摂食嚥下障害看護認定看護師について

1.摂食嚥下障害とは

「摂食嚥下障害」は一般的にはあまり使われない言葉でしょう。

次のような症状を指しています。

「食事中にむせる、ノドが詰まる」
「のみ込んだはずなのに、口の中に食べ物が残っている」
「食事をとると疲れてしまう」
「機能面でのトラブルで、食事量が減ってしまう」

……などです。

2.資格保有者数

この「摂食縁下障害」の看護のスペシャリストが「摂食嚥下障害看護認定看護師」ということになります。

2015年1月に日本看護協会が発表した資料では、全国に521人います。

認定看護師21分野全体では14,172人ですから、3パーセント強ということです。

3.摂食嚥下障害看護認定看護師の内容

この「摂食嚥下障害看護」内容を最もシンプルにいうと……

①摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防

②適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施

……ということです。

これは認定看護師制度を主催する日本看護協会が定めています。

4.認定のためのテストを受ける条件

4-1.授業

これもこのままでは具体的な内容がわかりにくいでしょう。この認定を取るために修めなければならない授業コースの内容を見てみましょう。

例は日本赤十字広島看護大学の場合です。科目名などは多少の違いはあります。内容はよそでも同じと考えていいでしょう。

共通科目
1.リーダーシップ
2.文献検索・文献講読
3.情報処理
4.看護倫理
5.教育・指導
6.コンサルテーション
7.対人関係(選択科目)
8.看護管理(選択科目)

専門基礎科目
9.リハビリテーション総論
10.摂食・嚥下障害病態論
11.摂食・嚥下機能評価論
12.摂食・嚥下障害病態各論

専門科目
13.フィジカルアセスメント論
14.摂食・嚥下訓練技術論
15.リスクマネジメント論
16.摂食・嚥下障害援助論

演習/実習
17.学内演習
18.臨地実習

「共通科目」とは「認定看護師21分野のどこでも修める必要のある科目」ということです。

「リーダーシップ」「教育・指導」などはこれまでの看護師の資格を取るために通った学校では全くなかった科目でしょう。

「認定看護師は看護チームの中で、リーダーシップを取るような立場である」ということがこれからも分かります。

「専門基礎科目」「専門科目」では「摂食・嚥下障害」に関する科目が並んでいます。ほかの分野に比べても、専門とする範囲が絞られているようです。

4-2.実務経験

この授業コースを修めるだけではなく、「実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)」ということも、認定看護師の資格試験を受ける条件になっています。

その「実務研修」とは、摂食嚥下障害看護の場合は……

①通算 3 年以上、摂食嚥下障害患者が多い保健医療福祉施設、または在宅ケア領域での看護実績を有すること。

②摂食嚥下障害患者を 5 例以上担当した実績を有すること。

③現在、摂食嚥下障害患者の看護に携わっていることが望ましい。

……となっています。

5.摂食嚥下障害看護認定看護師のためのコースがある学校

ほかの分野でも同様ですが、この授業コースが用意されている学校は限られています。摂食嚥下障害看護認定看護師の場合、2015年に開講されたのは、次の3か所です。

茨城県
茨城県立医療大学・地域貢献研究センター認定看護師教育課程 定員20名

愛知県
愛知県看護協会・認定看護師教育課程 30名

広島県
日本赤十字広島看護大学・ヒューマン・ケアリングセンター 30名

もし、これらの学校に通える範囲に住んでいても、仕事を続けながらの通学はほとんど無理でしょう。

多くの場合、勤務先の病院からは休職扱いにしてもらっているようです。

このように認定看護師の資格を取るには、勤務先の協力は欠かません。

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