脳卒中リハビリテーション看護認定看護師について

1.認定看護師とは

認定看護師の制度は1997年に始まりました。

この制度を主催する日本看護協会は、認定看護師の役割として、

①個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)

②看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)

③看護職に対しコンサルテーションを行う。(相談)

の3つを挙げています。

また、「看護分野の高度化・専門家に対応する」ということも考えられています。つまり、「看護師のスペシャリスト」ということですね。

この看護分野は次第に増え、今は21あります。

2.脳卒中リハビリテーション看護認定看護師とは

2010年という比較的最近加えられたのが、この「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師」です。まだ、人数はそう多くはなく、2015年1月現在で494人です。

2-1.どういった内容を扱うか

シンプルにいうと、

①脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア

②活動性維持・促進のための早期リハビリテーション

③急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援

となります。

の知識と技術

もう少し具体的に見るには、この資格を取るための授業コースの内容をチェックすればいいでしょう。

3.認定のためのテストを受ける条件

3-1.授業内容

下記の授業を半年ほどかけて受ける必要があります。例は静岡県看護協会の場合です。日本看護協会の規定に沿ったものなので、よそでもほとんど違いはありません。

共通科目
1.看護管理
2.リーダーシップ
3.文献検索・文献講読
4.情報管理
5.指導
6.相談
7.対人関係(選択)
8.臨床薬理学(選択)
9.医療安全管理(選択)

専門基礎科目
10.脳卒中リハビリテーション看護概論
11.脳卒中の病態生理と診断および治療
12.脳卒中患者・家族の理解と支援

専門科目
13.脳卒中重篤化回避の支援技術
14.急性期合併症予防の支援技術
15.早期離床と日常生活活動自立に向けた支援技術
16.生活再構築のための支援技術
17.脳卒中回復支援ケアマネジメント

実習・演習
18.総合演習
19.臨地実習

当然のことながら、最初に挙げた「実践」「指導」「相談」といった認定看護師ならではの役割が盛り込まれているのが分かります。これはとくに「共通科目」で習得するようになっています。

一方、「脳卒中リハビリテーションの看護のスペシャリスト」としての部分は「専門基礎科目」「専門科目」ですね。

3-2.実務経験

この授業を受けただけでは認定看護師にはなれません。さらに「実務経験」が必要です。

認定看護師全体に共通する条件として「実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)」とされています。

更にそれぞれの分野ごとに、もう少し細かく決められています。

脳卒中リハビリテーション看護の場合は……

①通算 3年以上、脳血管障害患者の多い部署での看護実績を有すること。

②急性期にある脳血管障害患者の看護を 5例以上担当した実績を有すること。

③現在、脳血管障害患者の多い施設等で勤務していることが望ましい。

……となっています。

これらを全部満たして、ようやく認定のための試験を受けることができます。

それにパスしてようやく「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師」になれます。

4.脳卒中リハビリテーション看護認定看護師のためのコースがある学校

 

この授業コースを置いているところは限られます。2015年に開講されたのは次の5か所です。

埼玉県
国立障害者リハビリテーションセンター 定員20名
目白大学・メディカルスタッフ研修センター 定員30名

愛知県
愛知県看護協会・認定看護師教育課程 30名

兵庫県
関西福祉大学・看護キャリアアップセンター 15名

熊本県
県 熊本保健科学大学・キャリア教育研修センター認定看護師教育課程 15名

また、この年は「休講中」としていたところは次の2か所です。

静岡県
静岡県看護協会・認定看護師教育課程

大阪府
大阪府看護協会・認定看護師教育課程

このような状況ですから、認定看護師の資格をとるには、まずは「協力的な病院を選んで転職しておく」といったことを考える必要もあるでしょう。

認定看護師の資格を取る上で、どうしてもネックになってしまうのが、この授業コースへの通学です。

夜間や通信教育はありません。ですから、病院の方では勤務からはずしてくれて、「出張」という扱いにするところが多いようです。

 

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