在宅看護専門看護師について

1.専門看護師の背景

専門看護師は1996年に第一号の資格保有者がでています。11分野について作られています。

ハッキリいって、取りにくいのは専門看護師です。大学院の修士に行き終了する必要があります。また同時に、さらに専門看護師になるためとして指定された単位も取らなければなりません。

このせいもあって、2015年1月現在で、専門看護師は1466人しかいません。認定看護師はその約10倍ほどいます。

2.在宅看護専門看護師は最新

「在宅看護専門看護師」は2012年と今のところ専門看護師の中ではもっとも最後に作られた看護分野です。

そのため、資格所有者も22人(2015年1月現在)しかいません。

ただ、今の世の中は、だれもが認めるように高齢化社会がどんどん進んでいます。この先、成長が見込める分野であることは間違いないでしょう。

当然、在宅看護専門看護師が必要とされる場面も増えていくはずです。また、それに応じて、数も多くなっていくでしょう。

3.在宅看護専門看護師の看護分野

3-1.分野は広い

「在宅看護専門看護師」の「分野の特徴」として、日本看護協会では……

在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。

……としています。

もともと在宅看護自体が広い範囲をカバーしています。それに応じて「専門」といってもかなり漠然とした表現になっています。

3-2.訪問看護専門看護師との違い

一方、認定看護師の方で、これに当たるものといえば……

「訪問看護専門看護師」

……でしょう。

こちらの方は日本看護協会の方で「知識と技術」として……

在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理

……と説明しています。

やはり専門看護師の方が求められるものが多いと考えていいでしょう。

マネジメントの有無

また、この2つには……

認定看護師は自身も臨床の現場のスタッフとなり、看護に当たる。専門看護師はそれプラス、マネジメントまで求められる

……という違いがあります。

「マネジメント」は「ほかの看護師を部下として指示・指導・教育する。その部署の責任者となる」ということです。

これは在宅看護専門看護師と訪問看護認定看護師だけではなく、ほかの看護分野でも同じことです。

4.大学院の授業科目

もう少し具体的に「在宅看護専門看護師には何が求められるか」を知るには、大学院での授業科目をチェックすればいいでしょう。

この授業科目やその内容は看護分野ごとに、「一般社団法人日本看護系大学協議会」が細かく決めています。

A「専攻分野共通科目」
1.保健医療福祉の制度・体制およびケアマネジメントに関する科目
2.利用者・家族の健康と生活の・理論やモデルを活用して、フィジカルアセスメント、家族アセスアセスメントに関する科目
3.在宅看護援助方法に関する科目
4.訪問看護ステーション等の管理・運営、ケアの質改善に関する科目

B「専攻分野専門科目」
1.自立促進のためのケア(リハビリテーション看護を含む)
2.在宅において医療的対応および処置が必要な利用者のケア
3.終末期ケア(緩和ケアを含む)
4.多問題・困難課題を抱える利用者のケア(認知症ケアを含む)

C「実習科目」

「専攻分野共通科目」は4つとも必修です。「専攻分野専門科目」はこのから2つを選択するようになっています。

CNS共通科目

また、「CNS共通科目」として……

看護教育論、看護管理論、看護理論、看護研究、コンサルテーション論、看護倫理、看護政策論

……が用意されています。

「CNS」とは「Certified Nurse Specialist(専門看護師)」の頭文字です。

つまり、「CNS共通科目」とは「在宅看護専門看護師に限らず、ほかの分野の専門看護師でも修める必要がある科目」ということです。

これもこの中からいくつかを選択するようになっています。

こういった形で在宅看護専門看護師のための科目を用意していた大学院は、2015年の場合で11か所でした。まだ始まって間がないために少ないです。注意が必要です。

5.実務研修

5-1.内容

専門看護師の資格試験を受けるために、もうひとつ条件となっているのが「実務研修」です。

①看護師の資格取得後、通算5年以上実務研修をしていること。そのうち通算3年以上は専門看護分野の実務研修であること。

②専門看護分野においてa~fの内容の実務研修をしていること
a 個人、家族及び集団に対する直接的な看護実践
b 看護者を含むケア提供者に対するコンサルテーション
c 必要なケアが円滑に行われるための、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーション
d 個人、家族及び集団の権利を守るための、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる倫理調整
e ケアを向上させるための、看護者に対する研修会、研究指導及び講演会等での活動を含む多様な教育的機能
f 専門知識及び技術

③現在、常勤、非常勤を問わず看護実践を行っていることが望ましい。

この①~③を満たさなければなりません。

また、在宅看護専門看護師の場合、この「在宅ケアを要する患者に対する在宅看護の実務研修」と指定されています。かなり漠然とした指定内容です。

5-2.訪問看護認定看護師と比較

ちなみに、もう一方の「訪問看護認定看護師」の場合は……

①通算3年以上、在宅ケア領域での看護実績を有すること。

②医療処置及び管理を要する患者の在宅における看護(退院支援を含む)を5例以上担当した実績を有すること。

③現在、在宅ケアに携わっていることが望ましい。

……となっています。

認定看護師のほうが条件が細かいように見えるかもしれません。ですが実際には逆です。

「専門看護師の場合は、その看護師ひとりひとりについて、どのような実務研修を経験してきたかを細かくチェックする。なので一律に『5例以上』といったような条件はつけていない」と考えたほうがいいでしょう。

①と③も認定看護師でも同様の条件が付けられています。

専門看護師の場合は、a~fについてすべて文章にして提出し、審査を受けることになります。

6.専門看護師の合格率は?

大学院の修士課程を終え、実務研修も条件を満たしたならば、ようやく在宅看護専門看護師の資格試験を受けることができるようになります。

まずは一次審査として書類選考があります。

ここで②に挙げたa~fがチェックされます。

それをパスすれば、二次審査に進みます。ここでは「看護実績報告書」(修士論文、教育活動報告など)を提出し、論述式の筆記試験を受けます。

このように資格試験はかなり内容の濃いものになっています。

ですが、受験資格を得るための準備をしている間に自然とそろうようなものばかりです。

あくまで在宅看護専門看護師だけではなく専門看護師全体での数字ですが、合格率は例年95パーセント以上になっています。

 

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