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まだ生きているよ!なのに死亡宣告されてしまう怖い閉じ込め症候群。最大の誤診をさけるにはどうすればいい?

      2016/08/27

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「助けてくれ~おれは、まだ生きているぞ~」

いくら叫んでも叫んでも、自分の声が届かない。生きているのに、死亡を宣告されてしまう・・・

生きているのに、死んでいると思われてしまう、置き去りにされる、閉じ込められる恐怖

人の命を助けるはずの病院で起きてしまう悲しいジレンマがあります。運悪く鈍い医師にあたってしまうと、生きているのに殺されてしまうかもしれない可能性はさけられません。

意識がないと誤診された患者のわずかな異変に気づいて、誤診を見破ったアメリカの海外ドラマ「ドクターハウス」のような、名医ばかりだったらいいのですが・・・

Dr.HOUSE シーズン5 #19「閉じ込められた心」

患者に意識があるのに脳死判定!?

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「閉じ込め症候群(locked in syndrome)」という妙な症候名があります。別名ロックドイン症候群(locked in syndrome)とも言います。

交通事故や脳卒中などで植物状態と診断を受けたものの、患者に意識はありながら、それを外部に伝える事が出来ないという状態です。

医師は「意識は無く昏睡状態である。このまま様子を見ても回復の見込みはない」と家族に告げます。または、医師によっては「脳死している」と決めつけている場合もあります。

何の処置も行わなければ、いずれ心肺機能が低下して、呼吸停止のあとに心停止が起きると脳機能は完全に停止します。

これが人間の死を意味しますが、現在の医療では人工呼吸器によって肺機能を代替させることで、心停止や脳死に至らないようにする事は可能です。

延命措置をするかしないか、選択を迫られる家族

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家族は医師の言葉を信じるしかない状態ですが、人としての感情も持ち合わせています。そこで「人工呼吸器で延命措置を行うか、自然死を待つか」という二択の決断に迫られることになります。

人工呼吸器をつなげば、心臓が動いている限り植物人間として生きていく事になりますが、もしかして意識を取り戻すかもしれないという可能性はゼロではありません。

しかし、一度延命措置を行うと人工呼吸器を外すことは法的にも禁止されています。そこで家族間での葛藤がみられる事があります。

一方、意思を伝達できない患者本人は?

延命措置を行うかどうかという判断は、通常患者本人の意思が優先しますが、意思表示ができなければ患者のドナーカードの記載内容、または家族の判断に委ねることになります。

このとき、患者は意識があると伝えたくても伝達方法を失っています。「自分は生きている!」と誰にも分かってもらえないもどかしさは大きなものです。

患者の状況は?

そして、医師と家族の会話の一部始終を聞いていますが、瞬きや眼球運動さえできない辛さと、医師に対する怒りを感じています。(これらのことは後に判明します)

画期的!fMRIで、昏睡状態の患者の脳を直接診断!

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20年以上にわたり昏睡状態であると判断されて、外部に意思を伝えることが出来なかった患者がいます。

近年になって開発されたfMRIで脳をスキャンする事により、脳の代謝部分の違いによりYesとNoが判断できるようになり、それを患者に使用したところ、脳が正常に動いていることが判明したようです。

脳波の働きで生きているかどうかを判断できるようになりました。

最近になって眼球の動きだけでコンピューターに文字入力を行うことが可能になり、コミュニケーションツールとして用いられています。患者はリハビリによってそれを使うことで自分の意思を伝える事が可能になり、暗闇の中の20年間の心理状態を語っています。

暗闇の中での患者の苦しみとは?

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周りの声は聞こえたけれど意思表示ができなかったもどかしさや、医師に対する怒りは当然あったようです。そして、闇の中でひたすら眠って夢を見る事しか生きる手段はないと悟り、耐え続けたといいます。

想像を絶するフラストレーションの中で、別の人生を想像しながら毎日を過ごすことで生き続けることができたようです。

閉じ込め症候群の患者でも、夢を見て覚醒するという毎日の生活パターンがあります。その苦痛は想像の域を超えることはありませんでしたが、夢の中に逃避しながら、起きている間は違う人生を想像して耐えてきたようです。

誤診が次々に明らかに!fMRIで救われた命

この患者の例を重く見た結果、fMRIを使うことで、「意識がないと誤診された患者」が軽症であることが判明。

リハビリが開始されて、「閉じ込め症候群」から解放される患者が増えています。

まばたきや眼球運動を通じて意思疎通やコミュニケーションができるところまで回復するケースが増えています。会話がセイルつするようになったともいえます。家族が恒例になり、この閉じ込め症候群に陥ってしまった、介護の現場でリハビリテーションを頑張っている、意思疎通がうまくいかず悩んでいるなど、身近な問題にもなっています。

判断が難しい脳死判定を、fMRIを導入することで、誤診を減らすことができたというのは、喜ばしい事です。

万が一のことを考えて、fMRIのある病院をきちんと調べておくことが、必要な時代になっているかもしれませんね。

閉じ込め症候群で話題の少年

フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」でこの病気に陥った少年、マーティン・ピストリウス が取り上げられました。(5月19日放送)

アンビリバボー

南アフリカにすんでいたマーティンは12歳で発症し、意識があることに気付いてもらった、リハビリを開始するまで13年もの長い時間一人で戦っていました。

このマーティンは自身の体験を小説にして本にしています。「ゴーストボーイ」は実際に閉じ込め症候群に陥った人の生の声、体験がつづられています。

この病気を理解するには、目を通しておきたい本です。

閉じ込め症候群を扱った映画

潜水服は蝶の夢を見る(フランス映画)

ファッション誌「ELLE」の編集者だったジャンドー をが病に倒れ、その病床にいながら瞬きだけで作り上げた自伝を映画化したものです。

原作も日本語翻訳されて本になっています。

テレビで取り上げられたケース

NHKスペシャル「命をめぐる対話~暗闇の世界で生きられますか」

2010年3月21日に放送されたNHKスペシャル

http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20100321

 

 

 

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