腸内フローラがすごい!~お花畑を腸に作る、若さの秘密はここにあった!~
2016/11/17
「最近、お肌の調子が悪い」「体重が落ちにくくなった」「健康診断の検査結果が悪い」なんて人は、「腸内フローラ」に注目してみましょう。
最近、マスコミにもよく採り上げられ、2015年2月には、NHKスペシャルでも『腸内フローラ解明!驚異の細菌パワー』として放送したぐらいです。
「なんだ。また新手の美容法・健康法か」なんて思わないでください。
実は、早い話が「腸内にいる、役に立つ細菌をしっかりと育てましょう」「腸内環境を整えましょう」という話です。今まで何度も目にしてきたような話でしょう。
それをわざわざ「腸内フローラ」なんて言葉を使っているのは、最近の研究の結果、「腸内の様子」や、「腸内の細菌が持っている役割」がまた新たにわかってきたからです。
その役割には、「病原菌が引き起こす病気を防ぐ」「老化を遅らせる」といった、生死にも直接つながるぐらい大事なものもあります。
腸内フローラとは、腸内にある「お花畑」
「腸内フローラ」は、別名を「腸内細菌叢」や「腸内常在微生物叢」といいます。
「叢(そう)」とは「草むら」のことです。「フローラ(Flora)」ならば「植物群」です。やや意訳して「お花畑」なんて表現する人もいます。
「腸内細菌」といえば、「善玉菌と悪玉菌があって、善玉菌が減ると、便秘になる。太りやすくなる」なんていう話はよく聞くと思います。
これも間違いではありません。
ですが、そんなイメージよりも種類も量もよりたくさんの菌が腸内に住み着いています。
300~400種類、100兆個です。人間1人の腸内にいるこれらの細菌は全部で1キロ以上にもなります。
体内の腸の長さは約10メートルあって、表面積の合計はテニスコート1面分になります。そこに種類ごとに菌が集落を作って繁殖しています。
この集落を作っている菌の中で人間の体に役立つものを「善玉菌」、その逆を「悪玉菌」と呼んでいます。
この種類ごと・集落ごとに色がとりどりなので、その様子から、「フローラ(お花畑)」という呼び方をされるわけです。
腸内フローラの役割
今わかっている腸内フローラの役割は次の5つです。
①体内に入ってきた病原体を排除する
②腸粘膜細胞と協力して免疫力を生み出す。
③炭水化物、たんぱく質、脂肪などを分解する手助けをする
④B2、B6、B12、葉酸といったビタミン類を作る
⑤ドーパミン、セロトニンなどの成分を合成する
①と②は当然、「病気のもとを取り除く」「病原菌やウイルスに負けない体を作る」ということです。
③は「食べたものを栄養として吸収できるようにする」ということです。
この「分解」は「消化酵素」の役割です。腸内フローラはこの消化酵素を作り出したり、その働きを活発化させたりと、消化にはなくてはならない存在なのです。
④ビタミン類といえば、「食事からとる」と考えている人も多いでしょう。ですが、種類にもよりますが、私たち自身が体内で作り出している分も多いのです。
腸内フローラはこれにもかかわっています。
⑤ドーパミンやセロトニンは「神経伝達物質」です。神経細胞がこれらの物質をやり取りすることで、体内で情報(シグナル)が伝えられていきます。
もし、不足してしまうと、集中力・意欲が低下します。
腸内フローラがダメージを受けることで起こる体の不調としては、具体的には……
アトピー、ぜんそく、花粉症などのアレルギー性疾患
うつ病、認知症、自閉症などの精神疾患
肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、がん
……などなど無数にあります。
更には、「体内時計を維持するための物質も腸内フローラが作り出している」と考えている専門家もいます。
この話が本当ならば、腸内フローラがおかしくなると、日常の生活のリズムも崩れることになります。
こちらの方からも、肥満、高血圧などの原因を作ってしまうことになります。
減りつつある日本人の腸内フローラ
こうやって見ていくと、私たちが快適に生きていくには、腸内の「お花畑」をしっかりと栄えさせなければならないことが分かります。
ところが、年々、日本人の腸内細菌の数が減り、腸内フローラも貧弱なものになっていることが分かっています。
原因といわれているのが……
①食事の野菜不足 ②食品添加物 ③食生活の乱れ、ストレス
……などです。
①が関係するのは、腸内細菌がエサとしているのが、野菜類だからです。
日本人の野菜摂取量は戦前に比べ3分の1だそうです。となると、腸内細菌にしたら、たまったものじゃないですよね。
また、ただでもエサ不足になっている腸内細菌に②の保存料や着色料、化学調味料などの食品添加物がダメージを与えます。
また、③は「食事の時間が一定しない」「ドカ食いや無理なダイエット」などのことです。
腸内フローラを整えるにはどうする?
腸内フローラを整えるには、当然、今挙げた「①食事の野菜不足」「②食品添加物」「③食生活の乱れ、ストレス」を避けることが必要です。
また、よくいわれている「善玉菌を増やす食品」なども有効です。
具体的には……
①みそ、納豆、ヨーグルト、つけものなどの発酵食品
②野菜、豆類など、オリゴ糖、食物繊維などを含んだもの
……です。
すこし心がけを変えるだけで、実行は可能でしょう。
また、腸内フローラの状況の簡単な検査方法としては、「大便の観察」があります。
「色は黄色か黄色っぽい褐色。臭くない。適度な柔らかさがあり、形も整っている」ならばOKです。
参考 ⇒ うんち移植のメリットとは? なんと1700年前からあった、抗生物質不要の治療法!!
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