスピード感を実現できません。

診察前の看護師による問診によって、医師の診察の負担も変わってきます。同じ症状でも、人によって軽めにいったり、深刻にいったりもします。それらも考慮して、医師に正確に伝えなけばなりません。

それも単に聞き出せればいいというものではありません。相手は体調不良で不安も抱えています。その不安を和らげるような配慮も必要です。

「医師の説明が理解できなかった」、あるいは、「医師よりも看護師さんのほうが話しやすい」といったことで、看護師さんが頼りにされることが多いのも、外来の特徴です。

何しろ、医師もゆっくりと患者さんと話がしたいと思っても、「3分診療」では無理です。それを補う役目が看護師に回ってくるのです。

多くの患者さんと次々に接します。そのため、外来の看護師さんの態度でその病院のイメージも決まってしまうことも多いものです。

「あの病院の看護師は偉そうにしている」「頼りなさそうな看護師ばかりだった」といった印象を与えるようでは、患者さんの数を減らしてしまうことにもなりかねません。

また、特に専門外来の場合、その医療分野・看護分野での専門的なスキル・知識が必要なのはいうまでもありません。

今挙げたように、医師の代わりに看護師さんに説明を求めたり、相談相手にされることが多いことを考えると、その専門知識は単に頭に詰め込んだけではダメです。一般の人にもわかる説明ができるように、こなれたものにしておく必要があります。

5.外来看護師の資格

看護師がスキルアップ・キャリアアップするのに役立つ資格といえば、日本看護協会が認定団体になっている「認定看護師」と「専門看護師」が代表です。

そのものズバリの「外来看護認定看護師」といったものはありません。一般外来の看護師が目指すようなものはありません。

この面では専門外来のほうが有利です。それぞれの診療科にかかわりのある看護分野で目指せばいいでしょう。

5-1.認定看護師

認定看護師で考えられるものとしては、皮膚・排泄ケア、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、糖尿病看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、がん放射線療法看護、慢性呼吸器疾患看護、慢性心不全看護などがあります。

5-2.専門看護師

専門看護師も同様に「がん看護」などいくつかのものが考えられます。

ただし、外来看護師に限らないのですが、これらの資格を持っていれば、それだけで自動的にキャリアアップできるというものではありません。

日本看護協会のアンケートによると、認定看護師の約3分の2が「認定看護師になっても、給料・ポストなど病院側の扱いは変わらなかった」と回答しています。

ですから、大半の人は、資格を取ろうと考えると同時に、「資格の価値がわかってくれる病院に転職する」ということも考えたほうがいいでしょう。

この認定看護師・専門看護師になるには、試験をパスする必要があります。その試験はチェック程度のものなので、高いハードルではありません。

問題は受験資格で、その中でも学校に関するものです。

認定看護師の場合は「指定の機関で、半年、615時間以上の教育課程を修了」、専門看護師の場合は「大学院修士課程修了、プラス、指定授業の一定単位取得」となっています。

これらには夜間コースや通信コースはありません。休職したり、いったん退職するしかありません。

これに対しても、あまり協力的ではないところが大半です。

ですが、一部とはいえ、「病院側も大歓迎。授業料を出してくれるだけではなく、『学校に通うのもの仕事のうち』として、勤務もしていないのに給料も出る」というところまであります。

やはり、準備段階でも、先に勤務先を選んでおいたほうが良さそうです。

6.外来で働くメリット・デメリット

ここでは病院の一般外来・専門外来で考えています。 

メリット・デメリットを考えるのであれば、比較の対象になるのは、入院病棟や救急外来、診療所(医院、小規模なクリニック)あたりでしょう。

6-1.メリット

入院病棟や救急外来 との比較であれば、なんといっても、夜勤がないのがメリットです。

看護師の仕事はハードというのはもう知れ渡っています。中でも24時間態勢になっていて、夜勤がある病棟や救急外来の勤務がその典型です。

「仕事は気に入っているし、給料も高いので満足している。だけど体がついていかない」といってそれらから転職する人は少なくありません。

一般外来や専門外来の勤務であれば、そういった思いはしなくて済みます。

診療所との比較であれば、「雑用が少なく、看護師本来の仕事に集中できる」というのをメリットと考えていいでしょう。

診療所では看護師だけではなく、全体のスタッフも少ないです。看護師は数人だけどろか、1人切りも珍しくありません。その少ない看護師が受け付けもやれば、待合室・診察の掃除までやるのが、一般的です。

