カフェイン中毒が急増中?! 種類症状チェックであなたは大丈夫?
「コーヒーを飲み過ぎると、体に悪い」などは、もう知っていますよね。もちろん、主な理由は「カフェインをとり過ぎ、中毒になる」です。ここまでならば、昔からある話です。
カフェイン中毒、実は最近になってより深刻になっています。というのは、「エナジードリンク」に代表されるようにカフェイン入りの飲み物の種類が増えていて、いずれも大人気なのです。
目次
1.なぜ、いまカフェイン中毒が問題か
一般社団法人・日本中毒学会は全国の100の施設と共同で『救急医療施設における急性カフェイン中毒の実態調査』を実施しました。対象の期間は2011年1月1日から15年12月31日の5年間です。
その結果は「カフェインが大量に含まれる眠気予防の薬や、ドリンクを飲んで、病院に急性カフェイン中毒で搬送された人が101人。うち亡くなった人は3人」でした。
「日本全国で5年間に約100人」です。中には「この程度の数字ならば、それほど騒ぐことはないだろうに」と考える人もいるかもしれません。
これはあくまで調査で判明した分だけです。カフェイン中毒を起こしたものの、調査対象以外の医療機関に運ばれたり、医者にかからなかった人はこの何倍もいるはずです。
2.カフェイン中毒が疑われる症状
「仕事や勉強をしなければいけないのに、眠気がじゃまをする」「朝起きたばかりのときに、気分をすっきりさせたい」「食後はどうしてもウトウトしてしまう」。そういったときに、強い味方になるのが、コーヒーや緑茶などのカフェイン入りの飲み物です。また、よりストレートに効果を求めてドリンク剤や錠剤を使う人もいます。
「気分がスッキリ」だけで済めばいいのですが、次のような症状が見られたら、急性カフェイン中毒を疑うようにしましょう。
・精神的なもの
軽度=不眠、落ち着きがなくなる、口数が多くなる、感覚過敏、焦燥感、不安
重症=幻覚、妄想、幻聴、パニック発作
・肉体的なもの
軽症=吐き気・嘔吐、胃痛、胸痛、不整脈・頻脈
重症=頭痛、震え、痙攣、歩行困難、瞳孔拡大
これら軽症と重症の区分けははっきりとしたものではありません。軽症として名前が挙がっているものでも、その程度がひどい場合には重症と考えていいでしょう。
すぐに対応・治療しなければいけないのは、これらの急性の中毒症状です。一方、毎日大量にカフェインを取り続けていると、慢性的な中毒症状になる場合もあります。
この場合には、離脱症状が見られます。つまり、しばらくカフェインをとらないでいると、どうしてもカフェインが欲しくなり、そのことで精神的・肉体的なトラブルが出るのです。
この場合は、不安、眠気、集中力低下、吐き気、疲労感などが代表的な症状です。また、仕事や運動の能力が落ちます。
3.カフェイン中毒になる可能性のある飲み物
3-1.カフェインの許容量
「どのくらいカフェインをとると危険か」は、もちろん個人差もあれば、その同じ人でもその時の体調による違いもあるでしょう。
日本独自のしっかりとした基準は、どうやらないようです。
今あるもっと公的はデータは、平成23年3月に内閣府食品安全員会が出した「ファクトシート 食品中のカフェイン」です。
この中で諸外国の対応を紹介しています。
・オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)
カフェインの作用のひとつである不安作用(anxiety)をもとに、3 ミリグラム/kg 体重/日を指標として設定した。この量は、子供(5-12 才)では一日約
95 ミリグラム、成人では一日約 210 ミリグラム に相当する。
・ニュージーランド食品安全庁(NZFSA)
健康な成人がカフェインを 400ミリグラム/日(体重 70 kg の成人の場合:5.7 ミリグラム/kg 体重/日)まで適度に摂取しても、健康への悪影響の可能性はないと公表しています。
・フィンランド食品安全局(EVIRA)
125 ミリグラム/日を超えると不安とイライラ感がみられた。 (略)成人では少量のカフェイン(体重 60 kg で 85 ミリグラム)で睡眠障害が生じる可能性がある。
・英国食品基準庁(FSA)
妊娠した女性に対して一日当たりのカフェイン摂取量を 200 ミリグラム(コーヒーをマグカップで 2 杯程度)、に制限するよう求めています。また、高濃度のカフェインは自然流産を引き起こす可能性があることを示す証拠がある、としています。
・カナダ保健省
カフェインに対する耐性は人によって著しく異なるため、健康に及ぼす影響を正確に評価することは非常に難しい。(略)健康な成人では、400 ミリグラム/日以内の摂取であれば副作用のリスクはないといえる。
