命の境界線で闘う医師たち~広島大学病院高度救命救急センター72時間
2015/07/17
大手大学病院では、緊急の患者さんが次々と運び込まれてきます。命のぎりぎりの境目でなんとか命をこちら側へ引き戻そうと頑張っている、現場の最前線の動画です。
こうして人の命を守ることを第一に考えてくれる人がいることが、とてもありがたいことだし、心に響きます。
テロップ:命と向き合う医療現場
高度救命救急センター72時間
24時間365日
N(ナレーター):24時間365日。
一刻を争う患者を受け入れる、広島大学病院高度救命救急センター。
テロップ:広島大学病院高度救命救急センター
N:命と向き合う医師。
テロップ:命と向き合う医師
N:そして医療スタッフ。
テロップ:医療スタッフ
医療スタッフ:死んでほしくない。
テロップ:死んでほしくない
N:そして、救われた命。
テロップ:救われた命
患者:うれしいですね。
テロップ:うれしいですね
患者:涙がでる。
テロップ:涙がでる
医師:ほっとしましたね。今日は。
テロップ:ほっとしましたね 今日は
N:そして、今日もまた。
テロップ:高度救命救急センター72時間
命と向き合う医療現場に密着
N:高度救命救急センター、年末年始の72時間に密着。
命と向き合う医療現場を追った。
テロップ:小嶋沙耶香 渡辺徹
渡辺:多くの人々が年末年始をゆっくり過ごす中にあっても、
テロップ:命と向き合う医療現場
高度救命救急センター72時間
渡辺:高度救命救急センターは眠ることはありません。
小嶋:救急医療にかける、スタッフたちの72時間に密着しました。
テロップ:2013年12月31日 大晦日
N:2013年大晦日。町には人があふれにぎわいを見せていた。
テロップ:広島大学病院
高度救命救急センター
N:広島大学病院、高度救命救急センターでは、医療スタッフが命に関わる患者の治療をしている。
テロップ:広島大学病院 救急科 小林靖孟医師
小林:今日落ち着き払っていますね。全体的には。
テロップ:今日はゼロでいければ広島は
平和だったということなんですけど
小林:今日はゼロでいければ、広島は平和だったということなんですけれど。
テロップ:救急患者数:約900人以上 (2013年3月現在)
N:ここに運び込まれる患者数は、年間およそ900人以上。
心停止、重傷、呼吸不全、重傷外傷など、緊急の重症患者がほとんどだ。
テロップ:搬送されるのは緊急の重症患者
テロップ:広島大学病院
高度救命救急センター
岩崎泰昌講師
岩崎:高度救命救急センターは、チーム医療を基本としています。
救急科の医者だけでなく、様々な職種の人が、患者さんを中心として、患者さんの治療にあたっていると。
それによって、患者さんの命が救われていく。
テロップ:高度救命救急センター・集中治療病棟は
チーム医療で患者の命を支えている
N:集中治療病棟にはおよそ20人の医師や100人の看護師、さらに薬剤師、臨床工学士、医学療法士ほか。
様々な専門スタッフが連携し、患者の命を支えている。
その中の1人、小林医師。
女性医師:スープでもなんかドロッとした感じの。
小林:まあ美味しくお水ぐらいでも。
女性医師:ぐらいのものにしても、経口摂取できるならそっちのほうがありがたいし。
小林:確かに。まあイカは入ってるけど、美味しくお水だけ出してもらいましょうか。
女性医師:ひとまず。
小林:栄養に言って。
テロップ:広島大学病院 救急科
小林 靖孟医師
N:広島大学病院、救急科に入り2年、経験豊富とは言えないが、
日々、1秒1秒、真剣に患者の命と向き合っている。
小林:自分はこの専門だからこれしかしませんっていうんじゃなくって、
全部やるぞっていうので、総合的な診療っていうところに憧れてやってきました。
テロップ:お腹も大丈夫だね
医師:お腹も大丈夫だね。
テロップ:大丈夫ですね 痛がってはいないんです
小林:大丈夫ですね。痛がってはいないんです。
テロップ:本当は動けないですからね
小林:本当は動けないですからね。
N:医師の勤務は2交代制。
テロップ:小林医師の勤務は夜7時までの日勤
小林医師の勤務は、夜7時までの日勤だ。
テロップ:少量でも(薬)入れたほうがいいかもしれないね
医師:少量でも入れたほうがいいかもしれないね。
小林:のほうが安全かとは思うんですけれど。
N:勤務時間を過ぎても、小林医師は患者の傍らに。
