ドクターヘリ~新生児を救え~を観て。小さな命を支えるたくさんの大きな手!
2015/07/17
参照元 ⇒ youtube
小さな命を守る、ドクターヘリの活躍をきちんと見たいと思い、2013年に放映された番組をチェックしました。
人の手で小さな新しい命を何とか助けようという、忘れてはいけない大切なことを思い出させてくれる動画です。
看護師:病院着きましたよ。はい。
N(ナレーター):救急医療の現場で何より大切なこと、それは初期治療の開始時間。
グラフ:初期治療の開始時間と死亡率(大量出血の場合)
N:大量出血を伴う場合、30分後の治療では死亡率が50%。
21分で14%と、数分が患者の生死を大きく左右します。
1分1秒でも早く治療を開始するために、
テロップ:空飛ぶ救命救急室
N:空飛ぶ救命救急室、ドクターヘリの導入が全国で進められています。
医師が直接患者の元へ出向くことで、迅速に治療を始めることができるのです。
救急医療に欠かせないドクターヘリを、さらに有効活用しようと、
これまでの常識を覆す取り組みも始まっています。
テロップ:新生児医療
N:産まれたての赤ちゃんを救う新生児医療です。
その現場を取材しました。
テロップ:鹿児島市。
N:鹿児島県鹿児島市。県の人口の三分の一が集中する、南九州の中核都市です。
県内各地から、多くの患者を受け入れる、鹿児島市立病院。
県の救急医療の要として、平成23年、ドクターヘリを導入しました。
ここでは新たな形でドクターヘリの運航が始まっています。
***電話の音***
施設員の男性:はい。ドクターヘリ保護管理施設です。
N:この日もドクターヘリの要請の一報が入りました。
施設員の男性:一応また中の操縦士とですね、飛行xx(02:18)も含めて確認します。
N:すぐに救命救急センターの医師が駆けつけます。
施設員の男性:お疲れです。
N:さらにもう一人、別の医師が現れます。
テロップ:新生児科医師 前出 喜信さん
N:前出喜信(まえでよしのぶ)さん。生まれたての赤ちゃんを診療する、新生児科の医師です。
この病院は早産などで生まれた新生児の治療に関して、全国にその名を知られています。
テロップ:新生児センター
N:院内には新生児センターを配置。鹿児島県内で生まれた、
治療が必要な新生児の80%以上をカバーしています。
ドクターヘリの要請に対して、
テロップ:科を超えた連携
N:救命救急センターと新生児科が、科の垣根を越えて連携しているのです。
男性A:そっちからxx(3:22)?今。コクブから新生児ですか?
男性B:はい。新生児。先生ちょっと見てきてもらってもいいですか?
先生:はい。
N:患者の容体や現場までかかる時間などの情報を共有。
5分と経たずに治療方針を決定します。
テロップ:(処置を行うのは)搬送元病院内で
先生:向こうで、搬送元病院内で。
図:霧島市—-40km—-鹿児島市
N:搬送依頼は霧島市の産婦人科からです。鹿児島市内からおよそ40km離れています。
出産直後の赤ちゃんが呼吸障害を起こしたというのです。
打ち合わせの間に新生児科の医師たちが、保育器を緊急車両に積み込みます。
出動要請からおよそ10分。病院を出発します。
図:鹿児島市立病院 ヘリポート
N:鹿児島市立病院は、院内にヘリポートがないため、外部のヘリポートを利用しています。
そこまでの移動を車で行うのです。
5分後、ヘリポートに到着。
ヘリコプターは保育器を載せられる最新型の機体です。
男性:はい、じゃあ下がってください。
N:前出さんたちを乗せてドクターヘリが飛び立ちます。
現在新生児科に勤めドクターヘリに乗り込む前出さん。
N:大学病院でそのキャリアをスタートさせたころの専門は産婦人科。
経験を積み、専門医となりました。
医師になって7年目。前出さんに離島の病院で働く機会が訪れます。
島の人々の診療を続ける中、あることに気がつきます。
もしも、この小さな病院で、生まれた赤ちゃんに何かあったら、自分が見るしかない。
新生児のことをもっと学びたいと、鹿児島市立病院の門を叩いた前出さん。
中でも高度な知識と技術が必要な、ドクターヘリの担当を希望しました。
前出:やりがいあると思います。まあそうやって現場に行って、初期治療するっていうのは、
本当に人命の救命の、もう1番の醍醐味の部分で、
テロップ:(現場に行ってこそ)助けられる命がある
前出:まあそれがあってこそ、やっぱりいろいろ助かる命もたくさんあるんだと思うんですけど。
N:前出さんたちが現場に急行している間、病院では受け入れ準備が進みます。
呼吸や体温が安定しない赤ちゃんを守るための、医療機器をセットアップしていきます。
そして、ヘリポートには別の車両が迎えに来ます。
