専門看護師と認定看護師の違いってなに?

指差す・ナース

「認定看護師」と「専門看護師」の資格はキャリアアップに人気です。もしかしたら、職場にこれらの人がいて、身近に仕事ぶりを見ているかもしれません。

でも、なかなか区別がつきにくいですよね。一体どう違うのか、キャリアアップを考えるとして、どちらを選べばいいのでしょうか。ここで比較しました。

1.役割の違い

両者の違いについては、いろいろなところで説明されています。「通う必要のある教育コースの違い」とか「病院内でのポジションの違い」などです。ですが、最も簡単に理解するには、その「役割の違い」を知っておきましょう。

シンプルに言えば、

認定看護師

ある看護分野での中のスペシャリスト。

役割は、実践 指導 相談 の3つです。

専門看護師

それに加えて、①組織内でのマネジメント能力(管理者能力)、②ほかの看護師に対する先生役、③看護に関する研究者の役割まで求められる。

 

役割は、実践 相談 調整 倫理調整 教育 研究 の6つあります。

これはこれら二つの資格制度を主催する日本看護師協会がしっかりと決めています。

比べてみるとわかりますが、やはり専門看護師の方に多くの内容を求めています。

※ついでに、この「役割」に関して、勘違いしやすい部分をすこし解説しておきます。

・相談

両方にある「相談」とはほかの看護師などスタッフからの相談を意味しています。

・調整

また、専門看護師の「調整」は

必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う

・倫理調整

必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う

……ということです。

専門看護師はさらにこれに「教育」と研究」もあります。「教育」も周りの看護師に対するものを意味しています。

2.分野の違い

設けられている看護分野にも違いがあります。

認定看護師

2015年現在、次の21分野です。

救急看護、皮膚・排泄(はいせつ)ケア、集中ケア、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛(とうつう)看護、訪問看護、感染管理、糖尿病看護、不妊症看護、新生児集中ケア、透析看護、手術看護、乳がん看護、摂食・嚥下(えんげ)障害看護、小児救急看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、がん放射線療法看、慢性呼吸器疾患看護と慢性心不全看護

専門看護師

11分野です。

がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護

専門看護師の方が……

①ひとつの分野でカバーする範囲が広い

②その範囲の中でも特に何を中心とするかは、その看護師本人に任せられている

……といったことから分野の数が絞られています。

3.なりやすいのはどっち?

3-1.授業の大変さ

どちらも日本看護師協会の試験をパスしないと、資格がもらえません。

その試験を受けるには、どちらも「実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること」と言った条件を満たしている必要があります。

最も大きな違いは、終了しておかないといけない授業コースでしょう。

認定看護師

日本看護師協会が指定した学校などに6~8か月通うことになります。夜間や通信教育はありませんので、仕事を中断することになるでしょう。結構大変です。

ですが、病院によっては、支援体制がちゃんと用意されています。休職扱いや出張扱いにしてくれるようなところが増えています。

専門看護師

看護系の大学院の修士課程を修了しなければなりません。これは順調にいって2年かかります。こうなると、「ちょっと仕事を中断」というよりも、「もう一回学生をやる」という感じです。

実際に「大学院に通うために、仕事はいったん退職する」ということが珍しくありません。

3-2.取得者の数

こういった違いがあって、実際に認定看護師になった人と、専門看護師になった人の数に大きな違いがあります。

2015年1月現在、認定看護師は全国に14,172人いますが、専門看護師は1,466人です。ほぼ同じ時期に始まったにもかかわらず専門看護師の方は10分の1しかいません。

4.キャリアアップに役立つのはどっち?

 

4-1.目的で変わる

何を目指しているか?でとるべき資格は変わります。

認定看護師

「現場」「臨床」にこだわる人

あくまで現場の看護師として、臨床にかかわっていきたい人

専門看護師

「上のポスト」「マネジャー」にこだわる人。

上のポストにつき、組織として看護に当たるマネジャー(管理職)になりたい人。

4-2.現状

ただ、認定看護師、専門看護師とも、病院の中には処遇についてまだ十分に対応できていないところもたくさんあります。

もし、今の職場がそうならば、資格を取るのと並行して、転職なども視野に入れ、今後の自分のキャリアを考えることも必要です。

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