クラッシュ症候群(挫滅症候群)の正しい処置とダイレクト・リプログラミング
大災害でがれきの山と化した時。
そのがれきの下に埋もれてしまった人には、助けたくても簡単に助けてはいけないジレンマがあります。
ドラマ、Dr.HOUSE シーズン6第21話 (がれきの下) でもリアルに救助する側の苦悩と、助けられる側の心理がリアルに描かれています。
震災でがれきに埋もれた人を72時間後に救助!
大地震で家屋やマンションなどが崩壊した際に、がれきの下で足や手が圧迫されて動けない!助けを呼んでも気付いてもらえない!ということはよくあるものです。
やがて、救助隊の懸命な捜索や救助犬のおかげで発見されると、「72時間ぶりに生存者発見!」などと、その様子を中継する放送局もあります。そして大勢の人が一斉にがれきを除去して無事救助に成功します。
こういうニュースはよく見かけますが、その後の話を聞く人は少ないかもしれません。
腕や足を長時間圧迫されていた場合、その圧迫を取り除いた時に壊死した筋肉からミオグロビンやカリウムが全身に流れ出して、急性腎不全や心室細動を起こして死亡します。救助隊が頑張って救助したにも関わらず、数時間後に奇跡の救出者死亡のニュースが流れます。
助けたいのに、がれきから出すことができない!?
ミオグロビンとは筋肉中で酸素を受け取るタンパクですが、筋肉が壊死すると血液中に流れ出していきます。
圧迫されて壊死した筋肉は治りませんが、血流は改善します(再灌流)。圧迫がなくなった瞬間に腎臓にミオグロビンというタンパクが詰まり一気に腎不全を起こします。
また腎不全だけでなく、循環不全によって全ての臓器が影響を受けて、多臓器不全という状態になります。この場合は救急搬送されてすぐに血液透析を行うと助かります。どれだけ早く透析を始められるか?というのが生死を分けることになります。
阪神淡路大震災の時には、高度救命救急センターに23人が搬送されたが、15人が腎不全による無尿であり、血液透析と人工呼吸を持続した結果、死亡は免れることが出来たと言われています。
運動神経の麻痺が残ったものの、1年の経過を経て完全に回復するケースもあります。
致死的な高カリウム血症では、カリウム濃度次第で即死
筋挫滅(筋肉の圧迫)によってカリウムも血管内に溜まります。そして圧迫がなくなり血行が改善されると、心臓に届いて心室細動を起こします。「心室細動」とは致命的で最も危険な不整脈のことです。
一般的な心臓発作の時にAEDを使用しますが、最初に心臓の状態を自動的に検査します。あれは心室細動の有無を確認しています。
心室細動がある場合は自動的にチャージされて、心臓に電気刺激を与えるためのものです。この心臓発作の場合は心臓の電気信号の異常によるもので、カリウムは関係していません。
救出後間もなく安楽死状態になるという、「ぬか喜び?」
安楽死の時には塩化カリウムの静注が行われますが、何の苦痛もなく数秒で即死します。圧迫されていた筋肉から大量のカリウムが全身の血管に戻されるので、安楽死と同じ状態になります。
助け出されて周りが喜んだのもつかの間、救急車の中で死亡が確認されるというケースが多くなっています。
これは挫滅症候群やクラッシュシ症候群と呼ばれて、阪神淡路大震災では救助されて400人がクラッシュ症候群を発病しましたが、その後50人が死亡しています。四肢の圧迫は2時間を境に生死を分けるとも言われています。
阪神淡路大震災がクラッシュ症候群の前例になる
阪神淡路大震災の時の間違った救助方法が教訓になり、2時間以上にわたってがれきの下敷きになり動けないクラッシュ症候群の場合は、がれきを除去するだけでは助からないということが常識になっています。
壊死した手足の筋肉が全身に悪影響を及ぼすため、がれきを除去する前に予防的な治療が必要になります。
「がれきの中の医療」という考え方が医師の間にも広がり、消防・救急隊員・医師・看護師の連携が図れるようにDMAT(災害医療派遣チーム)が設立されています。
圧迫した部分の心臓側を縛って血流を止めることは最低限必要ですが、壊死した筋肉を残すと生命に危険を及ぼします。がれきの除去に時間がかかる場合は、筋肉の壊死に比例して危険性は高まります。
そこで手足の切断という手段が取られますが、切断面の処置を完全に行わないと血管内に血栓を作ることがあります。血栓溶解剤(モンテプラーゼ)によって血栓を溶かす事は可能です。しかし、脂肪塞栓が出来るとステロイドの全身投与しか助ける手段が無くなります。
もう一つの手段、ダイレクト・リプログラミング
実はもう一つ助ける手段があります。足が圧迫されて引き出せない場合は切断してしまう。そして、切断面にダイレクト・リプログラミング処理を行うと、分化細胞に誘導が可能になり元の足の形に次第に復元されていくという再生医療があります。
血管・皮膚・靭帯・骨など全てが元の形に戻ります。ただ、再生速度が遅いのでしばらくの間は動くことが出来ないのが難点です。
これが本来の再生医療ですが、確立までにもう少し時間がかかるかもしれません。いずれトカゲのしっぽのような再生医療が行われるのは間違いありません。
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