新生児専用のドクターカー。
車内に新生児用の人工呼吸器などを備え、病院内と同じレベルの治療を施すことが可能です。
出動要請からおよそ40分。現場で応急措置を終えた赤ちゃんを、無事に連れ帰りました。
新生児のデリケートな体を守るため、ドクターカーには振動を吸収する防振台が備えられています。
病院まで、あと少し。
NICUに到着。すぐに精密検査が始まります。
前出:ここに少し気胸って言いますけど、ちょっと空気が漏れてとこがあると思います。
速く行って、診断をこのように、まあこのように診断つけて、
すぐ治療に結びつけるその、そこまでの時間っていうのはすごく短縮されてると思います。
自然に良くなると思います。
N:ドクターヘリを使った迅速な対応で小さな命を救うことができました。
新生児の搬送にドクターヘリを使いたい、
テロップ:新生児科部長 茨(いばら) 聡(さとし)さん
それを提案したのは新生児科の部長、茨聡(いばらさとし)さんです。
茨:鹿児島県は離島を抱えてますので、40年ぐらい前から自衛隊のヘリを使って、
僕たちはもう迎えに行ってたわけですね。
ですからそのヘリ搬送ということに全然抵抗はなかったです。
ただし、自衛隊のヘリっていうのは絶対島しか飛んでくれません。
僕たちは本土内を飛びたいと。やはり救急車で往復4時間かかることってざらにあるんですね。
図:薩摩半島北部 NICUを持つ病院 大隅半島
N:離島も多く、面積が広い鹿児島県。
しかし治療が必要な新生児を診ることができるNICUを持った病院はわずか3か所。
鹿児島市内に限られています。本土内でも、薩摩半島の北部。
大隅半島からは、搬送に往復4時間以上もかかっていたのです。
N:もっと早く初期治療に着手したい。
茨さんは通常救命救急センターだけで運営を行うドクターヘリを、新生児科でも使えないかと考えたのです。
救命救急科がメインに、あの、ドクターヘリを運用するわけですけども。
そのときに、まあ我々もお願いして、新生児と一緒に乗って、
その非常に難しい症例のときには、その病院に一緒に、救命救急科と行ってですね、
で、そこで処理をして、ヘリで連れて帰る。
N:救命救急センターと新生児科。垣根を超えた連携システムを考案。
病院内や県に自ら掛け合います。その努力が実り、新生児医療の設備を搭載できるドクターヘリが実現。
今では年間20件の新生児搬送を行っています。
テロップ:出水市
N:鹿児島市内から北西およそ70キロにある出水市。
この町にもドクターヘリによって救われた親子がいます。
テロップ:七社(しちしゃ) 美亜さん
N:七社美亜(しちしゃみあ)さん。出産予定日を前に、お腹に痛みを感じ、地元の産科に駆け込みました。
七社:まだ全然、9か月になったばっかりだったので、ちょっとこう病院に行って、
診てもらおうかなという感覚で行ったんですけど、もうそれが陣痛だったみたいで、
なんかもうどうしようとかいう気持ちよりも、
ああもう生まなきゃいけないんだっていうほうがたぶん気持ちが先に出て、
心配とかする暇がなかったですね。
N:近くの総合病院までは救急車で2時間。
今にも生まれそうな状況での搬送は難しいと断られてしまいます。
地元の産科医が最後の頼みと電話したのが、鹿児島市立病院でした。
すると、すぐに新生児科医と産科医が到着。緊急で帝王切開を行い、取り上げた赤ちゃんをヘリで搬送したのです。
七社:やっぱ出産って何があるかわかんないなっていう部分があるので、やっぱすごくありがたいなって思いましたね。
テロップ:それがなかったら生まれてなかったかもしれない
七社:もうそれがなかったら、もしかしたら生まれてなかったかもとか、
亡くなってたかもって思うと、やっぱり親としては、なんかかなりの、ありがたみを感じますね。
N:10日後、初めて赤ちゃんと顔を合わせた七社さん。
そのときに病院のスタッフからもらった写真と保育記録は、なによりの宝物です。
無事に退院していった親子の幸せ。新生児科に勤める医師たちにとって、なにより嬉しいことです。
茨:そりゃやりがいありますよ。助けた赤ちゃんたちが今でも会いに来てくれますからね。
就職したって言ってですね、初任給でボールペンを買ってきて、
ちゃんと茨聡て書いてある、持って来てくれてね。そういうのってなかなか経験できないことじゃないですか。
そういうものっていうのが今までいっぱいありますからね。
そういうモチベーションっていうのが待ってると思いますね。そういうことがね。
N:母と子の命を救いたい。
そんな思いで医療に携わる医師たちを乗せ、ドクターヘリは今日も飛んでいきます。
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