小児科の看護師の仕事内容は?外来、小児病棟、NICUの違い
小児科の看護師の仕事はかなり大変です。必要な勉強も非常に多いです。
確かに大変なのは、どこの診療科でも同じとも言えますが、他の科と違う、小児科ならではの仕事の特徴があります。
1.小児科の仕事はいろいろ
1-1.担当する病気の幅が広い
小児科がカバーするのは、「0歳から15歳ぐらいまでの患者」です。
内科とか皮膚科とか耳鼻咽喉科といったように病気の種類とか、体の部分では分かれていません。
この年齢の患者であれば、全部診ることになります。
それだけではなく、乳児・幼児だからかかってしまうような病気もたくさんあります。「血液・免疫疾患」「小児がん」「先天性心疾患」「先天性尿路奇形」「先天性代謝異常」などなど、挙げていけばキリがありません。
さらには、たとえ風邪一つにしても、「たかが……」とはいえません。まだまだ免疫力のない乳児・幼児には致命傷にもなりかねません。もちろん、治療に当たるのは医師です。ですが、それを支える看護師にも当然、広い知識や高いスキルが必要になってきます。
1-2.体が小さいので技術も難しくなる
注射や点滴にしても、血管が細いです。針を刺すには、かなりのテクニックが必要です。もともと注射や採血が苦手という人は相当な努力や練習が必要です。
2.小児科の4形態
病院にもよりますが、小児科といっても、配属される場所はいくつにも分かれているのが一般的です。業務内容も違ってきます。
2-1.外来
この外来の仕事は、さらに次の3つに分けることができます。「
・日常的に起きる疾病を扱う一般外来
・慢性疾患などを扱う特殊外来
・健康診断や予防接種を扱う外来
一見、ほかの診療科の外来と変わらないように思うかもしれません。ですが、患者は乳児・幼児です。自分では病状をうまく説明できないかもしれません。
また、病気にかんする注意点などは、本人ではなく家族(保護者)に説明しなければなりません。
患者の病状の観察や、家族とのコミュニケーションが、ほかの診療科以上に大事になります。
2-2.小児病棟
乳児・幼児らが入院している専門の病棟です。外来と同じように患者への観察や、本人や家族とのコミュニケーションは大事です。
また、相手が乳児・幼児のために、「発育状態のチェック」というのも業務の内容に入ってきます。
2-3.NICU・PICU
「NICU」とは「新生児特定集中治療室」のことです。先天性の疾患、緊急の手術が必要な新生児の治療をします。特に多いのは未熟児です。
急変の起きる可能性が極めて高い患者ばかりです。
また、もう少し上の年代を扱うのは「PICU(小児集中治療室)」です。
このどちらであっても、やはり看護師は高いスキルや豊富な知識、柔軟な対応力、迅速な判断力などが求められます。
2-4.GCU
「GCU」は日本語では、「継続保育室」や、「回復治療室」と呼ばれます。NICUで治療を受けるほどには症状が重くなかったり、NICUでの治療の結果、症状が回復した新生児を扱います。
ただ、こういった新生児の中には後遺症を持っている場合もあります。
特に大事になるのが、親への説明や指導です。患者への直接的な看護や医療だけでは十分ではないのです。
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3.小児科の仕事のやりがい
実際に働いているナースの声で多いのは2つ。
①子どもたちの笑顔が見られる。家族からの感謝も、大人の患者の場合に比べて多い。
②看護師としてのスキルを磨き、知識をつけるのに、ほかの診療科に比べて有利。
確かに、これらは小児科ならではの特徴でしょう。ただし、内容をもう少し突っ込んで聞いてみると、「その分苦労も多い」ということでもあります。ばかりなのが分かります。
3-1.子どもたちの笑顔が見られる。
たくさんある診療科のうち、わざわざ小児科を選ぶ理由もこれが一番多いようです。
確かに子どもたちの笑顔にはいやされますよね。しかも、相手は病気やケガに悩まされている子どもたちです。
「元気になってほしい」という気分もいっそう強くなるでしょう。また、日々成長していきます。それを見守るのも楽しみでしょう。
「家族からの感謝」は、まずは保護者である両親がいるでしょう。患者が大人の場合よりも、いっそう心配し、自分自身に責任も感じているでしょう。
健康になった時の看護師さんやお医者さんへの感謝は、いっそう大きくなります。
3-1-1.苦労も多い?