どんな思いで治療にあたっているのだろうか。
テロップ:広島大学病院 救急科
小林 靖孟医師
小林:結局患者さん1人苦しむことじゃなくって、みんなが苦しむことなので、
そのあたりを、その患者さんのまわりを含めて、いろんなところを救って行ければなとは思います。
N:結局、小林医師が帰宅したのは10時過ぎだった。
女性スタッフ:良いお年を。
テロップ:良いお年を
男性スタッフ:良いお年を。お疲れさまでした。
テロップ:お疲れさまでした。
N:そして、今年最後の夜を静かに終えようとした時。
テロップ:広島大学病院
高度救命救急センター
岩崎泰昌講師
もともと血液の病気の方で
岩崎:もともと血液の病気の方で、
テロップ:また悪くなったということで診てきます
岩崎:また悪くなったということでちょっと診てきますね。
テロップ:別の病棟からの容体が急変し搬送された患者
N:容体が急変し、別の病棟から搬送された患者。
医師:ちょっとね、もういっぺんチューブ入れてね、人工呼吸しにゃちょっとしんどいからね。
N:余談を許さない状況の中、
テロップ:救急搬送依頼の連絡が入った
N:さらに岩崎医師に救急搬送依頼の連絡が入る。
テロップ:12月31日 夜11時
N:新年まで、およそ1時間だった。
テロップ:背中にやけどを負った80代の女性
N:搬送されたのは、背中にやけどを負った80代の女性。
医師:6,7%。3%ぐらいが3度で、3%ぐらいが2度かもしれんね。
N:治療の結果、容体は安定。後日手術をすることに。
テロップ:せっかくね お正月だったのに
女性スタッフ:せっかくね、お正月だったのに。
テロップ:帰っても1人だから
患者:帰っても1人だから。
テロップ:治療中 新しい年に変わっていた
N:いつの間にか、新しい年に変わっていた。
男性医師A:出前的な。
男性医師B:出前してないよ。この時期。
N:医師たちは、インスタントのそばで年越しをした。
テロップ:広島大学病院 救急科
太田 浩平医師
太田:でもちょっと落ち着いて良かったですね。
この調子だったらxx(5:51)かもしれない。
男性医師C:まあやけどの人も、xx(5:57)ったし。
N:しかし、平和なひとときは、長く続かなかった。
テロップ:1月1日 朝5時
医師:わかる?声聞こえますか?
テロップ:ベッドから落ちた男性が搬送され緊急オペ
N:明け方5時。ベッドから落ちた男性が搬送され緊急オペに。
テロップ:呼吸不全で意識不明の50代の男性が搬送された
N:そして、呼吸不全で意識不明の50代男性が、続けざまに運び込まれてきた。
テロップ:2014年1月1日 元旦
N:2014年元旦。御来光を拝む人々や、初詣客が、今年の幸せを願って手を合わせる中、
テロップ:広島大学病院高度救命救急センター
集中治療病棟
N:広島大学病院、高度救命救急センター集中治療病棟では、明け方に搬送された2人の治療が行われ、
患者は一命を取りとめた。
西田:ちょっとごめんなさいね。気持ち悪いですよ。
N:食べ物を喉に詰まらせ搬送された、60代男性の診療を行っているのは、
救急科に入り4年になる西田医師。
テロップ:広島大学病院 救急科
西田 翼医師
西田:まあ一番はやっぱりでも患者さんを目の前で死なせたくないっていうところが、
もともとの動機ですかね。
N:集中治療病棟の1日は、回診で始まり、続いて入院患者の今後の治療方針を決める会議。
そして、院内の各診療科の医師と共に連携し、診療を行っていく。
西田:もうちょっと目が覚めてくると思うんだけどな。
N:元日の朝には救急の患者が集中したが、その後は穏やかな1日が過ぎていく。
テロップ:広島大学病院 救急科
西田 翼医師
西田:時間が空いてるときでも、まあ他の病院は忙しかったりするわけで、
まあ僕はホッとはしますけど、どうしても人間なんで「ああ、今日何もなかったな」って思うんですけど。
まあ常に他の先生方とかにも感謝をしながらやってます。
テロップ:1月1日 夜6時
N:西田医師が勤務を終えようとしたその時。
他の病棟から緊急の患者が搬送されてきた。
テロップ:致死性不整脈の80代の女性
N:致死性不整脈の80代の女性。かなり危険な状態だという。
心肺停止。
テロップ:心肺停止
N:懸命に蘇生が行われる。
医師:ふれない。
テロップ:(脈が)ふれない
N:手を尽くしたが、患者は息を引き取った。
その1時間後。
テロップ:1月1日 夜7時
