慢性心不全看護認定看護師について
慢性心不全看護認定看護師は、まだあまりなじみのない資格です。ここでは、取得前に確認しておきたい大切なポイントをまとめました。
1.まだ新しい認定看護師
認定看護師の制度は1997年に始まり、今は21あります。今のところ、最後に加わったのが2012年からの「慢性心不全看護認定看護師」です。
なので、まだ人数は多くありません。2015年1月現在、全国に184人です。最も多いのは「感染管理認定看護師」の2,053人ですから、かなり少ないですね。
でも、養成する体制が整うのもこれからです。今後次第に増えていくでしょう。
2.慢性心不全看護認定看護師の内容
この「慢性心不全看護認定看護師」がどんなスペシャリストかといえば、この制度を主催している日本看護協会では「知識と技術」として、
①安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援
②心不全増悪因子の評価およびモニタリング
を挙げています。
3.認定のためのテストを受ける条件
3-1.授業
この授業コースの科目を修めて、初めて受験に臨むことができます。
例は北里大学の場合です。科目の名前が多少違っていても、よそでも内容は同じと考えていいでしょう。「何を学ばなければならないか」は日本看護協会でちゃんと決まりを作っていますから。
共通科目
1.看護管理Ⅰ
2.リーダーシップ
3.文献検索・文書講読
4.情報管理
5.看護倫理
6.指導
7.相談
8.臨床薬理学
9.対人関係
10.看護管理Ⅱ(自由科目)
11.コンサルテーション(自由科目)
専門基礎科目
12.心不全看護概論
13.心不全の病態生理と診断及び治療
14.心不全患者の身体機能、認知・精神機能評価
15.患者・家族、重要他者への理解と支援
「専門科目」 16.慢性心不全患者の症状マネジメント
17.慢性心不全の療養生活の支援技術
18.慢性心不全患者の急性憎悪に対する看護支援技術
演習・実習
19.演習
20.臨地実習
「共通科目」の「共通」とは、「21分野ある認定看護師のどれであろうと、修めなければならない科目」という意味です。
「リーダーシップ」や「指導」などは今までの職場でも漠然と必要を感じていたでしょう。
ですが、認定看護師になるとはっきりとその認定看護師が受け持つ仕事になります。ほかの看護師に対してリーダーや指導役にならなければならないのです。
この共通科目の中の「相談」というのも、患者やその家族からのものではなく、同じ職場の看護師からのものを意味しています。
「専門基礎科目」や「専門科目」を見ると、家族などへの対応や、患者本人へのメンタル面でのケアが入っているのが分かります。これも専門看護師ならではの期待される知識と技術(スキル)です。
この授業コースはどこでももっと短くて、半年あまりかかります。これも日本看護協会の規定に従っています。
3-2.実務経験
また、これ以外には、「実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)」とも定められています。
この「実務研修」とは、慢性心不全看護の場合
①通算3年以上、心不全患者の多い病棟での看護実績を有すること(その間、外来、在宅ケア分門での看護実績を含んでよい)。
②心不全の増悪期から回復期にある患者の看護を5例以上担当した実績を有すること。
③現在、心不全患者の多い循環器系病棟或いは外来、在宅ケア部門で勤務していることが望ましい。
とさらに具体的に条件が付けられています。
これらが満たされ、その上で認定試験を受け、合格しなければなりません。そうやって晴れて「慢性心不全看護認定看護師」ということになります。
4.慢性心不全看護認定看護師のためのコースがある学校
認定看護師の資格を取る上で、ネックとなりがちなのが、「仕事を中断する必要があるので、職場の協力が欠かせない」「授業コースを置いている学校が少ない」です。
ただ、「職場の協力」に関しては、熱心に応援してくれるところも増えているようです。こういったところでは通学期間中は出張扱いにしてくれるようです。
また、授業コースが開講されたのは、2015年の場合
・神奈川県 北里大学・看護キャリア開発・研究センター 認定看護師教育課程 定員30名
・兵庫県 兵庫県看護協会・認定看護師教育課程 30名
の2か所でした。
またこの年は
・熊本県 熊本保健科学大学・キャリア教育研修センター認定看護師教育課程
は「休講中」としていました。
このように数が少ないです。
ただし、最初に申し上げたように、慢性心不全看護は始まって間がありません。今後増えていくことも考えられます。
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