点滴 ルート確保(静脈路確保)の上手なポイント
「ルート確保が上手になりたい」という看護師さんは多いですよね。
もちろん、もともと手先が器用な人もそうではない人もいます。
それに加えて、「新人時代をどこの医療機関で過ごしたか」も、うまい・下手に大きく影響します。
診療科によっては全くやりません。また、大学病院だと、ルート確保は若手医師の仕事になっていて、看護師さんはほとんどノータッチのようです。
こういった人たちは、「中堅・ベテランになって診療科を変わったり、転職し、急に必要になって大慌て」なんてことも多いようです。
ポイント①「まずは準備」
道具としては、まずは、もちろん注射器があります。
短時間でたくさんの薬液(薬剤)を送り込みたいとき、あるいは詰まりやすい薬液を使うときほど太いものを使います。
このように針の種類は目的で自動的に決まります。もちろん、太いものほどルート確保が大事になります。
もうひとつ大事な道具が、「駆血帯」です。
ゴムバンド、チューブ、ベルクロなどの様々なタイプがあります。最近ではやや幅広のテープ式のものが主流です。
自信のない人は、これらを目の前において、使っているときの様子を頭の中で何度もシミュレーションするようにしましょう。
ポイント②「血管を見つけるには目と指」
針を刺すのに適した血管は、太いものです。と同時に真っすぐになったものです。
細かったり、曲がっていると、針を奥までさせず、血管壁を突き破ってしまいます。
また、目で見るだけで、使う血管を決めてはダメです。指で押してみて、盛り上がっていて、弾力があるものを選びます。
ポイント③「血管を怒張させるには」
これぞといった血管が見つけられない時には、「怒張」させます。つまり、血管を人為的に膨張させます。
方法としては、「ホットパックなどで温める」「マッサージする」。他には、「クレンチングをしてもらう」や「駆血帯を使う」といった方法があります。
「クレンチング」は手のひらでグーとパーを繰り返す動作のことをいいます。これで血液が充満してきます。
ただし、採血の時は血液のデータに影響しますので、あまり積極的には怒張をしない方針の病院があったり、医師がいたりします。
最も確実なのが、駆血帯を巻く方法でしょう。ただし、使用できるのがほとんど腕に限られるほか、ちょっとしたコツを押さえておく必要があります。
ポイント④「駆血は何度でも。位置も変える」
駆血帯を使うとき、腕は心臓よりも下にします。そうしないと、怒張しません。また、巻くのは針を刺すところよりも、5~10センチ上です。
この時に注意するのは、「強さ」と「時間」です。
ゆるいと十分に怒張しません。
また、強すぎたり、時間が長いと、皮下出血や末梢神経障害の恐れがあります。
時間は2分が一応の限度です。
また、1回巻いただけで、適した血管が見つかるとは限りません。場所を変えて何度でもやり直すつもりでいたほうがいいでしょう。
駆血帯を外すのは針が少し入ってからです。
点滴の場合は、使っているのは「留置針」で、止血弁が付いているはずです。圧迫止血は不要です。
ポイント⑤「あとの確認」
針がしっかりと入ったと思ったら、「点滴のラインをつないで、点滴が落ちていくか」「逆血の有無」「薬液が血管から漏れていないか」などを確認します。
これで大丈夫ならば、留置針の手前のチューブをループ(輪)状にします。それの2か所にテープを張って固定します。また、突き刺している部分は、テガダームという薄いテープで覆うように張ります。
ポイント⑥「患者さんの顔色を気にし過ぎない」
患者さんの中には、「私はどうも血管が細くて」「あまり注射には向いていないみたいで、看護師さんがいつも苦労する」なんて、向こうから申告するような人もいます。
どちらかというと、大げさに言っていることが多いようです。その一言で動揺しないようにしましょう。
また、「どうやっても自分のスキルでは無理」ということもあるかもしれません。
そういった時は、先輩や同僚にお願いするのも仕方ないでしょう。中には「神業(かみわざ)」といえるレベルの人もいます。
ですが、そういったときも完全に任せきりにせずに、しっかりと横について、その神業の秘密を探るようにしましょう。
それと「数をこなさないと、うまくならない」というのも事実です。患者さんのことを考えると、「失敗覚悟で」というわけにはいきませんが、逃げてばかりいるわけにもいきません。
ルート確保の機会があるたびに、「確実にスキルをアップさせる」と意識しながらやりましょう。