保健師の仕事のやりがいって何?仕事内容は公務員(行政)保健師、学校保健師、病院保健師、産業保健師で違う?
保健師は、看護師や助産婦とともに「看護職」としてひとまとめにされることがあります。
「ほかの2つと比較すると、保健師は少しやりがいを感じるのが難しい」という声もあります。
ただ、これは看護師さんのような華やかさはありませんが、決してやりがいのない仕事でも、重要性のない仕事でもありません。ここでは保健師ならではの仕事のやりがいと役割をまとめました。
目次
1.保健師の仕事
1-1.予防
保健師さんの仕事は、「健康の増進」と「病気などの予防」です。
「今現在、健康の問題で苦しんでいる人を手助けする」ということもあります。ですが、それ以上に重要になってくるのが、「今正常な状態ならば、その正常な状態を続けるために手助けする」という仕事です。
シンプルに違いを挙げれば看護師さんは病気になったり、ケガをした人のために働く。保健師さんは人々が病気にならないように、またいっそう健康になるように働く、ということになるでしょう。つまり、病気予防と健康増進・保健指導が保健師さんの仕事です。
1-2.カバーする範囲が広い
でも、「人の役に立っている」というのが実感できる素晴らしい仕事です。
看護師などと比べると、そのカバーする範囲は格段に広いです。
地域や学校、企業の人たちの健康相談を受け、感染症を防ぎ、病気で苦しむ人には日常生活の支援もします。
自分がガンばった結果も、きちんと目に見えるような形で表れます。
たとえば「子育てに苦労をし、赤ちゃんの健康状態に不安になっているお母さんが、自分のアドバイス一つで不安が解消する」なんてことがあります。
「これで大いに感謝され、頼りにされる」ということも日常的にあります。
学校保健師
また、学校の保健室勤務ならば、うがいや手洗いなどの正しいノウハウを自分が広めたために、インフルエンザなどの感染症が明らかに減るような場合だってあります。
「子どもたちの健康を守った」というのが、仕事のやりがいにならないはずがありません。
行政保健師
特に保健所や役所に勤務している行政保健師の場合、こういった地域の人たちと行政の橋渡しをするような役割もあります。
地域の人たちが抱えている健康、環境、福祉の問題を保健所や役所に持ち帰り、行政を動かすのも保健師の役割なのです。
2.仕事内容
保健師は働く場所で業務内容が大きく変わります。また仕事で活躍できる場所は意外と多いです。働く場所としては、行政保健師(保健所。あるいは県や市町村などの役所内)、学校保健師(学校の医務室)、病院。①産業保健師(企業の医務室)などがあげられます。
2-1.行政保健師(公務員保健師)
保健所や保健センター、市町村役場で働いている人は多いです。
一定の区域を受け持って、家庭訪問をして保健指導を行うのが主な仕事です。 都道府県や市町村の募集に応募します。
しかしその他にも、病院や診療所と言った医療機関で活躍をしている保健師の方も多く存在しています。
また精神障害者生活訓練施設や知的障害者更生施設、内部障害者更生施設、身体障害者療護施設といった施設に勤務をしている保健師の方もいらっしゃいます。
保健師の就職先として、最も一般的なのは、都道府県や市町村です。その役所の中の保健に関係する部署や、保健所などが職場になります。
この行政保健師は、比較的求人情報も多いです。
2-2.学校保健師
小学校・中学校・高校
いわゆる「保健室の先生」です。ですが、少し注意が必要です。小学校・中学校・高校の場合、「養護教諭」の免許も持っていないといけないのです。
これに必要なのは4科目8単位だけです。大学生をフルにやり直さなくても、「科目履修生」などの形でとることができます。働きながらで、それほどは無理はないでしょう。
そしてこの場合、役割も「保健師」というよりは、「養護教諭」として考えたほうがよくなります。
業務内容はカバーする範囲がとても広いです。
健康診断などえで、子どもたちや先生・職員の病気予防、健康増進に関する仕事は広く含まれます。
また、子どもが学校の中でケガをしたり体調を崩すこともあります。その際には応急処置など看護師としての役割も果たさなければなりません。
また、子どもたち相手の保健の授業も担当することがあります。先生という立場なので、他の職場にはない業務が増えます。
大学
大学の場合は、保健師の資格だけでOKです。同じく学校内の健康に関する業務を広く取り仕切ります。
2-3.病院保健師
病院では看護師さんだけでなく、保健師も活躍しているところはたくさんあります。主に①大きな総合病院、②精神科です。
2-3-1.大きな総合病院
