MERSの脅威と日本の水際阻止、韓国で流行した原因とは?
2015/06/21
中東呼吸器症候群MERSの変遷
MERS(Middle East Respiratory Syndrome)とは、中東でヒトコブラクダ、またはヤマコウモリからヒトへの感染が確認された中東呼吸器症候群のことで、ウィルスは2012年にイギリスで発見されています。治療法がないため、感染者数1,179人中死亡者が442人(死亡率38%)という統計結果になっています。
2012年にウィルスが発見されて以来、3年経過した現在でもワクチンが製造できないという事実があります。ちなみに、SARSが流行した時は1年で抗体を作成、制圧宣言が出されました。
MERSは、重症急性呼吸器症候群の原因となったSARSコロナウィルスのβ型で、MERSコロナウィルス発見当時はヒトからヒトへの感染は起こらないといわれていましたが、2015年には韓国で感染者が見つかり、ヒトからヒトへ接触感染を起こすことが確認されています。
韓国の平沢聖母病院ではエアロゾル(唾液の微粒子)が空気中を浮遊して出入り口のドアから病院内に撒き散らされた可能性があり、接触感染しか起こさなかったMERSコロナウィルスの空気感染が否定できなくなりました。
2015年6月に京都府立大の研究グループが予防薬を大量生産、既に韓国に配布済みとのことですが、ワクチンとは異なり、ウィルスに散布してマスキングすることで感染力を失わせるというもの。これを患者が接触した部分にスプレーを吹きかけるという方法であるため、感染者の症状を軽減させるような性質のものではなく、死亡率低下の期待ができるものではありません。
中東では1人あたりの二次感染者数は0.6人ですが、韓国では14人目の感染者が一人で80人を感染させるという事態に加えて、スーパースプレッダー(遺伝子変異により、強い伝染力を持った菌)が3か所で出現して4次感染まで起こしています。これにより更なる感染拡大が予想されています。
韓国国民の危機管理の甘さが露呈
韓国人感染者の場合は、中東から持ち帰ったMERSコロナウィルスに、見舞客などを含む身内に接触感染や飛沫感染を起こしています。6月当初に病院での感染者は「隔離措置」が取られましたが、隔離患者の9割は自宅で普通に過ごすという状態で、発熱するまで外を出歩く者が多かったようです。
韓国の隔離対象家族は航空機とバスを乗り継いで移動したため、香港、中国へも感染が拡大。香港の検疫所でMERSではないか?との質問に嘘をついて入国したとのことです。他の自宅隔離を指示された患者も、嘘をついて外出した結果、感染者を増やすという悪循環のようです。最初の患者に強制隔離を行っていれば感染は防げたはずです。
結果的に二次感染・三次感染の患者がウィルスをばらまいた形になり、集落全体の封鎖が行われる始末です。感染に対する危機感を持たない国民性が影響したのか、感染防止が容易なウィルスであっても感染が拡大されています。自分だけ拘束されるのは不公平だと言いたいのかもしれませんが、あまり協調性のない国民性のようで、隔離措置の患者が来日したというニュースもあります。
6月11日 MERS感染拡大が朴槿恵(パク・クネ)の支持率に影響を受けたため、朴槿恵大統領は「慰安婦問題が進展を見せて、終結を迎えようとしている」という事実無根の発言を行う。「今後慰安婦問題に触れない」とした国家間の決定を無視して、再び慰安婦問題が登場。
「治療薬が開発された」ではなくて、慰安婦問題ですか?義援金を送りかけた日本人がいるとしても、これで考えを改めて無視されます。
6月12日までに自宅隔離の効果がないと見たのか、自宅隔離に次いで一部を病院での強制隔離へと変更したようです。ウィルスの採取方法にミスがあったため、感染者を陰性と判断して退院させるという結果。肺炎のような症状が出たため別の病院で検査を受けると陽性が確定されたとのことです。(ウィルス採取を行う部位としては下気道が確実です)
Infections: 感染者数(左数字) Quarantined:隔離患者数(右数字)
6月初旬には1,300人だった隔離患者が、6月17日には6,500人を超えています。 「自制心を持たず、ランダムな動きをするからこういう結果になります」という見本のようなものです。
韓国人の国民性
感染拡大の温床となったサムスンソウル病院では、「国が感染拡大を許した」と発言しながら「不適切な発言だった」と謝罪したとのこと。病院が感染を防げないということ自体、何らかの自責の念はあって然るべきかと思います。
また、サムソンソウル病院で感染して他の病院に隔離中の患者も多いですが、その病院名は公表しないという朴槿恵政権への批判も出ているようです。公表すれば感染を恐れて、他の患者がその病院を避けるからという配慮でしょうか。
6月17日現在、韓国では自宅隔離者が6,500人を超えています。隔離生活を送っているかどうか担当公務員が1日に何度か確認する程度で、サポートも何も行われていないという現状です。治療法が見つかっていないだけに隔離の意味を理解できないのかどうか想像の域を出ませんが、「自分だけ隔離されるのは不公平だ」と論理の飛躍を見せる保菌者もいます。
日本での感染者の扱いとは?
