メラトニンとは?睡眠ホルモンの意外な力!良質な睡眠だけでない、若い女性には欠かせない神ホルモン!
2016/12/17
目次
1.メラトニンの効果や働きが意外と知られていない!?
メラトニンといえばTVでも取り上げられて、質のいい睡眠が得られたリ、老化防止などと漠然と知っている人は多いかもしれません。
実はそれだけではありません。抗がん作用や糖尿病、高血圧の予防もしてくれる優れものです。 しかも、副作用はほとんどないという至れり尽くせりでもあります。
効果のある薬にはそれなりの副作用がある・・・というのが「クスリの常識です」。しかし、メラトニンのように体に不足しているホルモンを補充するという場合は、副作用なしでメリットがあるだけ!という素敵な事もあるのです。
メラトニンを正しく服用すれば、90分周期の正常な睡眠パターンが得られることが証明されているため、良質な睡眠が簡単に手に入るようになりました。
2.興味深いホルモン、メラトニンとは?
トリプトファンのセロトニン代謝系で作られる最終代謝物がメラトニンです。
血管脳関門を通過できるため、服用30分以内には眠気を感じるようになります。睡眠障害を改善して、1日の概日リズムを正常にするホルモンです。
毎日同じ時間にメラトニンを服用していれば、毎日同じ時間に眠気が起こり、自然な眠りが得られます。朝は網膜に光を感じると目が覚めるという、ヒトが本来持っていた生活習慣を取り戻すことができます。
年とともに減っていく
メラトニンは思春期頃に分泌量は最大になり、加齢とともに減少していきます。減少していくことによって高齢になるほど睡眠障害や不眠が増加していきます。
Copyright © Takeda Pharmaceutical Company Limited.
そのため、メラトニンは外部から補充する必要があるホルモンとして有名なものです。
他にも成長ホルモンや男性ホルモン、女性ホルモンなども加齢に伴う減少は避けられないので、必要に応じてホルモン補充療法が行われています。
3.頭の中の松果体にきちんと作用!
メラトニンの発見当初は、牛の松果体をすりつぶしてオブラートに包んで飲んでみたりしていました。
現在では人工的に作られています。
天然のメラトニンが望ましいという人もいますが、そこまで手間のかかるものは販売されていません。牛のヤコブ病も問題になっていますので。
“松果体(しょうかたい) は、脳に存在する小さな内分泌器である。松果腺 (pineal gland) 、上生体 (epiphysis) も呼ばれる。脳内の中央、2つの大脳半球の間に位置し、間脳の一部である2つの視床体が結合する溝にはさみ込まれている。概日リズムを調節するホルモン、メラトニンを分泌することで知られる。
” ソース: 松果体 – https://ja.wikipedia.org
メラトニンは毎日同じ時刻に服用することで最大の効果を発揮します。 誰もが得られる効果としては、正常な90分周期の睡眠リズムと最も深いノンレム睡眠が増えて心身ともにリラックスできます。
4.細胞レベルで老化防止もしてくれる!
また、脂溶性と水溶性の両方の性質をもった抗酸化物質です。しかもビタミンC・Eの2倍の抗酸化力があります。
全身の細胞に行きわたって細胞膜と細胞質の活性酸素に作用して、ある程度の老化防止効果もあります。
加齢とともに分泌量が減少するということから、外部から補充するのが必要なホルモンと言えます。
網膜でもメラトニンを産生・分泌しているため、活性酸素を除去して白内障をはじめとする眼病を予防する作用があり、受光器官としての網膜と松果体の起源が同じという説もあります。
5.抗がん剤の副作用も消してくれる?!
