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トラウマになるほどイヤな経験をしても、「全ての記憶が頭から離れない」という超常記憶総合症の不思議

      2015/10/19

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過去に起きた全ての事を記憶する超常記憶総合症という症状

超常記憶総合症では、数十年間の出来事や味覚、視覚、聴覚、嗅覚で感じたもの全てを記憶しているという特殊な頭脳を持っています。ヒトは歳を取ると記憶力が低下していくので、ある意味ちょっと羨ましいと思うかもしれません。

しかし、高齢になっても想起力が高まると記憶に残っていなかったはずの、過去の全ての記憶を引き出すことができる可能性が出てきました。

通常はREM睡眠で必要な記憶は固定されて、不要な記憶は思い出せなくなるというのが一般的ですが、超常記憶総合症では、30年前のあの日、誰と会い、何を食べて、何をして、帰宅したのが何時で、料理の匂いや会話の内容まで全て覚えているといいます。

五感で感じた事の全てが記憶の中に擦り込まれているので、記憶がひしめき合って何かをきっかけに関連した記憶がどっと出てきます。それが原因となって眠る事が出来ない時もあるようです。忘れたくても忘れることができないという意味では、「過去に経験したイヤな経験が忘れられない」という苦痛を感じています。

想起力が優れていると、記憶力がいいと勘違い

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健常者との違いは、記憶力ではなく想起力(思い出す能力)の違いで、必要なものだけを思い出す能力が優れているというのが心理学者の見解です。

健常者であれば潜在意識に留まっている記憶が、超常記憶者では顕在記憶(表に現れる記憶)になっているのが異常な点との指摘もあり、正確には忘れないのではなく、想起力の異常とも言えそうです。要するに必要ではないことを常に思い出している状態で、記憶として引き出さない能力に劣っているともいえます。

そして、苦痛に感じることは、いい思い出よりも失敗したことや侮辱、恥ずかしい思いをしたことが思い出されるようです。人によってはイヤな思い出ばかりが記憶にはっきりとした形で残り、毎日毎日、人生の全てが思い出されて頭の中がパニックになるという人もいます。

人が見る夢の70%は悪夢というのが定説なので、悪夢を見て追体験をすることで記憶の底に消えていくのが普通です。漠然とした不安でも「夢を見ることで忘れる」という人間の適応能力の一つです。

パニック障害の原因になった記憶を消してしまおう!

 

PTSDやパニック障害の原因となった出来事を忘れてしまえば発作に苦しむこともない、ということで発見されたプロプラノロールという薬(β遮断薬)があります。特定の記憶に対して効果があり、過去のイヤな記憶から生じる恐怖感を無くすために有効とされています。

12歳の時に強姦された少女は結婚しても夫の前で着替える事ができなかったといいます。プロプラノロールを服用したところ、恐怖感が消えて隠れて着替える必要もなくなったとのこと。

恐ろしい記憶は思い出すたびに記憶が変化することがあると言われています。また、いい思い出よりも辛い思い出の方が簡単に想起される傾向は誰にでもあります。

想起力の低下で記憶による生理的反応を消して楽な生き方を!

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プロプラノロールによって想起力を低下させることができれば、不要な記憶が顕在化することもなく、イヤな記憶は思い出さなくて済むということになり、ポジティブな考え方に変わり楽な生き方ができそうです。

そのため、超常記憶総合症の患者にも効果があると言われています。現在研究途中ですが、服用前は恐怖に感じていた物や体験などがあったものの、薬の服用後は恐怖を誘発する物に対する生理的反応が消える事も実証されています。長期記憶と短期記憶に与える影響や有用性がどの程度なのか不明という臨床段階ですが、使ってみたいという人は高血圧や緑内障の薬として個人輸入は可能になっています。

トラウマになるような記憶を思い出させた時にプロプラノロールを服用させると、生理的反応が軽くなったという研究結果も出ています。1錠10円程度の薬で特定の記憶だけに作用させるのは難しいかもしれませんが、今後の新薬開発に期待できそうです。

超常記憶総合症ほど極端ではなくても、「イヤな記憶ばかり思い出してしまう。」「このままではうつ病になるかもしれない。」という人は試してみる価値がありそうです。現段階では個人輸入なので自己責任になります。

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