NICU看護師へ転職!給料と仕事内容、役割。面接前にわかる業界おまとめ
NICU、新生児科の看護師の仕事は、特に小さな命を預かり責任の重い職場です。生まれたばかりの未だ、不安定な状態の赤ちゃんを全力で助けるこの科は、他の診療科では得られない大きなまた優しい満足感が得られます。ここではICUの求人をきちんとものにするための知っておきたいポイントをまとめました。
目次
1.NICUとは
「NICU」は省略せずにいえば、「Neonatal Intensive Care Unit」です。日本語では、「新生児特定集中治療室」といいます。
最も単純にいえば、「トラブルを持って生まれてきた赤ちゃんの命を、集中的な治療で救うところ」です。
「小児科の中の一部門」という位置付けの病院もありますが、「新生児科」「未熟児科」という診療科(NBN(newborn nursery)、新生児病棟)をもうひとつ作って、その主な機能としているのが一般的です。
「命と直面することも多い」「最新医療が導入されている」といった特徴があり、「看護師としての充実感が高い」「プロフェッショナルとしてのレベルが高い」と同時に、「責任が重い」「仕事がハード」「精神的にもタフでないと勤まらない」というところでもあります。
早産による低体重児も増えている現状から、NICUの必要性も高まり、人材も求められています。
2.NICU看護師の仕事内容
看護師はここの専属になるか、「GCU」との兼務になることが多いです。
「GCU(継続保育室、回復治療室)」では、NICUに入るほど重症ではないか、そこでの治療を終えた患者(新生児)を扱います。
NICUで受け入れる新生児のトラブル・疾病で、最も多いのは未熟児です。
それ以外では、「低酸素虚血性脳症」「呼吸障害」「先天性心疾患」「先天性消化管疾患」などがあります。
赤ちゃんはただでも抵抗力・体力がなく、臓器もしっかりしていません。いずれも生命の危険もあるようなものばかりです。
ほとんどの赤ちゃんが保育器の中に入り、モニター類の端子が着けられ、点滴をされ、人工呼吸器も使われていると考えていいでしょう。
看護師の役割としては、これらのモニター類のチェック、機器の管理をし、注射・点滴・経口などでの薬剤投与などを行います。
こういったことは、一般のICUでも行っていることです。違いといえば、患者が赤ちゃんであることから、観察が一層重要になります。
たとえ意識があっても、大人と違って、自分でナースコールはできません。体に異常があっても、言葉で訴えることはできません。機器によるモニターだけでは異常を全部発見することもできません。
NICUナースが変化や異常を見落とさないようにしなければならないのです。
また、おむつの交換や授乳なども看護師の仕事になります。
もちろんのこと、24時間態勢です。看護師は二交代制か三交代制でこれをカバーします。
また、親へのケアも重要な仕事です。
ようやく生まれてきた自分の赤ちゃんがNICUに入って、平然としていられるような母親・父親はいません。
「妊娠中の自分の行動に問題があったのでは」と自身を責める人もいるでしょう。赤ちゃんの将来を悲観する人がいても、全くおかしくありません。
中には、自分の赤ちゃんなのに、見ることができないお母さんもいるぐらいです。
逆に「自分の手元に置きたい」という人がいても、引き離して、保育器に入れてもしまいます。
そういった人たちを慰め、前向きになるように手助けするのも、看護師の仕事です。
3.NICU看護師の給料
NICUを希望する理由として、「給料が高い」を一番に挙げる人はあまりいないでしょう。
ですが、NICUの高い給料には「激務を金額で補っている」という面があるのも確かです。
「よその病院のNICUよりも給料が安い。もらうべき手当もしっかり出ていない」となると、仕事へのモチベーションにかかわる可能性も高いです。
すでにNICUで働いている人は自分の給料明細で、「これから転職しよう」という人は求人情報で、手当類は一度しっかりとチェックしてみましょう。
3-1.夜勤手当と残業手当
「基本給はどの診療科でも大きな差はない。夜勤手当と残業手当の部分で差がつく」というのは、看護師一般にいえることです。
夜勤手当は「22:00~05:00の勤務についた場合、昼間の給料の最低でも25パーセント増し」、残業手当は「8時間を超える勤務についた時は、その超えた分に関して、最低でも普段の給料の25パーセント増し」と法律で決まっています。
