訪問看護指示書

看護師さんの働き方の一つに、「訪問看護師」があります。

長期の治療を受けている患者さんや、終末期を迎えようとしている患者さんたちの中には、病院のベッドではなく、自宅を選ぶ人も増えています。

訪問看護師は、そういった人たちの自宅を訪れ、その人たちに必要な看護を提供する仕事です。

その看護の内容は、「バイタルチェック」「医療機器の管理と操作」「褥瘡管理」「リハビリ」など様々です。何しろ病院に代わって、あなた一人が看護を提供するわけですから。

実はこの中には、「医療行為」も含まれます。インシュリン注射、点滴、血糖測定などです。

これらは病院勤務の場合でも、「医師の仕事か、看護師の仕事か」で問題になるようなものです。

それを看護師が自分ひとりの判断で行うことは決してできません。「医療行為」をできるのは医師だけです。看護師はあくまでその補助でしかできません。

そこで必要になるのが、「訪問看護指示書」です。

訪問看護を始める前に、患者さんの主治医(かかりつけ医)が実際に行った診察の結果を考えて、行うべき処置の内容を決めます。

もちろん、看護師の側は、この内容以外の医療行為はできません。

この名前からわかるように、訪問看護で行う医療行為は、あくまで「医師の指示を受けて行われている」ということになります。これで、看護師の資格でできる範囲をはみ出さずにすむわけです。

「訪問看護指示書」はおおまかには、それ以外の「特別訪問看護指示書」「在宅患者訪問点滴注射指示書」も含めた名前です。

厳密には次のような区別があります。

いずれも、どこの医療機関や訪問看護ステーションでも用紙は用意しています。内容はほぼ同じです。

①訪問看護指示書

最も一般的な指示書です。この内容は6か月有効です。また、これに従った訪問看護は週に3回までできます。

患者さんの名前、住所、生年月日、「主たる傷病名」といった基本データのほか、「現在の状況」として、「病状・治療状況」、「投与中の薬剤の容量・用法」、「装着・使用医療機器等」などが記されています。

看護師さんからすると最も重要なのが、「留意事項及び指示事項」です。この中で……

①Ⅰ療養生活指導上の留意事項

①Ⅱ「リハビリテーション」「褥瘡の処置等」「装着使用医療機器等の操作援助・管理」「そのほか」

②在宅患者訪問点滴注射に関する指示(投与薬剤・投与量・投与方法等)

……などが指定されています。

看護師さんは、これを見ながら、そのとおりに処置するわけです。

ここに書かれている内容は介護保険・医療保険の両方が有効です。

②「特別訪問看護指示書」

①の「訪問看護指示書」での処置だけでは間に合わないような時に出されます。「急性憎悪」や「終末期」「病院から在宅治療に移った直後」などが考えられます。

有効期限は14日で、出せるのは月に1回までです。ただし、「気管カニューレを使用している患者」「真皮を超える褥瘡のある患者」の場合は、例外的に月に2回まで交付できます。

この特別訪問看護指示書の内容には、医療保険が適用できます。

③「在宅患者訪問点滴注射指示書」

月に3回以上、末梢静脈への点滴注射が必要と判断された場合に、交付されます。

有効期限は最大で7日です。

この「在宅患者訪問点滴注射指示書」の内容には、
医療保険の適用が可能です。

これらは、訪問看護ステーションから、主治医に依頼して作成・交付してもらいます。

看護師・訪問看護ステーションの側から行うべきこととしては……

・患者さんのコンディションに変化があったり、訪問看護の内容を変える必要があるときは、その度に主治医に報告する。

・病状や疾病はしっかりと書きこんでもらう。(これがあいまいだと、何度も書きなおしてもらう必要が出てきます)

・「特別管理加算算定条件」など訪問看護の算定(料金計算)にかかわる部分を忘れずに書いてもらう。(主治医の側はあまり関心がありません)

……などがあります。

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