整形外科看護師で働く!役割・仕事内容・給料。転職前にわかる業界おまとめ
看護師さんにすれば、今さらの話ですが、「整形外科」で診察するのは、骨、関節、筋肉などの疾病です。手足の血管、皮下組織、末梢神経なども含まれます。
病名でいえば、関節痛、捻挫、骨折、リウマチ、骨粗しょう症、骨腫瘍、軟部腫瘍……などです。
目次
1.勤務先
この整形外科での具体的な勤務先としては、次のようなものがあります。
①総合病院の外来や、クリニック(診療所、医院)②総合病院の入院病棟
③整形外科の専門病院・単科病院の外来
④整形外科の専門病院・単科病院の入院病棟
この③と④で考えられる、その「専門」は、「スポーツ整形外科」「外傷整形外科」「関節外科」「脊椎・脊髄外科」「小児整形外科」などです。医師や病院によっては、「手の整形外科が専門」「足の整形外科が専門」といった形もあります。
それぞれに特徴がありますので、転職先として考えるときは、その違いを頭に入れておくようにしましょう。
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2.整形外科看護師の仕事内容
2-1.クリニックや総合病院の中の外来の場合
診療科によっては、「看護師の基本的なスキルや知識」と呼ばれるようなものでも、一部の出番がほとんどないようなところもあります。
整形外科では、外来か病棟かなどでの違いはありますが、全体的なことをいえば、全部あります。必要です。
それに加えて、整形外科独特のスキルや知識も必要です。
業務はやることが多いです。まずはこれは覚悟しておきましょう。
医師の診察補助はもちろんあります。
患者のサポート
患者さんの中には、自分では体を動かせないような人も多いです。
診察代の上に載せるだけでも一苦労になるようなこともあります。
病棟であれば、ベッドの上での体位転換は、ほかの診療科より多くなります。
食事・排泄の介助もしっかりあります。足の骨折などでの入院であれば、患者さんは身動きもしにくいでしょうから。
腕力・筋力が必要になります。
また、レントゲンは整形外科につきものです。これに関する準備なども看護師に任されます。
採血・注射・点滴などの「看護師の手技」と呼ばれるものも出番が多いです。
ギプス・包帯もよく使われています。包帯を消毒・滅菌したり、交換したりといった作業も看護師に任されます。
手術
手術の多いのも、整形外科の特徴です。
ただ、手術室はオペ室で、専門の看護師を置くのが一般的です。「病院全体での手術室」ということもあれば、「整形外科の中での手術室」といった形をとっているところもあります。
この「手術室看護師」は、どちらであっても、一般の整形外科看護師とは別のものに考えていいです。
ただし、これから手術に向かう不安への精神的なケア、手術後の経過に対する不安や不満への精神的なケア、手術後の傷口へのケアなどは、手術室看護師ではなく、病棟看護師の担当です。
オペが必要な患者さんは子供から老人までいます。どの年代に対しても、しっかりとコミュニケーション能力を発揮しなければなりません。
リハビリ
もう一つ、特徴としてあるのは、「リハビリ」です。
理学療法士などの専門のスタッフもいることも多いです。
ですが、その人らがいないと、看護師が主になって、いるならいるで、連携し合いながら、患者さんのリハビリを進めることになります。
2-2.専門病院・単科病院の場合
専門病院・単科病院の数や種類が多いのは、整形外科の特徴でしょう。
スポーツ選手に対する注目度が高いこともあって、「スポーツ整形外科」はいろいろな形で話題になりますよね。
スポーツ選手は体の作りも一般の人と違うために、治療や看護の内容も変わってきます。
一般の人であれば、その治療・看護の結果、日常生活が送れるようになればOKです。
スポーツ選手の場合は、その競技が問題なくできるところまで、とことん治療をする必要があります。
このため、専門性を高めて、「スポーツ整形外科」として独立させる必要があるのです。
また、「手」の専門があるのは、狭いところに多くの骨が入っており、構造も複雑なためです。
同様に「関節」もひとつの専門とするだけの難しさがあります。治療や手術にしても、「靭帯再建術」「半月板縫合術」「腱板修復術」、さらには「人工関節」など、かなり特殊なものをこなさなければなりません。
もちろん、これら専門病院に勤務する場合は、看護師にもその分野での知識やスキルも求められます。
2-3.美容外科とは違う
同じく手術を扱う医療機関として美容の整形外科、美容外科を比較する人もいます。大きく違うのは、治療目的か美容目的化で業務内容も違います。給与がいいですがノルマもあり、接客カラーが強いです。脱毛クリニックや美容皮膚科も同様で、医療よりも美容に興味がある人に向いた職場です。
2-4.救急