この場合の仕事内容は、たとえば、集団検診があります。また、成人病などの予防を考えたり、健康管理などを受け持ちます。患者の入院の必要・不要についても判断するときもあります。
2-3-2.精神科
精神科の場合、患者に対する生活指導なども治療のためには欠かせません。それには看護師だけではカバーしきれないことがたくさん出てくるのです。
2-3-3.臨床保健師
この①や②の場合、特に「臨床保健師」と呼ばれます。また、看護師と区別がつくように、どの病院でも白衣は違うものを着るのが普通です。
一般的には保健師には「夜勤はない」とされています。ですが、臨床保健師の場合は、病院によっては、看護師並みに夜勤に組み込まれることもあります。
2-4.産業保健師(企業保健師)
最近では、一般企業で働く保健師も方も出てきています。 会社の中に医務室などを設けている所も出てきていて、その中で勤務をするわけです。主な勤務先は企業の大きな事務所や工場です.その中の医務室・健康管理室を受け持ちます。この従業員の病気予防や健康増進のために働きます。そして従業員の健康相談にのったり、必要に応じて保険指導を行ったりすることもあります。 健康診断を定期的に実施している所では、その診断の下準備を任されることもあります。
オーバーワークになっていないか、照明や換気など職場環境に問題はないか、ケガをしそうな労働ではないかといったチェックも仕事になります。
医務室・健康管理室では、多くの場合、保健師は1人だけです。また常勤の医師や看護師がいないことも当たり前にあります。そのため、看護師としての仕事まで期待されます。
製造工場などなら、ケガや急病などの処置をすることもあるでしょう。
最近どんどん重要になっているのが、メンタル面でケアです。人間関係や仕事上のストレスで、精神的な負担を感じている従業員が増えているのです。
こういった仕事までこなすには、産業カウンセラーなどの資格・スキルを持っていた方が自分でもやりやすいでしょう。また、採用試験などでも有利になります。実際に、企業の医務室あたりだと、募集の際に「看護師か保健師のどちらかの免許があればOK」というところもあります。
3.保健所勤務の1日
この中から、保健所勤務(行政看護師)の場合で、保健師さんのある1日をみてみましょう。
8:30
出勤。前日からのメールや留守番電話をチェック。仕事道具の用意・点検
9:00
保健所がオープン。
午前中
自宅療養中の高齢者や、出産後まもないお母さんと乳児がいる家庭を訪問します。家族・本人から、介護や育児の相談に乗ります。
また、行政側で用意している介護・育児のサービスの説明をします。
午後
「1歳半検診」「3歳時検診」の集団検診に立ち会います。
こういった検診は小児科医、歯科医、栄養士なども参加します。そういった人たちと協力しながら、乳幼児の健康状態・成長状態をチェックします。
もちろん、お母さんたちへ保健指導をしたり、健康相談に乗ったりもします。
終わると、検診のデータは持ち帰って、取りまとめたり、チェックをします。すぐに結果の出ない項目に関しては後日、同じようにします。
もし、問題のある子どもがいたら、ピックアップします。病院での診察を勧めたり、その後もデータの変化を追い続けます。
もちろん、この集団検診は、成人病のチェックをするものなどもあります。予防注射の集団接種も入ってきます。
これらの仕事の合間に、事務仕事を済ませます。事務仕事は多めと考えておいたほうがいいでしょう。
多くの保健所で、こういった行事の内容、また日ごろの活動内容などを報告書にしてまとめるのも保健師さんが自分でやることになるでしょう。
また、行政機関内部・外部の両方を相手に、連絡や調整も必要になります。たとえば、「検診の内容をもっと充実したものにしたい」と思えば、新しい検診内容を企画し、話を通し、予算も獲得する必要があります。
4.まとめ
どこで働くにしろ保健師も組織の中の1人ということを忘れないようにしましょう。 健康管理全般に関してやはり、重要な役割を期待されます。こういった周囲の人たちとのかかわりの深さを実感できる点を、看護師などにはない仕事の充実感にしている人たちもたくさんいます。
保健師の募集は、行政保健師は比較的多いですが、それ以外の職場になると採用される人数も、求人募集情報もガクッと減るのが現状です。
保健師として働く職場は、いろいろとあり、それぞれに違った働き方があり、魅力があります。 興味のあること、自分の経験が生かせる職場はどこかという視点で比較してみるといいでしょう。
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