子育て看護師の大変さはなかなか理解されない。自分の時間を手放しても幸せになれる?

     

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huffingtonpost.jp

看護師という仕事は普通の人に比べて犠牲にしなくてはいけないものが多い。現役看護師さんで同時に子供がいるママさん看護師の人にしか分からない大変さをきちんと受け止めようと思わせてくれる手記です。

好きなこと、楽しいこと、やりがいという正の一面だけを見ていては看護師という仕事を分かったことにはなりません。表には出てこない負の部分もきちんと正視して自分の本当にやりたいことなのか、考えてみることが大切です。

参考出典元 「素顔の看護婦」 木村快 編・著 同時代社
お母さん看護師のグチ 上条ひろみ(立川相互病院)

患者さんの中で

集中治療室に入った、金さんの看護は忘れられません。金さんは在日朝鮮人の方でしたが、術後、身体の向きを自分で変えることができなくて、助けを求められたんです。そのとき「あなたは若くて新しすぎて、患者の痛みがわかっていない」と言われました。わたしはむかっとして「わたしはもう二年目です」って言い返してしまったんです。わたしだって一生懸命やってるという思いの方が強かったんですね。

その金さんが、退院してからわざわざ寮に電話をくれたんです。

「手術の後で気が立っていて、かゆいところに手が届く看護をして欲しかったんです。言い過ぎました」

わたしは何もできないくせにプライドだけあって、患者さんの気持なんて考えたことなかったんです。すごく反省しました。学生の時の実習で、胸の手術をした患者さんから「こういうのを一期一会っていうんだね」と言われたことがありました。偶然の出会いですよね。これから多分会うこともないでしょうし、そう思うと本当に出会いを大切にしたい仕事だと思います。

健生病院には三年半いました。春の祭典というのがあって有志で合唱をやりました。そこで民医連合唱団をつくることになったんです。そのとき一緒にやっていたのが彼です。彼は立川相互病院で事務をやっていました。みんなで取り組んだ青年ジャンボリーは、自分がやっている医療を見直すきっかけになりましたね。彼も患者会とかいろんなことやってましたから、話す時間もあまりなかったんですけど、楽しかったです。

民医連は署名活動とか、いろいろあるでしょう。わたしは、そういう活動はあまりやりたくないと思ってました。自分の時間がなくなるのがいやだったんです。映画観たり、演劇サークルに通ったり、自分の趣味に夢中でしたね。

仕事は、目の前のことを一生懸命こなしているという感じでした。結婚する時も、民医連の活動のこともよく知らないで、あんまり考えないで結婚しました。変ってきたのはつい最近ですよ。今思えば、彼の考えてることを何もわかってなかったし、ただ結婚して一緒になればなんとかなると思ってました。妊娠してからも健生病院に通ってましたが、通いきれなくなって、立川相互病院に入れてもらいました。

最初は内科外来でした。二年くらいいたのかなと思いますけど、わたしは外来より病棟が好きですね。毎日、日勤やるのは耐えられないんですよ。自分の時間が一切とれないでしょう。独身の時は、夜勤明けに映画観たりしました。今は体力的に無理ですね。それに家に帰れば家事もありますし、自分の時間はやっばりとれませんけどね。

彼が共産党から立候補するといった時は、泣いて反対しました。離婚しようとまで思ってましたね。彼は他人の世話でとびまわる。夜勤明けでわたしが休んでいる時でも、生活相談の電話なんかいっばいかかって来るんです。なんでわたしがこんな電話受けなきゃいけないのかって矛盾でした。

母親同士もっと話し合いたい

この頃少し変ってきました。今までは目の前の仕事をこなして家庭もうまくやって行く、それだけしか考えてませんでした。でも、大もとが変らなければ駄目だと思うようになりました。そのためにも、まわりの人になまの姿を訴えていかなければと思っています。去年の一月頃は何もかもいやで、何がいやなのかもよくわからない状態でした。やめたかった一番はやっばり子育てとの両立がむつかしかったことですよね。

外来ならとも思いますけど、外来も当直、固定残業があるんです。朝から夜間外来までだと、午前八時から午後九時までです。当直は月二回で、午後五時から翌朝九時なんです。わたしは身体のことも考えて病棟の方がましかと思います。本当の昼間だけとなるとパートになるんです。
どっちにしても、回やめないとそうできないし、でも、よく考えたら看護婦の仕事はいやじゃないんです。人とのつながりをもった仕事は好きなんだから、やめる必要はないと考えるようになりました。

去年の春、たつのさん(現代座)に出会っていろいろ愚痴話をしてたら、たっのさんがそれを歌にしてくれたんです。それを自分で歌ってみると、まったく自分の気持そのままなもんだから、泣いてしまいました。でも作ってくれた時は本当にうれしかった。わたしの気持をわかってくれる人がいるんだって思いました。たつのさんのコンサートで緒に歌ったら、いろんな人から声かけられて。まわりの人たちがすごく支えてくれるんです。保育園の先生とか、同じ体験をしたお母さん看護婦さんとかそういうことも見えるようになったと思います。

時々スランプになります。自分のためにも学習会に出たいし、出ようと思ったら睡眠時間をって、子どもも預けなきゃいけないんです。自分にとっては得るものは大きいと思います。でも、子どもは遅くまで預けると朝ぐずる、体調をくずす、家事はたまってくる、とかえってリスクも大きいんですよね。仕事の方もお迎えを気にしてると、精一杯やれないんですよ。でも独身の人にわかってもらうのは厳しいです。わたしも独身の時はいろいろ聞かされても、どう大変なのかわからなかったですから。

本当はお母さん看護婦ともっと話をしたいんですよ。実生活ってすごく大変だから、いい方向にもっていけるよう、協力し合いたいと思います。子育ての理念なんて特別ないんですけど、接する時間が少ないので、彼にも力を合せてやってもらいたいです。娘が看護婦になると言い出したら反対はしないと思います。でも、させたいとは思いませんね。もうちょっとのびのび休みの時は連れ出したり、いいものに触れさせたりしたいんですけど。子どもらしくないとこ、いっばいあるんです。泥んこ遊びをいやがったりとか。

まとめ

働きながら、仕事をしながら子育てをする。夫婦共働き。これは今の日本の経済状況ではごく一般的になりつつあります。でも、看護師という仕事は時間も不規則、肉体労働、生死にかかわる責任感、精神的プレッシャーという他の仕事にはない大きな違いがあります。

この大変な仕事を通じて、自分の夢、目標を持ち、きちんと子育て家庭も守るという偉業を成し遂げている女性はやはり尊敬してしまいます。


     

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