抗がん剤の副作用を消す効果もあるのですが、そのあたりはあまり知られていないのか重要視されていないのか、有効利用されていないようです。
主に抗がん剤の副作用の痛みや吐き気、脱毛など深刻なものを軽減する効果があります。
現在では抗がん剤の使用目的は治癒に向けた使うのではなく、移植などの前処理として使われることが多くなっています。回復が見込めない末期の患者にはQOL(生活の質)を考慮してほとんどの場合、使用されない傾向にあります。
6.避妊もできるかも?メラトニン大量服用実験
10歳頃からメラトニンの分泌量が急に減少するため、性腺刺激ホルモンの分泌が促された結果、生殖細胞が発達して生殖器や生殖腺の発達を起こします。
実験
逆にメラトニンを大量に摂取すると避妊効果があるのではないか?と考えた者が、オランダで1400人を対象に大規模な避妊実験を行ったことがあります。
ほとんど確実な避妊方法という結果でしたが、避妊効果は100%ではありません。
1日75mgを4年間にわたって服用させるという実験でしたが、副作用らしきものはほとんど見られなかったと言われています。
75mgというのは異常な服用量であり、一般的な服用量(2~3mg)では1か月分です。大量に飲んだ場合は松果体でのストックが出来ないので血中濃度が急激に上がります。結果的に服用量に比例して眠気が起きます。この場合は翌日または翌々日まで眠気が残ることがあります。
ここまで無茶な飲ませ方をして、はっきりした副作用がないというのも驚きです。5mgを毎日飲んでも何の心配もないでしょう。
といっても、服用量は医師の指示通り、または個人輸入の場合は少量(1mg)から開始する必要があります。効果がない場合は自己判断で1日5mgまで増やすことは可能です。
個人輸入をした日本の医師が患者への処方も1995年頃から行われています。2010年あたりからメラトニンの処方は医療機関でもオープンになっています。
7.メラトニンはサプリメントで摂れるの?
脳内の松果体や網膜、小腸で作られて、松果体から分泌されて正常な睡眠パターンを得る事ができるメラトニン。
これを補充する場合は錠剤ですが、分類上はメラトニンはホルモンなので現在の日本ではサプリメントではなく、医薬品になります。
米国ではサプリ(栄養補助食品)として扱われています。そのため、治験を行ったというニュースもなく、副作用や安全性についてのデータもありません。治験を行った先発品がないのでジェネリックももちろんありません。
ちなみに私は1990年ごろにメラトニンの発売と同時に渡米して、メラトニンを12か月分ほど購入してきました。医薬品であれば1か月分しか持ち込みできませんが、アメリカではサプリ扱いだからいいかな、と。 その頃は日本でも医薬品扱いではなかったはずです。認知度も低かったので税関の職員は知らなかったのかもしれず、税関はスルーできました。
現在では業務としてメラトニンの輸入販売を行う事は禁止されています。そのため、個人輸入代行という形を取っているわけです。
8.しかし、国内で武田薬品がロゼレムを発売!?
国内でメラトニンを求める声が多いため、武田薬品が新薬としてロゼレムという商品名で販売を始めました。
これはメラトニンの受容体MT1・MT2に作用するタイプの薬で、日本では要処方箋薬として取り扱いが行われています。
副作用として頭痛やめまい、倦怠感、体重増加などがあり、抗うつ剤との相互作用は危険度の高いものです。
ヒトの代謝系の産物でもあるメラトニンを使えば何の問題も起きませんが、あえてメラトニンの3つの受容体の内の2つに作用させています。
相互作用と服用量を間違えないように慎重に飲まなければいけない・・・というのは正直面倒ですね。 なので「ロゼレム」などという薬を選択する必要は正直感じません。精神病棟の夜間「せん妄患者向け」の薬になりそうな感じがします。
メラトニンは、米国ではドラッグストアやスーパーのレジ付近にも置かれているというお手軽睡眠サプリ扱いになっています。副作用がないというのが最も大きな理由で、FDA(米食品医薬品局)が認めた安全なホルモンです。
JALやANAの国際線では機内販売でメラトニンを扱っています。
日本の領空を超えれば機内販売が始まります。なぜ機内販売をしているかというと、概日リズムをリセットすることが可能であるため、時差ボケ対策としての服用目的になります。
服用した時刻が夜であると認識させることで、時差ボケが酷い人でも数日で渡航先の時刻に合わせた生活が可能になります。
日本国外では処方箋の必要もなく手軽に買える睡眠サプリという位置付けなので、誰でも気軽に買えるようになっています。
9.メラトニンの副作用は?