ですから、チェックするべきことは、「法律で守られている分はちゃんと出ているか」と、「最低でもとされている25パーセントよりも、どのくらい積み増しがあるか」です。
中には、「交代勤務手当」などの名目で、この時間での計算に加えて、さらに「1回ごとにいくら」の金額が付くようなところもあります。
3-2.72時間ルール
看護師の世界には、夜勤に関して「72時間ルール」があります。「夜勤での勤務時間は、月に72時間以内」というものです。
二交代制ならば月4回、三交代制ならば8回か9回が限度です。
これを破ると、病院側は国から支払われる診療報酬を大幅に減らされます。この状態で経営できるほとんどなく、表立って違反するようなところはありません。
ですが、夜間も人手を減らせないような診療科や持ち場はその例外扱いになっています。これには救命救急センターやICU(集中治療室)、HCU(高度治療室)などの集中治療系の病棟や回復期リハビリテーション病棟、緩和ケア病棟、認知症治療病棟などがあります。
NICUもそのうちのひとつです。
ですから、二交代制の場合であっても、5回6回と夜勤に入ることができます。三交代制の場合も同様です。
その分、夜勤手当、残業手当もしっかりと付くことになります。
ただし、もう一度思い出さなければならない注意点は、「この例外扱いがあるのは、これらの診療科などでは、看護師の夜勤も大きな負担にならないからではない。病院や患者の都合が優先で、人手が減らせないから」という点です。
「こんな回数をこなせるのは、体力に自信のあるある人に限られる」と考えておいたほうがいいでしょう。
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4.NICU看護師に必要なスキル
ほかの診療科に比べて、求められるスキルや資質はとても多いです。
4-1.新生児への対応力
まず、「新生児についての一般的な知識」「新生児の疾病に関する看護知識・スキル」はもちろんのことです。新生児ケア、新生児治療は、独自の勉強が必要なので、小児科病棟の経験者は有利です。
4-2.急性期看護
「急性期看護」についても習熟している必要があります。NICUに入るような赤ちゃんはいずれも「急性期」なのです。
もちろん、頭でわかっているだけではなく、臨機応変な対応、冷静な判断などもできなければなりません。
4-3.両親、家族族への応対
また、看護師にとって、大きな負担やプレッシャーになることがあるのが、母親を始めとした家族の存在です。
自分では何もできない赤ちゃんを、病院に預けたきりの状態です。
また、トラブルのある状態で赤ちゃんを産んでしまったことに対して、気持ちの整理もできていないでしょう。
本当だったらば、待ち望んだ赤ちゃんが生まれて、幸せいっぱいだったはずです。それがいきなりの病院暮らしで、保育器の中、チューブだらけで痛々しい姿。この現実に耐え切れない人もいるでしょう。
いろいろな複雑な感情ストレスが入り交じって、その矛先が医師や看護師に向かうことがあります。何でもないことにまでクレームをつけるような親は決して珍しくないのです。
「いま赤ちゃんはどんな治療を受けているか」「この先はどういったことが予想されるか」「親としてできること、注意しなければならないことはなにか」といったことを、持っている限りのコミュニケーション能力を発揮して説明しなければなりません。
4-4.基本スキル
「看護師としての基本的なスキル」「看護師の手技」と呼ばれるようなものは、よりレベルを上げる必要があります。
先にも説明しましたが、自分では言葉を話せない相手なので、「観察力」が頼りです。高い集中力も必要ですね。
注射や点滴のために穿刺(せんし)をするにも、血管は細いです。抵抗力が弱く、臓器も十分に働いていません。薬剤の少しの多い少ないでも、大きなダメージになります。
また、使われている医療機器は種類も多く、最新式のものもどんどん入ってきます。これらの操作に習熟するとともに、新しいものについていくための勉強も常に必要になります。
4-5.体力
また、これは知識でもスキルでもありませんが、心身ともにタフさや精神力の強さも必要です。
単に夜勤があるだけではなく、72時間ルールの例外扱いになっていて、夜勤の回数の制限がありません。体調管理は難しいです。
5.NICU看護師の資格
キャリアアップ・スキルアップのために資格取得をするなら、どんな資格があるのか?
