がん化学療法看護認定看護師について

認定看護師は現在21の分野で設けられています。

その中には、「がん性疼痛看護」「乳がん看護」「がん放射線療法看護」、それにこの「がん化学療法」とがんに関連するものが4つも含まれています。

これは「がんが死亡原因の中でトップ」と、「治療には高度医療・先進医療が用いられることが多い」ということを反映しています。

これらにかかわる看護師にも高い専門性が求められるのです。

1.取得人数

これら4つの分野の認定看護師の人数をみると、多い順にがん化学療法・1,282人、がん性疼痛看護741人、乳がん看護・244人、がん放射線療法看護・177人となっています。

つまり、がん化学療法看護認定看護師が最も一般的です。

また、この人数は認定看護師21分野のなかでも、感染管理、皮膚・排泄ケア、緩和ケアについで4番目になります。

がん化学療法看護認定看護師の知識と技術

2.内容

この「がん化学療法看護認定看護師」に求められる「仕事と知識」を最も簡単にいうと

①がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理

②副作用症状の緩和およびセルフケア支援

ということになります。これはこの認定看護師制度を主催している日本看護協会による説明です。

参考までに「がん放射線療法看護」を同様に見ておくと

①がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援

②安全・安楽な治療環境の提供

となっています。

やはり、がん治療は認定看護師の中でも分野がさらに細分化されていることが分かります。

3.認定のためのテストを受ける条件

3-1.授業コースの内容

「がん化学療法看護」の内容をさらに知ろうと思えば、実際に行われている授業コースの内容を見ればいいでしょう。

この授業コースを修めることが、受験資格にひとつになっているのです。

例は日本看護協会自身が設けている授業コースです。よその看護系大学などにもあります。科目の名前などは違っていても内容としては同じと考えていいです。

共通科目

1.リーダーシップ
2.文献検索・文献講読
3.情報管理
4.看護倫理
5.指導
6.相談
7.看護管理

専門基礎科目

8.がん看護学総論
9.症状マネジメント論
10.腫瘍学概論
11.がん化学療法概論
12.臨床薬理の知識と活用方法
13.臨床試験と治験コーディネーター
14.がんの医療サービスと社会的支援

専門科目

15.がん化学療法患者・家族のアセスメント
16.主要ながん化学療法薬レジメント
17.がん化学療法薬の投与管理とリスクマネジメント
18.がん化学療法に伴う身体の変化と症状緩和技術
19.がん化学療法患者へのセルフケア支援
20.がん化学療法に伴う患者・家族の意思決定を支える看護援助
21.外来/在宅がん化学療法と看護援助

総合演習

22.臨地実習Ⅰ(自施設実習)
23.臨地実習Ⅱ(他施設実習)

「共通科目」はほかの分野でも行われる授業です。

「リーダーシップ」「指導」などはこの認定看護師の性格を最も表しているでしょう。看護師資格を取るために受けていた授業にはなかったはずです。

「専門基礎科目」「専門科目」がこの「がん化学療法看護」独自の授業です。

ほかの分野でもかなり細分化されたジャンルを扱うようになっています。

がん関連ならではの内容

特にこのがん関連ということでほかの看護分野とは際立って違うものも入っています。

たとえば、「臨床試験と治験コーディネーター」です。これらは新薬開発にかかわるものです。やはりがん治療では最先端医療が行われているために、正式な認可を受ける前の医薬品を使うことも多くなるのです。

3-2.実務経験

これらの授業を修め、ちゃんと単位も取得していなければ、認定試験を受ける資格がありません。

それ以外の条件として、「実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)」があります。これはほかの分野も同じです。

この「実務演習」は細かくその分野ごとに決められています。

「がん化学療法看護」の場合は次のようになっています。

①通算 3 年以上、がん化学療法を受けている患者の多い病棟・外来・または在宅ケア領域での看護実績を有すること。

②がん化学療法を受けている患者の看護(がん化学療法薬の投与管理の実績があることを必須とする)を、5 例以上担当した実績を有すること。

③現在、がん化学療法を受けている患者の多い病棟、外来で勤務していることが望ましい。

4.がん化学療法看護認定看護師のためのコースがある学校

「認定看護師の資格を取りたい」と思った時にネックになることのひとつが、「近くに授業コースを用意している学校がない」です。

また、仕事と並行して通うこともほとんど無理です。なので多くの場合、勤務先の病院などからは出張扱いなど、特別な配慮をしてもらっています。

逆にいえば、「そういう協力を惜しまないようなところに勤めておく」というのも考えておかなければなりません。

授業コースを設けているところは、2015年の場合で、次の5か所です。

東京都
首都大学東京・認定看護師教育課程 定員30名

静岡県
静岡県立静岡がんセンター・認定看護師教育課程 20名

愛知県
愛知県立大学・看護実践センター 15名

兵庫県
日本看護協会・神戸研修センター 30名

福岡県
久留米大学・認定看護師教育センター 30名

また、この年は「休講」としていたところは次の5か所です。「年によっては授業コースが設けられる」ということです。

北海道
日本赤十字北海道看護大学・看護開発センター
北海道医療大学・認定看護師研修センター

東京都
国立看護大学校・研修部
聖路加国際大学・教育センター

鳥取県
鳥取大学・医学部附属病院看護師キャリアアップセンター

 

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