医師:わかりました。15分ぐらいで。はい。じゃあ来てください。
テロップ:建物から転落した70代の女性が搬送
N:今度は建物から転落した70代の女性が搬送された。
この患者も懸命な治療を行ったが、
テロップ:残念ながら命を救えなかった
N:残念ながら命を救えなかった。
テロップ:広島大学病院 救急科
西田 翼医師
西田:そうですね。救いたかったですね。
テロップ:救いたかったですね
西田:まあ、こういうことの繰り返しです。
テロップ:こういうことの繰り返しです
西田:すいません
テロップ:すいません
N:ギリギリの状態で命と向き合う医師ならではの苦悩。
それだけに、救えた患者からの感謝の言葉は何よりの励みだ。
テロップ:こちらの先生とか看護師さんに一生懸命診て頂いて
患者:こちらの先生とか、看護師さんの方に一生懸命診て頂いて、
テロップ:2・3日前から目が覚めてきて
患者1:2・3日前から目が覚めてきて、
テロップ:今日の夕食からご飯も食べられるということで
とても喜んでおります
患者1:で、今日の今、夕食からご飯も食べられるということで、とても喜んでおります。
テロップ:子どもらに聞くと
患者2:子供らに聞くと
テロップ:母さんは大変だった最初頃は
患者2:母さんは大変だった、最初頃は。
テロップ:ずっと泣いてばっかりだって
患者2:ずっと泣いてばっかりだって。
テロップ:足に大きな火傷をおい
今まで皮膚移植を2回
N:足に大きな火傷をおい、今まで皮膚移植を2回した男性。
テロップ:途中感染症も引き起こしたが持ちなおした
N:途中、感染症も引き起こしたが持ち直した。
テロップ:うれしいですね
患者2:うれしいですね。
テロップ:話しても涙が出る
患者2:話しても涙が出る。
テロップ:2014年1月2日
医師:手握ってみてグーしてみてください。そうそう。パー。はい。反対。グー。
N:翌2日は、40代の薬物中毒の女性。
80代の意識障害の男性。自宅2階から落下した60代の男性が運び込まれたが、
いずれも命に別条はなかった。
テロップ:命に別条はなかった
テロップ:夜7時 西田医師出勤
N:そして夜7時、夜勤の西田医師が出勤してきた。
この日の夜は、救急の患者もなく、西田医師は、朝まで患者の容体を見て回った。
西田:ほっとしましたね、今日は。ただ寝たかというと、寝てないですけど。
N:日勤と交代すると、倒れこむように、医局のソファで眠る。
テロップ:1月3日 朝9時
N:年末年始も日常と変わらず動いた、広島大学病院高度救命救急センター。
西田:あの人死んでほしくないなって、
テロップ:あの人死んでほしくないなって
西田:思うからやってるっていうとこが、
テロップ:思うからやっているっていうことが
西田:僕の一番のバックボーンかなとは思いますけど。
テロップ:ぼくの一番のバックボーン(根本)かなと思いますけど
渡辺:心身ともにハードな仕事ですね。
目の前の命を救いたいという、とてもシンプルなその思いと、強い使命感で、
自身を支えているんだろうなという感じがしましたね。
小嶋:こういうことの繰り返しです、って言って去っていく先生の後姿から伝わってくるものがあって、
グッと胸に迫るものがありましたね。
渡辺:誰だってね穏やかに、あるいは楽しく過ごしたいって思うはずなんですけども、
それを上回る、何かこう熱い思いっていうのを持ってないとなかなかやっていけないお仕事でしょうね。
小嶋:そうですね。また1日の勤務の中でも、グッと集中力を高めていかなければいけない時間と、
またある意味気を緩めてもいい時間という、その差が非常に激しい現場でもありましたね。
渡辺:それがまたできないと務まらないかもしれないですしね。
私たちも健康なときってこうしてありがたさを忘れてしまいがちですけども、
知らず知らずのうちに安心感にはつながっていると思うし、誰がいつお世話になるかわからない。
まずできることは、こうした状況を知ること。
すると、自ずとコンビニ受信だったり、タクシー代わりに救急車を呼ぶっていうことはなくなってくんじゃないでしょうかね。
小嶋:はい。
参考 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=9zIpQ_0IpYc
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