急性期病棟に勤務した場合は、救急の仕事が多くなります。仕事は一般病院と異なりハードな面が増えます。夜勤や当直などもあり、手術の機械も増えます。急性期の患者さんに接することが多いので、心身ともにタフさが必要です。回復期の場合も予断は許さないです。
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3.整形外科看護師の給料
整形外科の場合、給料のシステムとしては、ほとんど特徴はありません。
この診療科ならではの特殊な手当というのも見当たりません。
ですから、クリニックならクリニックで、病棟なら病棟での一般的な給料を頭に入れておけばいいでしょう。
その上で、求人での待遇を見て、「高い」「安い」を判断すればいいです。
ただ、「忙しさ」に対しては、注意が必要です。
クリニックや総合病院の外来であれば、患者さんであふれかえっているようなところがあります。
先にご説明したように、肩こり、腰痛は慢性化します。完治もなかなかしません。1回通院を始めた患者さんはずっと通ってきます。
「病院・クリニックの経営にプラス」といえばそうもいえますが、看護師にしたら、「患者さんが多すぎて、定時には診察が終わらない。帰れない」ということになります。
また、病棟であれば、整形外科の看護師はやることが多いだけに、十分な数の看護師がいないと、目の回るような忙しさになります。
これで「月給やボーナスがほかの診療科と変わらない」となると、「割に合わない」と感じるでしょう。
4.整形外科看護師に必要なスキル
先にも申し上げましたが、「看護師としての基本的なスキル・知識」と呼ばれるものは、どれも欠かせません。
それに加えて、整形外科で扱うケガや疾病に関する知識も必要です。
4-1.リハビリ関連の資格
リハビリも忘れてはいけません。
リハビリ関連にはたくさんの資格があります。整形外科の看護師の中には、リハビリに関する資格を取る人もいます。
比較的取りやすいものであれば、「運動器リハビリテーションセラピスト」と「運動療法機能訓練技能講習会」があります。
また、より本格的には「理学療法士」と「作業療法士」があります。
・理学療法士
理学療法士は、高齢者や障害者の身体機能・運動能力の回復の援助をします。
「座る、立つ、歩くなどができるようにする」といったイメージです。
・作業療法士
一方、作業療法士の仕事は、手芸や工芸などをすることで、細かい動作の能力を復活させることを目的にしています。
どちらかといえば、指先などの機能回復を目的にします。
理学療法士、作業療法士とも、正看護師と同じく、国の資格です。看護師としての普段の仕事に役立つだけではなく、これら単独でも十分に職業としても成り立つものです。
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5.整形外科看護師の資格
看護師のスキルアップ・キャリアアップのための資格・認定としては、日本看護協会が認定団体になっている「認定看護師」「専門看護師」が最もよく知られています。
それぞれ、21、11の看護分野で用意されています。
ですが、整形外科に関しては、今のところ、そのものズバリのものはありません。
5-1.「日本運動器看護学会認定運動器看護師
もし、検討してみるとすれば、「日本運動器看護学会認定運動器看護師(学会認定運動器看護師、JSMNC)」です。
受験資格は次のとおりです。
①日本運動器看護学会の会員であること
②看護師としての実践経験が5年以上。そのうち、運動器領域(整形外科、脳神経外科、脳神経内科、リハビリテーション系の病院・クリニック・専門施設など)での実践経験が3年以上
③講習会などへ参加
認定団体は、「日本運動器看護学会」です。
①の条件はこちら独特のものです。
②の条件は日本看護協会の認定看護師とほとんど同じです(ただし、ほかの看護分野)。
③の「講習会などへ参加」とは少し内容が異なります。
認定看護師の場合は、だれでもが同じだけの教育コースを受ける必要があります。
「学会認定運動器看護師」の場合は、その看護師の経歴などで、受ける講習の時間数や種類が異なります。
ただ、この制度がスタートしたのは2013年です。病院などがどのように評価してくれるかは、もう少し様子を見る必要がありそうです。
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6.整形外科で働くメリット・デメリット
勤務先がクリニックや病院の外来、あるいは入院病棟などで異なります。ですが、ほぼ共通するのは次のようなものです。
6-1.メリット
ほかの診療科も経験した看護師さんがよく指摘するのは、「整形外科は診察室も病室も雰囲気が明るい」です。
対象にしている疾病やケガで、そのまま患者さんが亡くなることは、まずはありません。
また、意識もはっきりしています。言葉のやり取りも困りません。