感染者は発熱するため、日本の税関では熱感知器を使って、発病者と思われる者を全て検査する体制を取っています。2類伝染病に指定されているため入院勧告ではあるものの、実質的には隔離措置が取られています。そして医療費は公費負担となっているため隔離患者の医療費負担はゼロというシステムです。SARSと同様で、自宅に帰ることはできません。
6月19日 韓国で自宅隔離対象患者6人が日本に入国したことが判明。隔離措置解除を行うのは日本ではなく韓国ですが、日本側が確認した結果隔離期間が過ぎているとのことです。とはいえ、何日間隔離すれば感染しないという保障はどこにもありません。残りの2名は健康状態を監視している状態だということです。しかし、韓国が出国を許可した理由は不明のままです。
ウィルス感染防止に欠かせないN95マスク
ウィルス感染対策としてN95マスクを使うというのは日本では常識になっていますが、韓国では上下左右に隙間の多いマスクを使って感染対策のつもりなのかわかりませんが、もう少し常識的な予防を行ってほしいものです。N95マスクと言えばドラッグストアでも購入することができます。
最初の感染者が医療用のマスクさえしていれば、二次感染者数ゼロで防げたはずの今回のMERS隔離患者ですが、結果的に隔離患者は6,500人を超えて、1か月経過した現時点でも増加する一方です。
対処法について:通常は感染しても発症しませんが、肺や気管支の基礎疾患がある場合は感染を起こしやすくなります。免疫力が低下している場合やステロイドを長期間使っている場合は、ウィルスや細菌に簡単に感染して発症します。特に自己免疫性疾患の場合は免疫抑制剤を使っているので発症すると治癒までに長引きます。
現在の治療法としては対症療法なので、気管支などに基礎疾患があると致命的な事態にもなりかねません。出来る限りマスクで予防して、アルコール消毒も欠かせません。
ところで、今回のパンデミック(世界的大流行)扱いは何ですか?
今回の騒動はただの人災であって、患者と病院の対応に話題性があったという事かもしれません。「犠牲者が20人を超える勢いで増えています!」とか、「いまだに治療薬が開発されず」といっても、誰も危機感はもっていないと思います。
日本人としては「来られたらイヤだな」という程度で、自分が感染するかもしれないと心配する人はほんの一部でしょう。 ・・・マスクすればいいんだから。
隔離指定の家族ものんきに旅行しているくらいです。韓国では「マーズ安心保険」というもので観光客誘致を図っています。旅行費用と治療費を国が負担するようです。治療法がないというのが現状なのに何を負担するのかわかりません。やはり妙な国民性です。
島国ニッポンで平穏無事に暮らしているほど、こういう所に話題性を求めるのかもしれません。
ただ、スーパースプレッダーだけは気になります。これが強力な感染力を持っていればちょっとしたアウトブレイク(突然変異による大規模感染)と呼ばれるものになってパンデミック扱いされます。
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