メラトニンを外部から摂取していると、メラトニン産生器官が衰えるという話もあるようですが、思春期前から急激に衰えているから補充するわけです。
インスリンの静脈注射によって、すい臓のβ細胞を一時的に休めてインスリンを産生しやすくするのとは訳が違います。
メラトニンは基本的に小腸、松果体、網膜など複数の器官で作られています。また、食事からも直接体内に入ってきます。
ケールや、かいわれ、明日葉には特にメラトニンが多く含まれているので、食べ過ぎたら産生器官が衰えるということも考えられないですね。 かいわれ大根を大量に食べても副作用など聞いたことがないので、その程度に考えればいいと思います。
そして、一定の時間になると松果体から一定量が分泌されるわけで、松果体はストックする器官と考えれば問題ありません。
最も多い副作用と言われているものが悪夢を見るということ。
正常な睡眠パターンになるとREM睡眠が増えて夢を見る時間も増えます。 そして、人間が見る夢の70%は悪夢というのが定説なので、副作用とは言い切れないでしょう。人によっては悪夢がパワーアップするようで、「二度と飲みたくない!」という人も稀にいます。
10.メラトニンと抗がん作用の話
メラトニン自体の抗がん作用としては、抗酸化作用と睡眠の質による免疫力向上がある程度影響するかもしれない、という程度で考えられます。
例えば、エストロゲンの濃度に依存して(比例して)乳がんが悪化することが知られています。
メラトニンは、エストロゲンなどのホルモン制御に関係しているため、ホルモン分泌に影響したり受容体に作用することで、がん細胞の増殖を抑える(または、増殖速度を遅くする)という効果があります。
メラトニンは悪性腫瘍やがん細胞に栄養を与える新生血管の増殖抑制を行って、腫瘍を縮小させるという事実も確認されています。
とはいえ、メラトニンを大量に服用しても癌細胞が消失することは考えられず、ホルモンに与える影響で抗がん作用を発揮していると言う方が正確かもしれません。
11.メラトニンと2型糖尿病の関係
すい臓のβ細胞からインスリンが分泌されると血糖値が上がり、インスリンが減少すると血糖値は下がります。
膵臓にもメラトニンの受容体があるため、メラトニンの血中濃度と反比例してインスリンの分泌量が制御されています。
通常はメラトニンの濃度が高くなる夜間の睡眠中ではインスリンの分泌が減ります。起床後にメラトニンの濃度が下がるとインスリンの分泌が増えます。これが正常なインスリンの濃度変化です。
ですが、すい臓のメラトニン受容体(MT3)に異常がある場合に限ってメラトニンが作用できなくなり、その結果、血糖値が上昇して2型糖尿病が悪化するというリスクが出てきます。
受容体の異常とはいえ、生活習慣と遺伝的要因が影響した2型糖尿病と考えれば不思議ではありません。
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そして、睡眠不足が続いている場合はインスリンの分泌が比較的多いということになります。それをセーブするためにインスリン抵抗性が増えます(インスリンの効果が減少します)。
その結果、血糖値が上昇して2型糖尿病のリスクが増えます。
しかし、それだけでは終わりません。
インスリン抵抗性が影響して腎臓の血圧上昇に関するホルモンにも影響して高血圧になることも判明しています。
説明も難しく面倒な内分泌系の話でしたが、結論としては、メラトニンを補充して質のいい睡眠を毎日とっていれば、2型糖尿病や高血圧の合併症も起こらず、健康的で平穏な日々を送ることができます。
12.メラトニンまとめ (作用・効果・扱いなど)
1) 松果体から分泌されるメラトニンに副作用はありません。
2) 思春期前にピークを迎えて、その後は減少する一方。
3) 概日リズムと睡眠パターンを正常にするホルモン。
4) ビタミンC・Eの2倍の抗酸化力で細胞質と細胞膜に作用する。
5) 網膜から分泌されて白内障などの眼病予防。
6) 抗がん剤の副作用を大幅に軽減する。
7) 米国ではサプリメント扱い、日本では医薬品扱い。
8) メラトニンの代用品、武田薬品のロゼレムに注意!?
9) ケール、かいわれ、明日葉にはメラトニンが多く含まれている
10) エストロゲンの濃度を調整して乳がんを抑制する
11) 2型糖尿病や高血圧に関わっているので、積極的な摂取を!
[sleep1]
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