アルビノ(先天性白皮症)の扱いの移り変わりと、尋常性白斑の大きな違い
2015/10/16
全くメラニン色素を生成できない、アルビノと呼ばれる少女たち
アルビノ(先天性白皮症)とは先天的にメラニン色素を産生する遺伝子の欠損が原因で、皮膚・体毛・虹彩など全てが真っ白のまま成長していくというもの。神秘的と言われる美しさを持ったアルビノは「神聖な力を持った者」と崇められる時代もありましたが、時の経過ととともにその扱いに変化が見られるようになります。
メラニン色素が欠落した動物は、シロウサギやシロヘビ、白いライオンなど多く見かけますが、全くメラニン色素のない人間は珍しく、美しい女性は持てはやされるようになり、モデルになったりハリウッドに進出する者までいて、活躍しているという話もあります。
(最も美しいアルビノと言われ、エルフの女王とも呼ばれているナスチャ・クマロヴァ)
常染色体劣性遺伝と眼の障害の多さ
常染色体劣性遺伝によるものなので、両親が原因となる遺伝子を片方持っている場合、両親から両方を受け継いだ場合にアルビノになります。全て先天性の病気であって、生後にメラニン色素が増えるという事はありません。メラニン色素が無いと紫外線から防御できないので、皮膚がんになりやすいという欠点もあります。
彼女らは晴れの日の日中はほとんど外出しないといわれ、虹彩にも色素がないため、紫外線を受けて白内障になりやすいというハンデも背負っています。青い目というだけでも白内障に罹りやすいので、虹彩の白さは致命的かもしれません。
視覚に現れる障害は光の屈折異常による乱視・近視・遠視などがあり、コンタクトレンズでの矯正が必要になるだけでなく、脈絡膜の色素がないため眼球内で光が散乱するので視野が暗く見えます。また、ほとんどの人に眼振があり眼球が左右に揺れ動くため、文字は水平方向に読むことしかできないという不便もあります。
この症状は体質ではなく明らかに病気なのですが、治療法がないため厚労省では保険適応扱いではないという現実もあります。
タンザニアで多く生まれるアルビノの問題点
アルビノのルーツとも言われるタンザニアでは、人口3,500万人の内アルビノが15万人。約250人に1人の確率で出生しています。他国の確率の約100倍という高確率です。タンザニアではアルビノを神聖な存在と考えながら、手足を切り取って薬を作るということを行っています。年収30万円が平均的なので、四肢の一本を900万円で売る事に躊躇しない親もいるようです。
タンザニア国内だけでなく、隣国からもアルビノ狩りに乗り出して国際問題に発展しています。
エイズ患者であれば、アルビノとセックスをすることで治療になるという迷信を思い込んでいるようで、レイプも減らないという現状です。治安がどうなっているのか不明ですが、ほとんどがエイズをうつされたまま泣き寝入りするしかないという状態です。
タンザニアで皮膚が白いと目立つようで、白い黒人を食べると幸せになるというものを含め、数多くの不合理な迷信が広まっているので、アルビノの被害は後を絶たないという状態です。政府がアルビノのための隔離施設を作って保護のための対策を行ったりしていますが、15万人に及ぶ人数をタンザニア政府が保護できるわけもありません。
ロシアではモデル扱いで写真集まで発行されていますが、タンザニアでは切断した体を粉末にして「幸せになる薬」として重宝されています。
アルビノに似ているようで大きく違う尋常性白斑
尋常性白斑とは自己免疫疾患であり、メラノサイトという色素細胞を自ら攻撃して一部のメラニン色素が作られなくなります。黒人の黒い肌の中に次第に白のペンキで塗ったような白い肌の部分が増えてくるという見た目に不自然さを感じる肌の色で、「牛のようにまだらな肌」と言われています。
通常は早期にステロイドや、皮膚がんにならない範囲で紫外線照射療法を行います。最終的には皮膚移植になりますが、治療を受けないで放っておくと合併症が起こりやすく、自己免疫性甲状腺機能低下症、シェーグレン症候群、膠原病、糖尿病などの難病まで併発することになります。
白と黒のまだらは目立つのですが、本人は慣れてしまったのかどうか、あまり気にしていない様子。日本の皮膚科では白い肌に色は付きませんが、黒い部分のメラノサイトを除去して真っ白にすることは可能だそうです。
まだらのまま元気そうにモデルとしてデビューを果たせたようで、「私は白と黒の両方を持ち合わせている」と満足している様子。アルビノになれるのに、このままのオリジナリティーあふれる自然な姿でいることに決めたようです。慣れとは怖いものです・・・
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