救急看護認定看護師について

1.現状

救急看護認定看護師は全国で921人しかいません(2015年1月、日本看護協会)。

認定看護師全体では14,172人ですから、6.5%にしかなりません。

ですが、「皮膚・排泄ケア」とともに、最も早く始まっています。1997年6月です。

また、これに近いものとしては、「小児救急看護」があります。こちらは2006年7月に始まっていて、今、208人います。

すでにどちらかの病棟や診療科で勤務している人は、その認定看護師を目指すのが自然でしょう。

ですが、「まだ準備は全部これから」という人もいるでしょう。

2.救急看護認定看護師の内容

そういった人たちのために、日本看護協会の出している両方の「説明と技術」をチェックしてみます。

救急看護

①救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施

②災害時における急性期の医療ニーズに対するケア

③危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援

小児救急看護

①救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施

②育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護

……となっています。

当然といえばそれまでですが、これを見てもわかるように、一般的な「救急」のイメージに近いのは、やはり「救急看護」の方です。

3.認定のためのテストを受ける条件

3-1.授業

次に資格をとるための授業の内容を見てみましょう。これでもう少し具体的にイメージがわくかもしれません。

例は日本赤十字九州国際看護大学の救急看護認定看護教育課程(平成25年)です。どこの「救急看護認定看護教育課程」も日本看護協会の規定通りに出来ていますから、よそも大きな違いはないと考えていいです。

全認定看護分野に共通する科目

1.看護管理
2.リーダーシップ
3.文献検索・文献講読
4.情報管理
5.看護倫理
6.指導
7.相談
8.臨床薬理学
9.医療安全管理
10.対人関係(選択科目)

……となっているのは、ほかの認定看護師と同じです。
もう一度念のために紹介しておくと、「看護師の中でも、指導的立場(先生役)になる」ということですね。

この「救急看護」ならではの様子がわかるのが、「専門基礎科目」と「専門科目」です。

専門基礎科目
11.救急患者の主要病態と治療
12.救急患者の主要病態と治療
13 .救急患者と家族の心理・社会的アセスメント
14. 災害急性期看護

専門科目
15 .救急患者のフジカルアセスメント
16.救急看護技術
17 .急性症状とケア

演習及び実習
18.学内演習
19.実習

こうやってみるとわかるように「救急患者の病態によって、問題の優先順位を即座に判断し、適切な初期対応をする」「災害現場での医療のニーズに応じ、ほかの業種の人と適切に連携する」といったことに目的がおかれています。

3-2.実務経験

もちろん、ほかの認定看護師同様、認定のための試験を受けるには、このジャンルでの3年以上の経験が必要です。

①通算3年以上、救急部門での看護実績を有すること。

②救急部門において、CPA・重症外傷・意識障害・呼吸不全・循環不全・中毒・熱傷患者等の看護の中から5例以上担当した実績を有すること。

③現在、救急部門で勤務していること、または救急部門での勤務が予定されていること。

……といったように説明されています。

もちろん、「認定看護師教育機関で6か月以上の課程を受ける」というのも、ほかの認定看護師と同じです。

4.救急看護認定看護師のためのコースがある学校

2015年を例にすると、次の5か所で授業が用意されています。このどれかに通う必要があります。この5か所の定員のトータルは145名です。

北海道、東北、中国、四国にはありません。また、九州も福岡だけです。これらのエリアに住んでいる人は、どうやって通学するが大きな問題になるでしょう。

東京都
日本看護協会・看護研修学校 定員30名

愛知県
愛知医科大学・看護実践研究センター認定看護師教育課程 25名

大阪府
大阪府看護協会・認定看護師教育課程 30名

和歌山県
和歌山看護協会 30名

福岡県
日本赤十字九州国際看護学校・看護継続教育センター
30名

また、2015年は休講としていたところに……

青森県
青森県立保健大学・地域連携・国際センター

……があります。

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