A.くくり方が「15歳より下」というだけなので、カバーする疾病の範囲が広い。その上、新生児・乳児・幼児独特の疾病もある。
B.独特のスキル・知識、もう一段上のスキル・知識が必要になる。たとえば、注射しようにも血管は細い。薬の影響も受けやすいので投薬の量やタイミングも繊細になる。
C.幼児は言葉がまだ十分ではない。新生児や乳児は全くダメ。体調などを自分で説明できない。こちら(看護師や医師)の話も理解しない。
本人ではなく保護者である両親などの対応が重要になってくるのです。療養生活の上で大事なことも、保護者に理解してもらわなければなりません。
3-2.スキルを磨きやすい
カバーする疾病の範囲が広い分、様々な看護のパターンが経験できます。もし、将来ほかの診療科に異動したり、転職することがあっても、とまどうことは少ないでしょう。
3-2-1.勉強が大変
ですが、その広い範囲をカバーするための勉強は欠かせません。日々の仕事も新しいことを次々とこなさないといけないでしょう。
3-3.満足している看護師が多い
決して楽ではないですね。ですが、実際には小児科の看護師たちは
・とにかく、子どもたちの笑顔がかわいい
・同僚の看護師にも志の高い人が多い
・大人の患者に比べ、子供のほうが本人も家族も自分を頼りにしてくれる
といったことで充実感を持って働いているようです。
頭の中で考えているばかりではなく、インターンシップや見学会の機会を使って、一度職場の実態を見させてもらったほうがいいでしょう。
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4.小児科の看護師に必要なスキル
4-1.病院ごとで差が激しい
小児科看護師のスキルは働く病院によって求められるもの、自分に任せられるものはかなり変わってきます。
そのため、実際に働く看護師さんの声も正反対のものもかなり聞かれます。
4-1-1.プラス評価
例えば
患者が大人であれば、病気の種類により、内科、皮膚科、循環器科、耳鼻咽喉科などそれぞれの専門のところに任される。
だけど、小児科では全部を診る。なので、小児科で働く看護師は幅広い知識とスキルが身につく。
というもの。
4-1-2.マイナス評価
小児科に勤務して5年にもなるのに、スキルが全く身につかない。
日ごろやっている仕事は、お医者さんが聴診器を当てるために服を脱がしたり、注射を嫌がる子供をあやしたりばかり。これじゃあ、保母さんと変わらない。ほかの診療科に行った看護学校時代の仲間の話を聞いて焦る。
小児科で主任まで務めて、ほかの診療科に転職した。今までの職場では、使ったことのない機器もたくさんあって、「そんな基本的なこともできないか」と怒られてばかり。
といった声も少なくありません。
4-1-3.仕事の内容が病院ごとで大きく違う
これはどちらも間違いではなく、「同じ小児科といっても、勤務するところによって、仕事の内容は違う。当然、必要なスキルも変わってくる」ということで考えたほうがいいです。
また、「広い知識とスキル」がつくといっても、その内容は人によって様々です。場合によっては、「広く浅く」にしかなっていない場合もあります。小児科以外に異動になったり、転職してから苦労をする人がいるのはそのせいです。
4-2.小児科の必須スキル
4-2-1.注射などの技術
たとえば、注射にしても、実際にやる機会が多いと、ほかの診療科よりも上達します。というのは、乳児や幼児は血管が細く、針を指すのが難しいからです。
かと思うと、勤務先によっては、注射の機会が少なく、一向に上達しない小児科の看護師も珍しくありません。
4-2-2.子供とのコミュニケーション
「観察力」や「コミュニケーション能力」はほかの診療科でも必要です。ですが、小児科ではもう一段上のレベルや違った種類が求められます。
小児科で扱う患者は、全く自分では話せない新生児や乳児だったり、言葉を覚えたばかりの幼児です。
「おなかが痛い」「頭が重い」「熱っぽい」なんてことは伝えるのが無理だったり困難だったりします。看護師さんの方で気がついてあげる必要があります。これはどこの小児科でも求められるようなスキルです。
4-2-3.保護者とのやりとり
患者の保護者とのやりとりは重要です。
かわいい自分の子ども病気です。自分自身が病気になるよりも心配になったり、神経質になっている親もいます。親がどうケアをし、協力してくれるかで、病気の治り方も変わってもきます。
また、最近は学校でも問題になっている「モンスターペアレント」もいます。看護師相手に無理難題をふっかけてくることも。
こういった人たちを相手にしても、根気強く付き合わなければなりません。
5.まとめ
小児科を希望する看護師には「子供が好きだから」という人が多いようです。でもこのように、ほかの診療科よりも大変な面があるのは、ちゃんと覚えておきましょう。
「こういったいいところがある」「やりがいがあって充実している」「メリットがたくさん」という明るい面だけ出なく、マイナス面もきちんと理解しておくこと。でないと、入職した後になって、「こんなに苦労が多いなんて」とか、「自分には向いていなかった」人も多く。離職率も高い職場です。
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