外来の看護師も様々な役割を任せられますが、診療所に比べればまだ範囲が限られています。

また、福利厚生が充実しているというのも、診療所との比較の上でのメリットです。

福利厚生とは、住宅手当、寮・社宅、育児手当、保養所、職員向け食堂などをいいます。

お金で給料にプラスされるものもありますし、これらのおかげで出費を抑えられるものもあります。福利厚生が充実していれば、その分給料が高いのと同じです。

診療所のような経営規模の小さいところでは、福利厚生はほとんど期待できません。逆に、外来の診療科がたくさんあるような大学病院や総合病院であれば一般的に充実しています。

6-2.デメリット

夜勤がないということとの引き換えですが、給料が安いというのがデメリットです。

先にざっと計算しましたが、「病棟勤務で二交代制の夜勤に月4回入っている」というバターンと比べると、月給で8万円、年収で100万円以上安くなっても仕方ありません。

また、けっこう患者さんへの応対で苦労していたり、ストレスをためている看護師さんもいます。

多くの外来の看護師さんは、医師よりも先に患者さんやその家族に接することになります。

患者さんらは「早く医師に診てもらいたい」「体調が悪くて不安でならない」といった気分でいます。中には、「いつまで待たせるんだ」といらだったり、自分勝手な都合で「順番を先にしてくれ」とゴネる人だっています。

診察後にも、忙しい中、訳のわからない質問をしてくる人もいるでしょう。

だからといって、看護師さんの側がキレるわけにもいかないのです。

また、その職場の環境次第ですが、中にはスキルが低下する看護師さんもいます。特に処置室が別に設けられている場合に深刻です。注射や点滴といった手技は全部そちらが担当しますので。

この場合、「次に病棟などほかの持ち場などに異動する・転職する」といった時に大きな不安を抱えることになります。

7.外来への転職の注意

「病棟勤務をしたいけれど、家庭との両立のために外来に移る」という人もいるでしょう。

そういった場合に注意が必要なのが、残業の多さです。

この場合の残業は、二交代制のように最初から16時間勤務になっているようなものではありません。

「受け付けた患者さんが多くて、最後の人まで診ていたら午後の診察時間をはるかに過ぎた」や「患者さんが帰った後に、事務仕事などをしていて遅くなった」というものが多いです。

その分の給料は出るでしょうが、これではなかなかその日の予定が立ちません。

残業がどの程度あるかといったことは、求人広告ではわかりません。自分で調べるにも、手順がわからないでしょう。

看護師転職サポートを利用するのもひとつの手です。先に情報として抱えているかもしれませんし、なくても知りたいことを依頼すれば集めてくれます。

ただし、どこのサポート会社でもいいわけではありません。中には、電話で聞けばわかる程度の情報しか集められないサポート会社もあります。

また、そういったところに限って、こちらの希望は無視して、とにかく話をまとめようとします。

まずは登録してみて、実際に担当者とも会ってみましょう。その結果、「ちゃんと何度も病院に足を運んでいる」「こちらの希望をしっかりと頭に入れている」と思えるサポート会社や担当者だけを残すようにします。

だからといって、「最も良さそうなところを1社だけ」と絞りこみすぎるものよくありません。

サポート会社ごとに持っている求人案件が違います。病院の方もあちこちには依頼していないでしょう。

めぼしい求人を逃さないようにするには、3、4社に登録しておくのがコツです。

少し手間に感じるかもしれません。ですが、転職は一生を左右するようなことです。これぐらい慎重にするのは当然のことです。

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