スティルトンで夢を見る?!世界3大チーズの楽しみ方
日本人にはちょっととっつきにくいけど、慣れるとやみつきになる……そういった食べ物のひとつがブルーチーズです。
いろいろな種類があります。中でも「世界3大ブルーチーズ」といわれるのが、ゴルゴンゾーラ、ロックフォール、そしてスティルトンです。
その3つの中でも、もっとも個性的なのがスティルトンです。イギリス女王・エリザベス2世の大好物として知られています。「毎日欠かさず食べている。昭和50(1975)年に日本に来た時、当時は国内では手に入らず、急きょイギリスから空輸した」といった話まで残っています。
目次
1.ブルーチーズとは
1-1.ブルーチーズの作り方
ブルーチーズの「ブルー」とは「青カビ」のことです。
カビを使ったチーズとして、カマンベールならば、もう親しんでいる人も多いでしょう。カマンベールの場合は白カビを使います。しかも、繁殖させるのは外側だけです。
これに対し、ブルーチーズは青カビを使い、中にまで繁殖させます。
白カビも青カビも空気がないと繁殖しません。カマンベールの白カビの場合は、外に付けるだけなのでそのままでいいですが、ブルーチーズの場合、わざわざ針で小さい穴を開けたり、不規則に乳成分が積み重なるようにして、すき間を作ります。それで中にまでびっしり繁殖し、あの独特の大理石のような模様ができるのです。
1-2.ブルーチーズの青カビについて
日本人がなかなかブルーチーズになじめない理由のひとつとして、この青カビのイメージの悪さがあるでしょう。どうしても、「カビなんだから、体に悪いのでは」「おなかを壊しそう」と思ってしまうのです。ミカンや餅などに付いているもののイメージですね。
実は青カビにはものすごい数の種類があります。少なめに数える専門家でも150種類にはなるそうです。
中には有用な青カビや食用にできる青カビもあるのです。たとえば、抗生物質のペニシリンも青カビから作られています。また、日本人になじみの深いものであれば、麹菌は比較的青カビに近い菌です。
もちろん、ブルーチーズには食用にできる青カビが使われています。
ブルーチーズに使われるの青カビは単に「食べてもいい」というだけではありません。青カビが作り出す成分によって、「がん細胞の増殖を抑制する」「抗酸化作用で細胞の老化を防ぐ」「細胞の活動を活性化させる」「動脈硬化など血管のトラブルを予防する」といった効果のあることがわかっています。
1-3.世界3大ブルーチーズ
なかなかイメージのわきにくいブルーチーズですが、意外にもすでに食べているかもしれません。
たとえば、イタリア産のゴルゴンゾーラはソースにしてパスタにかけるなど、イタリア料理ではふんだんに使われています。
フランス産のロックフォールはヒツジのミルクで作るブルーチーズです。ブルーチーズの中では比較的癖がありません。また、青カビによる健康への効果も高く、最近ではよくテレビや雑誌でも採り上げられています。
さらに、ねっとりとした食感と香ばしさが感じられるようなにおいで、食通に人気のあるのが、イギリス産のスティルトンです。
この3つを合わせて、「世界3大ブルーチーズ」と呼びます。
ほかには、ドイツのカンボゾラ、フランスのフルム・ダンベール、スペインのカブラレスなど、主にヨーロッパでそれぞれの気候や風土に合わせたブルーチーズが作られています。
2.スティルトンとは
スティルトンには白カビで作ったものもありますが、単にスティルトンといった場合、ほぼ青カビのものを指します。
イギリス中部の内陸地帯、ダービーシャー州、レスターシャー州、ノッティンガムシャー州で作られています。また、これら以外の土地で作ったものは、たとえ同じようなブルーチーズであっても、「スティルトン」の名前を使えません。
それ以外にも厳密な決まりがあります。
・原料は牛乳のみ。地元で搾乳され、低温殺菌されたものに限る。
・発酵・成型させる際に圧縮していない
・形は円筒形
……などです。もちろん、品質にも厳しいチェックが入っています。
断面の見た目は、ほかのブルーチーズ同様に、内部まで青カビが広がり、大理石のような模様になっています。これは、外の固くなった部分(外皮)から針を通し、そこから空気を入れているためです。この穴の周囲を中心に青カビが繁殖しています。
