専門看護師の基礎知識。資格取得の流れとメリット・デメリット。

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ステップアップ、キャリアアップに専門看護師を選ぶ人が増えています。まだまだ狭き門ですが、確実に成長できる魅力的な資格です。ここでは専門看護師の大切なポイントをまとめました。

1.専門看護師の条件

専門看護師になるには……

①看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること

②実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること

……を満たし、その上で……

③認定審査(書類審査・筆記試験)

……をパスしなければなりません。

②と③は認定看護師とほぼ同じです。「全く問題はない」とはいいません。ですが、①に比べたら、それほどクリアするのは難しくないでしょう。

専門看護師になるには、「①の大学院修士課程をどうクリアするか」がもっとも大きな関門になるでしょう。

2.看護系大学院修士課程で学ぶには

①はなんだか堅苦しい言い方になっています。早い話が「大学院に行っていないと、専門看護師の資格試験を受けることができませんよ」ということです。

この「看護系大学院」もどこでもいいというわけではなく、最初に紹介したように、日本看護系大学協議会が指定しています。

2015年の場合で、全国に103あります。これは専門看護師11分野のうち、どれかひとつでもやっているところの数です。

分野によって多い少ないがあります。たとえば、「がん看護専門看護師」ならば約70か所で学ぶことができます。最も少ない「家族支援専門看護師」は6か所です。

また、新しく開講する所もあります。最新のデータでチェックした方がいいでしょう。

それ以外に問題がいくつかあります。

①入試がある。「学士」でないと大学院の受験資格がない

②授業料がかかる

③終了までに最低でも2年かかる

……といったところが主な問題になるでしょう。

3.大学院の入試について

「学士」とは「大学を出ている者」ということです。

看護系大学(4年制)の出身者はそれだけでこの問題はクリアです。また、「文学部や家政学部など一般の大学を出てから、看護系の専門学校に入り直した」でもOKです。

問題になるのは、看護系専門学校しか出ていない人たちです。

①4年制大学に入り直す・途中の学年に編入する。その上で卒業する

②通信制の大学などで、専門学校だけでは不足している単位を取る

……といったことをしないと「学士」にはなれません。大学院入試を考えるのはそれからです。

大学院の入試の難しさは、もちろん、その大学院のレベルによって違いはあります。

入試科目は、「看護学」「小論文」「英語」の3つが一般的です。もちろん、受験勉強は必要です。特に英語を負担に思う人が多いようです。

とはいっても、法学やら、工学やら、理学といった大学院と違って、それほど厳しいものではありません。

英語はともかくとして、「看護学」や「小論文」も学力を問うよりも、「それまでの実務経験の充実度をチェックする」といった内容になっています。

4.通学期間をどうするか

また大学院での学び方は、認定看護師の場合とはかなり違います。

認定看護師の教育コースの場合、そこで行われている授業はすべて認定看護師になるためのものです。15~30人ほどいるクラスメートもみんな認定看護師になる人たちです。

ところが、専門看護師の大学院修士課程の場合……

①修士課程を修了するための授業をとる・修士論文を書く

②専門看護師のための必要な単位をそろえる

……の両方が必要です。早い話が「専門看護師になるための授業だけではなく、ほかの授業もたくさんとらないといけない」ということです。

まわりには全く専門看護師とは関係なく学んでいる人たちがたくさんいます。というよりも、多くの場合、専門看護師になるために来ている人の方が少ないでしょう。

大学院の修士課程を終えるまでには順調にいっても、2年かかります。

決められている専門看護師の授業科目が、「26単位」と「38単位」のところがあります。どちらのタイプの大学院であっても、受験資格に違いはありません。

ただ、次第に38単位のところが増えています。まだまだ先ですが、2024年からは38単位のところのみ認められるようになる予定です。

日本看護系大学協議会から指定されている大学院に通信教育や夜学はありません。仕事をしながら、大学院にも通うのは事実上無理でしょう。

もし、今の勤務先が資格を取るのに協力的ならば、休職扱いにしてくれる場合もあるでしょう。また、授業料の補助があるような場合もあります。

ですがこういった理解のあるところは、まだ少ないです。

現実には多くの人が、いったん勤務先は退職しています。すっぱりと覚悟を決め、「もう一度学生に戻る」というぐらいのつもりでいたほうがいいでしょう。

5.お金はどのくらいかかるか

もうひとつクリアしておかなければならないのが、お金の問題です。

2年間かそれ以上の授業料がかかります。国公立大学の大学院の場合で、2年間で合計百数十万円、私立ならばその倍ぐらい見ておく必要があります。

また、仕事をやめていたり、中断もしています。生活費も考えないといけません。

多くの人が「働いていた間に作った貯金を取り崩す」「奨学金をかき集める」「病院の夜勤などのバイトをする」といったことで対処しているようです。

6.大学院進学は自分への投資

こうやって見ていくと、「専門看護師になる。そのためには大学院に行く」というのは、「時間の面でもお金の面でも、とても高くつく投資」ということに気がつくでしょう。

「お金持ちの家に生まれた人か、勤務先の病院がしっかりとサポートしてくれた人しか無理」なんて考えるかもしれません。

ですが、実際に大学院に入ってみると……

「スタートは准看護師。働きながら、正看護師の資格を取った。その後、放送大学で学士の資格を取った」

「一般の大学を出てOLをしていた。だけど、30代になってから看護系大学に入り直した。遅れて看護師になったけれど、更に勉強がしたくなった」

……といったように、決して平らな道をたどってきたわけではない人も多くいます。いわゆる「苦労人」とか「叩き上げ」という人たちですね。

こういった人たちと一緒に学べ、仲間になれるのも、大学院の魅力です。

7.実務研修と認定審査

「実務研修」の「通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野」というのは、大学院入学時点で満たしている必要はありません。

「先に大学院を終え、そのあとで自分の専門分野の職場で働き、規定の年数に達するのを待つ」ということでも可能です。

また、「審査」での認定看護師との違いは、筆記試験だけではなく、書類審査があることです。書類審査は具体的には、あなたが大学院修士課程を終えるために書いた修士論文などをチェックすることになります。

ただ、試験までこぎ着けたならば、そうは心配することはありません。合格率は例年95パーセント以上です。

8.リスト

9.デメリット

意外と給料には反映しないことも多いです。

「全く職場に理解がなく、資格を取るにも一切協力してくれない」というだけではなく、「せっかく資格を取ってきたのに、給料は上がらず、役職も以前のまま」というところも決して少なくありません。

そういったところに勤務している場合、資格を取ろうと考えている人・実際に取った人は、「資格の価値がわかるところを探す」と割りきって、転職も同時に進めたほうがいいでしょう。

認定看護師、専門看護師の転職のポイント。~要資格の求人は多い? 資格があると給料はアップする?

大学院を選ぶときの注意(専門看護師の大学院リスト)

専門看護師と認定看護師の違いってなに?

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