NICU看護師の場合は、日本看護協会が主催する「新生児集中ケア認定看護師」と「小児看護専門看護師」を意識しておけばいいでしょう。
受験資格は
新生児集中ケア認定看護師
①「看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)」と②「看護協会が指定する教育課程(6か月・615時間以上)を修了すること」です。
小児看護専門看護師
③「実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること」と④「看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること」です。
①と③はほとんど問題はないでしょう。どちらも「看護師として5年以上働いていて、そのうちNICU勤務が3年以上」で大丈夫です。
問題は②と④、とくに④でしょう。これらの学校(教育課程)には夜間コースはありません。
②の場合は、まだまだそういったところは少ないものの、中には職場が協力的で、「半年の通学期間は休職扱いにしてくれる。勤務もしていないのに、給料まで出る」というところもあります。
④は「大学院修士課程修了」も条件になっているので、最低でも2年はかかります。実際には、「スパッと仕事はやめて、この期間は学生に専念する」という人が多いようです。
また、どちらの場合も、「全く職場に理解がなく、資格を取るにも一切協力してくれない」というだけではなく、「せっかく資格を取ってきたのに、給料は上がらず、役職も以前のまま」というところも決して少なくありません。
そういったところに勤務している場合、資格を取ろうと考えている人・実際に取った人は、「資格の価値がわかるところを探す」と割りきって、転職も同時に進めたほうがいいでしょう。
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6.NICUで働くメリット・デメリット
6-1.メリット
6-1-1.やりがいが大きい
メリットの最大のものは、なんといっても、NICUならではのやりがいがあるという点でしょう。
相手は治療しなければ、すぐにでも亡くなってしまう状態です。しかも、これからの人生がまるまる残っています。
一方で、治療の効果が出るのも早いです。看護の手ごたえもしっかりと持てます。
家族からの感謝の気持ちも、患者が大人や老人の場合よりもはるかに大きいものです。
これほど「命を救った」「看護師としての役割を果たした」という気持ちになれる診療科はほかにはありません。「これこそ看護師の醍醐味(=物事の本当の味わい)」といえるでしょう。
「新生児」&「急性期」ということから、最新医療・高度医療が積極的に導入されています。
看護師としての知的好奇心を満たし、スキルアップもできる職場です。
6-1-2.給料が高い
ただし、これは「72時間ルールの適用外なので、夜勤の回数が多い」ということの結果です。
「体力に自信のある人限定のメリット」と考えたほうがよさそうです。
6-2.デメリット
NICUのデメリットは、ほとんどがメリットの半面です。
6-2-1.緊張感が高い
「新生児」&「急性期」なので、命の危険性と直面しています。
少しのミスがそのまま生きる死ぬに直結してしまいます。緊張感がとても高い職場なのです。
治療のかいなく、亡くなってしまう新生児も多いです。「精神的なダメージを受け、引きずってしまう」「自信を失ってしまう」といった看護師さんもいないわけではありません。
6-2-2.ハード
また、緊張感が高い職場なのに、勤務体制もハードです。なにしろ、「72時間ルール」の例外扱いなので、夜勤の回数制限がありません。
疲労が蓄積してしまう条件がそろっています。
7.NICUへの転職の注意
NICUは「新生児」&「急性期」を扱う持ち場なので、仕事内容もかなり特殊です。
産科やICUなど共通する面があるところからの転職ならばまだしも、一般的な診療科からの転職はかなりの覚悟が必要です。
「ほとんど全部、勉強の仕直し」と考えたほうがいいでしょう。実際、多くの病院でしっかりとした教育体制を組んでいます。
「職場の緊張感の高さ」「勤務のハードさ」はすでに、この記事でも触れています。
これらの厳しい条件をクリアする自信がある人でなければ、NICUへの転職は慎重になったほうがいいでしょう。
ただ、NICUで一通りの経験を積んだら、その周辺へのいろいろな道が広がっています。
小児科へ転職は容易ですし、スムーズに再スタートも切れるでしょう。中には、産科への興味が高まり、助産師の資格を取るような人もいます。
もちろん、「新生児集中ケア認定看護師」として、NICU看護師としての専門性を高める道もあります。
もし、NICUに関連するような部署への興味もあるようならば、「周産期母子医療センター」や「GCU(継続保育室、回復治療室)」もあるような病院を選ぶようにしたほうがいいでしょう。
このように、NICUへの転職には、病院ごとの特徴もしっかりとつかむ必要があります。
これらの情報はなかなか自分では集めきれないでしょう。そういった場合、看護師転職サイトを利用するのもひとつの手です。転職コンサルタントが希望に応じた求人を紹介してくれます。
ただし、「担当者が実際に自分の足で見て回っているところ」をしっかりと探すようにしましょう。そうでないと、「サポート」になりません。
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