・オーストリア保健・食品安全局(AGES)
カフェインについては、一日当たりの摂取量が 300 ミリグラム を超えないよう勧告しています
これらを無理にまとめてみると、健康な成人の場合で、300-400ミリグラム、妊婦で200ミリグラムあたりが、1日の上限と考えていいようです。
ただ以上は、主に急性のカフェイン中毒の話と考えていいでしょう。
毎日とり続けていると、これよりも少ない量で慢性カフェイン中毒になります。
3-2.カフェインが含まれている飲み物
「カフェイン」と聞くとだれでも思い出す飲み物はまずはコーヒーでしょう。ですが、それ以外にも身近な飲み物類に含まれています。また、飲み物とも限りません。
やはり同じ「ファクトシート 食品中のカフェイン」の中で、
コーヒー 60ミリグラム/100ミリリットル 【浸出方法:コーヒー粉末 10g/熱湯 150ミリリットル】
インスタントコーヒー 57ミリグラム/100ミリリットル 【浸出方法:インスタントコーヒー 2g/熱湯 140ミリリットル】
紅茶 30ミリグラム/100ミリリットル 【浸出方法:茶 5g/熱湯 360ミリリットル、1.5~4分】
せん茶 20ミリグラム/100ミリリットル 【浸出方法:茶 0 g/90℃ 430ミリリットル、1分】
と紹介されています。
「コーヒーならば、6、7杯が限度」ということですね。コーヒー以外に同じ日に紅茶や日本茶を飲むのならば、その分も考え、さらに減らす必要があるわけです。
ただ、この数字も要注意です。製品ごとの違いが無視されています。例えばインスタントコーヒーの中でも、カフェインの量はかなりの違いがあります。
また、一見同じような種類の飲み物でも、ちょっと違えば数字が跳ね上がるものがあります。よそでのデータですが、玉露は150ミリグラムです。ここに出ているせん茶の7.5倍ものカフェインが含まれています。
銘柄ごとに違うのは、缶コーヒーも同様です。一般的には100ミリリットルあたり、少なくて40ミリグラム、多くて90ミリグラムぐらいです。もちろん、カフェインの含有量が多くて、しかも一本あたりの量の多いものほど、1回で大量にとってしまうことになります。
ペットボトル入りの紅茶ならば、10ミリリットルから60ミリリットルと、缶コーヒーよりも少ないです。ただし、ペットボトル入りの紅茶はがぶ飲みする人も多いでしょう。むしろ缶コーヒーよりも注意したほうがいいです。
今特に、カフェイン中毒の危険性がいわれるのは、エネジードリンクが一般化したせいでしょう。配合されているカフェインの効果をストレートに求めて、エナジードリンクを選ぶ人が増えているのです。
代表的なもの2種類を挙げると、「モンスター アブソリュート ゼロ」(355ミリリットル)の場合で、100ミリリットルあたり40ミリグラムです。1本分で考えると、142ミリグラムです。「レッドブル」(250ミリリットル)で、100ミリリットルあたり32ミリグラムです。1本分ならば80ミリグラムです。
意外にも缶コーヒーとは大差がありません。ですが、エネジードリンクの中には「パンクラスエナジー」(250ミリリットル)のように、1本分で160ミリグラムも含んでいるようなものもあります。缶を開ける前に「今日はどれだけカフェインをとったか」を思い出すようにしたほうがいいでしょう。
また、風邪薬、解熱鎮痛剤、乗り物の酔い止めなども要注意です。これらの多くにもカフェインが含まれています。盲点になりがちです。
4.カフェイン中毒になったら
体内のカフェインを中和させたり、その作用をストレートに押さえるような薬などはありません。
ひたすら、尿などに混じってカフェインが排出されるのを待つことになります。
重症であれば、そうもいっておられません。ちゃんと病院へ行かなければいけません。それも必要ならば救急車を使いましょう。
カフェインが排出されるのを待つことでは、病院であっても変わりません。ですが、その症状に対してのケアをやってもらう必要があるのです。
例えば、まだ胃の中にカフェインを含んだ飲み物や錠剤があれば胃を洗浄します。呼吸困難ならば、酸素吸入もしなければいけません。
「それで死ぬこともある」ということは十分に覚えておきましょう。
慢性カフェイン中毒が疑われる場合、精神科に行くべきか、心療内科で診てもらうべきかなど、迷うところです。
まずは内科に行って相談しましょう。ほかの診療科での診察・治療の必要があれば、内科から紹介してもらうのがもっとも間違いがないはずです。
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