3.スティルトンの食べ方
3-1.最初はワインと一緒に
ブルーチーズ全般にいえることなのですが、かなり塩味が強いです。また、癖のあるブルーチーズの中でも、スティルトンはさらに強烈です。
一番最初の食べ方としては、ワインのおつまみをおすすめします。特にポルトガル産のポルト・ワインとの相性の良さは多くの人が認めるところです。
ワインと一緒に口に入れることで、癖がやや和らぎながらも、スティルトン独自の味も楽しめます。
3-2.キッシュやタルトで
キャッシュは生地を作った中に、野菜や肉を混ぜ、オーブンで焼く、フランスのアルザス=ロレーヌ地方の郷土料理です。
味の決め手はチーズです。一番上に載せたチーズがこんがりと焼きがります。これにスティルトンを使うのです。
また、タルトにしてもいいでしょう。こちらは料理というよりもケーキですね。これは生地に混ぜてもいいですし、一番上に載せて、焼いてもいいです。
あるいは、ドレッシングに混ぜて野菜サラダに使うのもおすすめです。癖の強いスティルトンだからこそ、いつもとはひと味違ったドレッシングができ上がります。
3-3.慣れてきたら
こういった使い方を繰り返しているうちに、「最初は慣れなかったが、癖になってきた。しばらく食べないとウズウズしてしまう」という人も出てくるでしょう。
そうなったら、スティルトン自体を楽しむようにしましょう。
ナッツやレーズンと一緒におやつにしてもいいでしょう。
あるいは、お酒のおつまみならば、スティック野菜と組み合わせるのもいいですね。セロリやブロッコリーなどそれ自体が味に癖のあるような野菜のほうが、スティルトンにはよく合います。
4.スティルトンの選び方
スティルトンと呼ぶためには、原料や製法、品質などが厳密に決められています。欧州連合(EU)のEU法が規定する原産地名称保護制度の対象にもなっています。
実際、スティルトンを生産する酪農会社は数社しかありません。
ですから、スティルトンとさえ名前がついていれば、それほど品質にはばらつきはありません。
とはいえ、せっかくですから、その中でも状態のいいものを選びたいですよね。
ほかのブルーチーズも同様ですが、次のような点をチェックします。
・全体にむらなく青カビが入っている
・断面の大理石模様が鮮やかで、肌合いもなめらか
・外側の茶色が濃すぎない
また、食べごろはあるのですが、なるべくならば輸入されて日がたっていないもののほうがハズレが少ないです。
もし、買ったものを食べ切ることができなかったら、冷凍庫で保管もできます。ラップで表面を覆った上に密閉できる容器に入れます。水分が飛ばないようにするのです。これで3ヶ月程度はOKです。
とはいえ、やはり、早めに食べたほうがおいしいです。
5.スティルトンを食べると変な夢を見る?
イギリスの古い言い伝えに、「チーズを食べると悪夢を見る(Cheese gives you nightmares)」というのがあるそうです。
そこで2005年、英国チーズ委員会(British Cheese Board)は、「チーズと夢の関係の詳細な調査(The in-depth Cheese & Dreams study)」を実施しました。
対象は200人で、「就寝前30分に20グラムのチーズを食べる」というものです。
この結果、「チーズを食べるとぐっすり眠れる」とわかり、この言い伝えは否定されました(と、英国チーズ委員会はいっている)。
と同時に、「チーズの種類によって影響が違う」とのデータも出ています。
スティルトンの場合は、「食べた女性のうち85パーセントが全く尋常ではない夢(the most unusual dreams)を見た」「男性の75パーセントが奇妙で鮮明な夢(odd and vivid dreams)を見た」となっています。
この話に少し尾ひれがついて、日本でもスティルトンのことを「食べると変な夢を見るチーズ」と面白おかしく呼ぶ人もいるようです。
調査自体がイギリス流ジョークの一種でしょう。あまりまじめに考えることはありません。それに、「スティルトンでも多くの人がぐっすり眠ることができた」ともなっていますので、心配しないでくださいね。
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