手術室看護師(オペ看)の術前訪問はどんなことをするの?
「術前訪問」とは、文字通りに「手術を控えた患者さんの元を事前に訪れる」ということです。ここでは手術室勤務の看護師さんの大きな役割の一つ、術前訪問という仕事のポイントをまとめました。
手術の説明
手術を受ける患者さんやその家族はだれしも不安になっています。
その人たちに、手術についての話をして、不安を和らげるのが主な目的です。
話の内容としては、「手術の目的」「採用される術式」「採用される麻酔の種類」「手術台の上での注意事項」などです。
患者さん側からの質問があれば、的確に答えなければなりません。
もし、これがうまくいかなければ、手術室に入った時点で患者さんは不安・緊張感を抱え込んでしまいます。
その影響で血圧が上がったり、脈が乱れたりすると、麻酔導入にも影響を与えることも考えられます。
患者さんの情報集め
また、患者さんに関する情報も収集します。
患者さんの情報はもちろん、病棟での担当医や担当看護師からも引き継ぎがあります。
ですが、その中に手術に立ち会う医師・看護師らが必要とする情報が全部あるとは限りません。
例えば「関節可動域」「神経障害」に関するものがあります。
手術台の上では、その手術の種類により、患者さんにかなり無理な姿勢を取ってもらう必要も出てきます。
それに備えて、「右腕はここまで上がる。左腕はヒジに問題があって、ほとんど曲げられない」「右脚を曲げ過ぎると、神経を圧迫して患者さんの苦痛が大きすぎる」といったことをチェックします。
実際に手術の際に、患者さんの体を手術台の上に固定するのも、外回りの看護師さんがやることになります。事前の情報収集が不十分だと、自分自身が困ることにもなります。
時間
術前訪問に掛ける時間は長くても30分程度です。
手際よく説明・情報収集などたくさんのことをこなさなければなりません。その上、ほとんどの場合、患者さんとは初対面です。
このような状況ですから、術前訪問を担当する看護師さんには高度なコミュニケーション能力が求められます。
術後訪問
また、病院によっては、手術後に、やはり外回りの看護師さんが患者さんの元を訪れる「術後訪問」をやるところもあります。
ここではもちろん、患者さんへの手術結果の説明もやります。
それ以外にも「手術後になってから問題が出ていないかをチェックする」「病棟の看護師に手術に関しての情報を提供する」といった目的もあります。
こちらもやはり高度なコミュニケーション能力を発揮しなければならない場面です。
下手をすると、患者さんの中には、「わざわざ来て話をするなんて、手術に問題があったのかも」と勘繰るような人もいないとは限りません。
間接介助(外回り)の一つ
手術室看護師(オペ室看護師)の役割には、執刀医らのわきにいて器具の手渡しをする「直接介助(器械出し)」と、もうひとつ「間接介助」と呼ばれるものがあります。
別名「外回り」です。
この「外回り」には「器械出し」以外の看護師の仕事全部が任されます。
執刀前には「患者さんの入室の時の本人確認」「薬品や医療機器の準備」「室温・湿度の調整」などがあります。
執刀中には「出血量、尿量等の測定」「無影灯の調整」「切除した部位を器械出しの看護師から受け取り、保存」「控室にいる家族との連絡」などです。
実は「外回り」の仕事は、手術当日だけではありません。「術前訪問」から始まっています。