これらのことから、看護師さんの側も、あまり神経質にならずに、患者さんやその家族とのコミュニケーションができます。
患者さんの年代も、子供からお年寄りまでいます。全体の平均でみても、ほかの診療科よりもかなり若いです。
「子供が好きだから、看護師になった」という人も、期待外れにはなりません。
これも職場の雰囲気を明るくしています。
また、回復の状況が目に見えることが多いです。
骨折であれば、レントゲンで「骨がつながった」とわかります。
最初はベッドから動けなかったような患者さんも、…ベッドの上半身部分を上げることができるようになった(ギャッジアップ)、自分で体が起こせるようになった、車いすで動けるようになった、松葉づえで歩ける……といったようにステップアップしていきます。
こういったうれしさを患者さんと共有できるのは、看護師としての大きなモチベーションになるはずです。
6-2.デメリット
「整形外科ならではのデメリット」というのは、ほとんどありません。
「強いていえば」というが、次のようなものです。
①腕力・筋力が必要
患者さんを抱きかかえる、ベッドの上での体位交換をする、といった作業が多いです。
スポーツ整形外科ともなると、相手はとんでもない大男かもしれません。
ですが、最近は一定の比率で男性看護師を交ぜたり、介護士もいることが多いです。
こういった職場ならば、あまり気にすることはないでしょう。
②忙しいところが多い
患者さんであふれかえっているところが多いです。
それに加えて、医師の診察の補助、検査機器の操作、リハビリの補助などなど、看護師の仕事としてやるもの多いです。
「目が回る」という職場もしばしばあります。
③“オールラウンダー(万能選手)”でないと勤まらない
注射・採血・点滴などの穿刺(せんし)は、しっかりあります。忙しい職場なので、手際よく済ませる必要もあります。
患者さんの観察も欠かせません。手術が多いので、その後の傷の治り具合や、神経への影響などが特に問題になります。
相手は子供からお年寄りまでいます。「口下手で話がはずまない」とか、「苦手な年代がある」では困ります。
レントゲンを代表に、医療機器もたくさん入っています。
理学療法士、介護士などのほかの職種のスタッフとの連携も大事です。
いずれも「看護師の基本的なスキル・知識」「看護師に必要な適性」と呼ばれるようなものばかりです。
ですが、中には「どうしても苦手」というジャンルがある人もいるでしょう。
その苦手なことの負担が少ない診療科もあります。その場合は、整形外科以外を選んだほうがいいかもしれません。
7.整形外科への転職の注意
整形外科への転職は、要注意のポイントはほとんどありません。
仕事内容はイメージしやすいです。職場の雰囲気も明るいです。
やりがいもはっきりしています。
月給・ボーナス(賞与)・年収、待遇は平均的です。手当も変わったものがあるわけではありません。
「患者さんが多い」「やることも多い」というのが、強いていえばのデメリットです。
ですが、これも「勤務時間内は、バタバタ動いて、腕力を使って、汗もかいて……でも、その日の仕事はスッキリ終わる」と、むしろ「性格に合っている」という看護師さんも多いです。
このため、「整形外科は体育会系向き」とよくいわれます。
転職の上で気にすることは、あとは、「その職場なりの特徴はどうか」です。
「肩こり、腰痛などを主にしていて、患者さんも高齢者が多い」「男性看護師の比率が高いので、腕力が必要な仕事は女性看護師にはあまり回ってこない」「脊髄の専門整形外科なので、寝た切りの患者さんが多い。体位転換で腕力が必要」などのパターンがあります。
こういったことの中には、いくら自分で調べても、出てこないような情報もあります。
看護師の転職サイトを利用するのもひとつの手です。
先に十分な情報を持っている場合もありますし、また、わからないことは担当者が調べてくれます。
自分の方は、その担当者に転職先に希望する条件を伝えておけばいいのです。
ただし、これら業者や担当者の中には、電話でもすればわかる程度のことしか情報を持っていないところもあります。
そういったところに限って、こちらの希望は無視して、勝手に話をまとめようとします。
まずは、実際に登録して、担当者とも会ってみましょう。もし、「これはダメだ」と思ったら、担当者を変えてもらったり、その業者は使わないようにします。
看護師転職サポートも選んだほうがいいのです。
ただし、絞りこみすぎて、1社だけにするのもおすすめしません。3、4社程度は確保するようにしましょう。
業者ごとに持っている求人案件が違います。絞りこみ過ぎると、望むような勤務先の求人があっても、気が付かないままになってしまう可能性があります。
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