幻覚がみえる不思議の国のアリス症候群!トリップ体験を昔は楽しんでたけれど、実は恐い重病だった?!
「うわー、天井が落ちてくるー!」
「ん、待てよ、そんなわけないじゃん」
一人で驚きわめいて一人で冷静になりつっこむ。こんな一人のボケつっこみ(笑)に悩んでいる小学生がいます。
いつも寝ようとすると、天井が自分の目の前まで迫ってくる。でも、押し潰されることはありません。いつも目前で天井はピタッと止まります。また、自分の体が巨大化して部屋中の壁が迫ってきたりします。
このくらいの年齢の子供によくあることともいわれますが・・・
不思議の国のアリス症候群とは?
イギリスの精神科医ジョン・トッドによって名付けられた症候名で、ルイス・キャロル原作の「不思議の国のアリス」と似たような体験をすることを意味しています。
主人公のアリスのセリフでは「変なの、へーんなの! 私の身長25センチに縮まっちゃった」というものがあります。その後にケーキを食べると大きくなって、涙を流すと池が出来るというような、現実的な物の大きさが把握できなくなるのが主な症状です。
他にも、物が極端に小さく見えることで遠ざかって行くように感じたり、自分が大きくなったと勘違いすると部屋中の全ての壁が迫ってくるような錯覚を起こします。
不思議な感覚ですが、必ずしも病気とは限りません。
妙な感覚によって不安感が増す子供もいますが、錯覚に慣れてくると不思議な感覚が苦痛に感じなくなります。ほとんどが子供の頃に体験するもので、正確な患者数は把握されていませんが、10%~20%の子供がこのような不思議な体験をすると言われています。
実際に多い症状の具体例として、次のようなものがあります。
1)横になっている時に、天井が下がってきて顔の直前まで迫ってくる。
2)遠近感が麻痺して、ものの大きさを把握することが出来なくなる。
3)周りの物の動きが早く感じて歩きにくくなる。ひどい時は歩けない。
4)自分の手足が細くなったり太くなったりするという感覚がある。
5)周りのものが極細や極太になったり遠ざかっていくように見える。
6)病気だという自覚がないので、誰にも相談できず一人で悩んでしまう。
7)時間が早送りされる感覚がある。
原作者のルイス・キャロルは偏頭痛が原因による同じ体験があるので、自分に起きた不思議な体験を登場人物のアリスによって表現しています。他人に言ったところで相手にしてもらえないので、「不思議の国のアリス」というタイトルをつけて、自分に起こっていることを間接的に表現したかったのでしょう。
ガリバー旅行記の作者も同様の体験をしていると言われています。
病気の自覚がない子供は、妙な体験を他人に話さない。
この不思議な感覚があっても、子どもは病気とは考えていません。他に症状が何もなく、ただ物の大きさが正常に見えないというだけで「自分は病気かもしれない」という考えは起きないものです。そして、そのような妙な体験を人に話したり相談することはしません。
もし、小学生が親に対して、「身長がやけに小さくなったり、天井が毎晩下がってくるんだけど・・・」などと言った場合、おそらく眼科や心療内科に直行することになるのでしょう。とはいえ、眼科や心療内科は専門外なので、疾患の特定に至らない可能性が高いです。
遺伝的要因もあるので、「私も小さい時にあったから大丈夫じゃない?」という母親の返事が返ってくるかもしれません。症状がひどく長期間にわたって継続する場合や、よほどの苦痛を感じない限り、病院で治療が開始されることは珍しいケースです。
子供なりの対処法として、現実に順応して錯覚を楽しむ。
妙な体験を何度も繰り返して、それが定期的に起こる場合は、子供心にも「排除することが不可能であり、無駄な事」だと理解しています。そして、不思議な体験であっても、それが無くならない限り順応するしかないと考えた結果、逆に楽しんでしまう子供もいます。
もし、いつまでたっても排除しようとする考えを持ち続けて、努力すればするほどそれがストレスになっていきます。慢性のストレスから起きる疾患は現代病として多くのものが考えられます。この場合は順応して錯覚を楽しむのも一つの手段です。
症状が軽い場合は原因疾患が見つからず治療の必要がないものです。一般的に思春期辺りから20代までには症状は消えます。遅くとも30代になると遠近感などの空間認識能力や論理的思考能力が確立されて症状が無くなります。しかし、成人になって症状がなくなると逆につまらなくなってしまい、「もう一度、子供の頃の体験をしたい」と思う人もいます。
ほとんど全ての人に共通する考えとして、こういう体験をしているのは自分だけだ。と思い込んでいます。しかし、ネットで同じ症状の人を見かけると、自分だけじゃなかったんだ。とホッとするようです。
アリス症候群は偏頭痛や、てんかんの可能性も。
小学生の頃に起きた症状で、軽症であれば単なる遠近感などの空間認識能力の未発達ですが、EBウィルス感染症という説もあり、中枢神経に炎症が起きるという一過性の症状であることも考えられます。
大人になっても治らない場合は、主に偏頭痛が原因になります。他には、空間認識や論理的思考を行う脳の領域に脳腫瘍やてんかんなどが発見されることがあります。うつ病や統合失調症が原因で起きることがあるとも言われていますが、精神疾患が原因になることは稀です。
Wikipediaでは、原因として小視症や大視症、変視症、離人症などを挙げていますが、眼疾患は関係ありません。小視症などに比べるとはるかに大きな変化があるので、眼疾患では説明がつかないものです。離人症の患者でも視覚的な大きさの変化はありません。
受診科としては、子供の症状が重症であったり、成人になってもいつまでも続く場合は、脳神経外科で腫瘍や脳出血の有無、神経内科で偏頭痛や脳梗塞の有無などを確認するのが無難なところでしょう。問題が見つからなければ精神科になります。
そして原因がわかって治癒すると、「もう、あの体験はできないのか・・・」と少し残念な気持ちになるというのも不思議なところです。
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