皮膚・排泄ケア認定看護師について

1.皮膚・排泄ケア認定看護師の由来

「皮膚・排泄ケア認定看護師」は以前は「woc看護認定看護師」と呼ばれていました。

「WOC」とは「創傷(Wound)、ストーマ(Ostomy)、失禁(Continence)」の頭文字です。

これを見てわかるように、もともとは、「傷口のケア」「人工肛門・人工膀胱のケア」「失禁のケア」などがカバーする範囲です。

それが「看護や治療のノウハウがほぼ同じ」ということで、今では褥瘡(じょくそう、床ずれのこと)や慢性潰瘍までカバーするようになってきています。

2.背景

認定看護師の制度は全体としては1997年に始まっています。今は21の分野について、認定看護師が設けられています。

最初は「救急看護認定看護師」と、この「 皮膚・排泄ケア認定看護師」だけでした。つまり、「最も早くから、その専門性が認められていた分野」ということになります。

歴史があることもあって、この認定の登録者も2,040人(2015年1月現在)います(これは「感染管理認定看護師」の2,053人に次ぎます。ちなみに認定看護師全体では14,172人です)。

3.皮膚・排泄ケア看護認定看護師の内容

特に認定看護師ということであれば、一般的な看護のほかに、「家族など患者の周囲の人への対応」「ほかの看護師への指導」「ほかの看護師からの相談の受け付け」なども、その役割として定義されています。

日本看護協会でも、最もシンプルな説明としては……

①褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理

②患者・家族の自己管理およびセルフケア支援

……を挙げています。

4.認定のためのテストを受ける条件

下記の授業コースを受けて卒業する必要があります、

4-1.授業内容

皮膚・排泄ケア看護認定看護師の受検資格を取るための学習コースの授業科目、例は京都橘大学の場合です。よその場合も、科目の名前などに違いがあっても、内容としては大きな差はありません。

また、期間はこの京都橘大の場合で、8か月です。

共通科目

1.看護管理 2.リーダーシップ 3.指導 4.文献検索・文献講読 5.相談 6.情報管理 7.対人関係 8.看護倫理 9.臨床薬理学

専門基礎科目

10.皮膚のアセスメントとケア 11.精神面のアセスメントとケア 12.栄養のアセスメントと管理

専門科目

13.皮膚・排泄ケア概論 14.排便機能に破綻をきたす病態の理解と評価 15.排尿機能に破綻をきたす病態の理解と評価 16.ストーマケア 17.排泄ケア 18.創傷の病態と治療 19.創傷のアセスメントと管理

演習および臨地実習

20.臨地実習 21.演習

「共通科目」を見れば、認定看護師が一般の看護師よりも一段上の立場にあることがわかるでしょう。「リーダーシップ」「指導」といった科目が並んでいます。

一方、「専門科目」の方は、実践的な看護の授業になっています。

4-2.実務経験

それに加えて、「実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)」の条件を満たさなければなりません。

こ「実務研修」については、さらに分野ごとに内容が指定されています。

「皮膚・排泄ケア看護」の場合は

①通算3年以上、外科系領域またはストーマケアを行う病棟・外来・在宅ケア領域での看護実 績を有すること。

②ストーマ造設患者の看護を1例以上、及び創傷または失禁ケア領域の看護を4例以上担当した実績を有すること。

③現在、創傷ケア、ストーマケア、または失禁ケアを行う病棟・外来・在宅ケア領域で勤務していることが望ましい。

となっています。

これらを満たして初めて、ようやく受験資格ができます。

その上で日本看護協会が用意しているテストにパスする必要があります。とはいっても、合格率は全体では90パーセント以上となっています。テストの方はあまり心配することはなさそうです。

5.脳卒中リハビリテーション看護認定看護師のためのコースがある学校

 

開講している学校

またこの設置している学校は、年によって変動はあります。最新のものでチェックしたほうがいいでしょう。あくまで参考として、2015年の開講状況を挙げておきます。

北海道

北海道医療大学・認定看護師研修センター 定員20名

東京都

日本看護協会・看護研修学校 30名

静岡県

静岡県立静岡がんセンター・認定看護師教育課程 20名

京都府

京都橘大学・看護教育研修センター 30名

岡山県

山陽学園大学・看護研修センター 24名

福岡県

福岡県看護協会 30名

沖縄県

沖縄県看護協会 20名

また、この年は「休講中」としていたのは……

長野県

長野県看護大学・看護実践国際研究センター

……です。

ただ、問題はこの授業コースを設けている学校への通学です。

全国でも1か所にしか設けられていないような看護分野もいくつかあります。皮膚・排泄ケア認定看護師は2015年の場合で、7か所ですから、まだ恵まれている方です。

とはいっても、自宅からの通学が無理な人もいるでしょう。

また、通信教育や夜学はありません。どうしても、勤務を中断する必要があります。

ですから、本気で認定看護師を考え始めたならば、「病院の協力を取り付ける。それが無理ならば、先に協力的な病院に転職しておく」といったことも必要になるでしょう。

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