精神科訪問看護
1.一般の訪問看護報酬計算
訪問看護の場合、看護師さんは患者さんの自宅まで出かけ、いろいろなケアをします。その中には「看護」の範囲を超えて、「治療」まで踏み込むことがあります。
そのため必要なのが、主治医(かかりつけ医)からの治療内容に関する指示です。また、この指示の内容を書面にしたものを「訪問看護指示書」と呼びます。
この訪問看護には介護保険や医療保険が適用されます。
つまり、訪問看護ステーションなど医療関係者には、その行ったケアの内容によって、患者さん本人だけではなく、国からもお金が支払われるわけです。
このお金(診療報酬)の額は、「点数(単位)」であらわされています。
たとえば、指定訪問看護ステーションから看護師さんが派遣されると、「30分未満の場合、463単位」(2015年度改定)といった具合です。
例外もありますが、最も基本的な計算方法では、この単位に10をかけた数字が医療関係者が受け取る金額です。また、そのうち9割が介護保険から(国から)支払われ、患者さん本人の支払いは1割です。
医師は訪問看護に関しては、訪問看護師への指示を考え、指示書を作ります。医師としての仕事をしたわけですから、それに対して料金が発生します。
これまでは、特に診療科による指示料の違いはありませんでした。
どことも
点数=300単位
訪問看護の対象=疾病、負傷音ために通院による療養が困難な者
となっていました。注目して欲しいのは、「対象が患者さん本人だけになっている」ことです。
2.精神科の場合
これだと実態に合わない診療科も出てきます。特に精神科がそうでした。
患者以外の家族にもケアが必要
精神科の患者さんの場合、自宅療養には同居する家族の協力が欠かせません。訪問看護師も、薬の飲み方、急性憎悪時の対応の仕方などの指導を、家族に対してする必要があります。
実際に
・医師から「患者さんのご家族には、こういった点を注意してもらってください」「ご家族は患者さんにこういったようにお世話するようにと、看護師さんの方で指導してください」といった指示がでる
・訪問した看護師さんが、家族に対し、指示の内容を実践する
ということは常にあります。
ですが、一般の診療報酬の対象はあくまで患者本人ですから、この分に関しては、医師も訪問看護ステーションも料金を受け取ることができません。
3.診療報酬改定
平成24(2012)年に診療報酬が改定されました。今までのパターンでの点数に加えて、特に精神科だけ、指示料に
点数=300単位
訪問看護の対象=精神疾患を有する入院中以外の患者またはその家族等
が加えられました。
また、訪問看護師さんに対する料金である「精神科訪問看護・指導料」にも、新たに
対象=同一建物居住者
点数=445単位(30分以上、週3日目まで)
が、加えられました。
つまり、家族に対する指示やケアだけでも料金を受け取ることができるようになったのです。
このように、精神科の場合だけ、やや特殊な扱いになっています。そのため、ほかの「訪問介護」と区別して、「精神科訪問介護」と呼ばれます。
4.精神科訪問看護ステーション
また、訪問看護ステーションには、精神科の患者さんだけを対象にしているようなところもあります。こういったところはしばしば、「精神科訪問看護ステーション」と呼ばれたり、自ら「精神科に特化した訪問看護ステーション」とアピールしていることがあります。
といっても、この診療報酬は、「患者さんが精神科にかかっており」、「指示を出したのが精神科の医師」であれば適用されます。看護訪問ステーションの方は、精神科専門である必要はありません。
訪問看護ステーションで働く看護師さんにとっての違いは、「精神科の場合、同居する家族へのケアや指導はほかの診療科よりもより重要視されていて、その分は、ちゃんと料金にも反映している」と意識することぐらいでしょう。
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