マンションの売りどきっていつがいい?失敗しない不動産売却のポイント
ここにきて急に、「今がマンションの売りどきだ」といった話が広がっています。ネット上もそうですし、雑誌などもそういった特集を組むようになってきています。
はたして本当にそうなのでしょうか?
簡単に「マンションの売りどき」といってしまいますが、実はこれには3つの別の「時」が含まれています。
社会情勢、築年数、季節です。
1.社会情勢
1-1.需要
雑誌などで売りどきの理由としてあげられていることが多いのはこれですね。
代表的なのは、「2020年には東京オリンピックがある。なので、新築マンションの需要が多い。そこからお客が流れて来て、中古マンションも人気が出た。値段も高くなっている」です。
もちろん、欲しい人が増えているわけですから、値段は上がります。この「欲しい人」はなにも日本人だけではありません。よくニュースになっていますが、中国人も投資の対象として新築マンションを物色しています。
この中国人投資家たちが好んで選ぶのは、タワーマンションと呼ばれるような高級マンションです。一般的な新築マンションや中古マンションもその値上がりに釣られます。
そういった意味でも、今マンションを持っている人には売るのに絶好のチャンスなのです。
逆にいえば、東京オリンピックが終わったあとが心配です。東京への注目がなくなり、人も流入するよりも流出する方が多くなるかもしれません。もう少し厳密にいえば、東京オリンピックが終わるよりも早くターニングポイントが来るかもしれません。
また、投資対象で買っていた人は、「この先値段が上がらない。それどころか下がりそうだ」となると、一気に売り出すことになります。「これで値段が下がり、さらに急いで手放す人が出てくる」となると、いわゆる「負のスパイラル」ということになります。
先のことは、なってみないとわかりませんが、警戒はしておく必要があります。
1-2.建築費
新築マンションやオリンピック関連の施設を作るとなると、建築資材も需要が多くなって、値段が上がっています。作業員も不足し、その人件費もアップしています。「建築費の高騰」ということですね。
その高騰した分は、新築マンションの価格に上積みするしかありません。つられて中古マンションの価格もアップしています。今の中古マンションの値段の高さにはこういった要素も影響しているのです。
東京オリンピックが終わったならば、やはり建築ラッシュも終わっているでしょう。建築資材・人件費も落ち着き、新築マンションの建築費&価格も下がり気味と考えるのが普通でしょう。
となると、需要による影響と同じように、「東京オリンピック前までは中古マンションも高い、それが終わるか終わるよりも早く値段が下がる可能性が高い」と考えておいたほうがよさそうです。
1-3.金利
今回は売る側ですが、買う人の都合も考えてみましょう。
新築であっても中古であっても、マンションを現金でぽんと買う人はほとんどいません。
となると、住宅ローン金利は無視できません。できるだけ安いほうがいいはずです。
実は、今は住宅ローン金利に限らず、歴史上でも珍しいぐらいの低金利です。「金利はこれより上がることはあっても、下がることはない」というのが一般的な見方です。
マンションを買いたい人は「今のうちに」と考えています。世の中一般の金利が上がり、住宅ローン金利も上がってしまうか、上がる気配でも見えたら、そこもまたターニングポイントになるかもしれません。新築マンション・中古マンションの買い人気にはマイナスになるのは間違いないです。
2.築年数
最も人気ある中古マンションは築5-10年のものです。
このぐらいならば、まだほとんど傷んでいませんし、デザインも古くはなっていません。「新築マンションにするか、中古マンションにするか迷っている」「新築マンションを考えているけども、中古マンションでもいいものがあったらそちらに」といった人たちも候補に入れてきます。
逆に築15-20年ともなると、不利な条件が積み重なってきます。
まず、痛みが目立ち始めます。部屋の中のキッチンや浴室などはもちろんのこと、外観、エントランス、エレベーター、廊下などのデザインも古臭くなっているでしょう。
見学に来た人はこれらで一気にドン引きしてしまいます。
また、古くなればなるほど高くなるのが維持費です。修理などの必要も増えてきますので、仕方のないところですよね。これは高級マンションほど、もともとの維持費も高く、維持費のアップは大きな負担になります。
こういったマンションに住んでいる人たちの中にも、「キッチンや浴室を改装しなければいけない。そこにお金をかけるぐらいならば、いっそのこと引っ越しをしよう」「管理の高さが負担だ」という人が出てきます。
ほかのマンションも同じ状況ですから、この築年数ともなると、競争相手が一気に増えるわけです。特に同じマンションの中で同時に何件か売りが出るようならば、いっそう値段を下げざるを得ません。
ですから、築年数での売りどきは、「できれば築10年、遅くても築15年」といったところです。特に20年を超えると「いい値段で売るのはかなり難しい」と考えたほうがいいでしょう。
3.季節
場所や物件によっては半年、1年待っても売れないこともあります。そういった場合には季節はあまり関係ありません。気にしなければいけないのは、ある程度コンスタントに需要がある場合です。
いわゆる引っ越しシーズンかその直前ぐらいが狙いめです。転勤・子どもの進学などに合わせて住み替えを考える人がいるのです。
欲しい人が多ければ、もちろんその分高い値段を設定もできます。また、売り出してすぐに買い手が着く可能性も高いでしょう。
逆にお盆やお正月の前後は、売り出すにはいい時期ではありません。引っ越しを考える人が少ない上に、物件の見学にも「暑い」「寒い」とおっくうになってしまいがちです。
売り出してからの時間がかかればかかるほど、どんどん値段を下げていくことになります。買い手がいないのならば、そうするしかないですよね。
「ひょっとしたら買う人がいるかも」と時期も考えずに売り出すのはやめたほうがいいです。見学に来る人も、「売り出してから何カ月たっているか」をチェックします。あまりに長いと、「人気がない物件なんだな」と、足元を見られ、値下げ交渉の口実も与えてしまうことになります。
もちろん、これらは都会やベッドタウンと呼ばれるようなところの話です。
今は少なくなりましたが、リゾートマンションであればまた違います。マリンスポーツやスキーなどのそれぞれのレジャーのシーズンを考え、その直前が狙いめです。
どちらであっても、「高く売れそうな時期に売りに出し、すぐに決めてしまう」というのが高く売るためのコツです。
4.同時に考えないといけない買いどき
「そのマンションを売って終わり」ならば、これでいいのですが、ほとんどの人は「次に住むところ」を考えなければいけません。住み替えということですね。
となると、買い時としても有利になるように考えなければいけません。いくら「高い値段で売れた。だけど、新しく買った方はそれ以上に割高だった」では全く意味がなくなってしまいます。
売った分の金額では資金が不足し、住宅ローンを組む場合もあるでしょう。住宅ローン金利の面では、今はおそらくはベストといっていいタイミングです。これは住み替え先が一戸建て住宅であれ、新築マンション・中古マンションでも同じです。
また、「どこからどこへの住み替えか」も時期や場所を間違うと、損をします。
先に見たように、今の中古マンションの人気・高値には東京オリンピックが大きく影響しています。
「東京オリンピックの影響がほとんどないようなところのマンションを売って、東京の中心部のマンションを買う」は考えものです。「安く売って、高く買う」になりそうです。
どうしても今、東京に住み替える必要があるのならば、仕方ありません。そうでないのならば、東京オリンピックが終わってからの住み替えを考えてみてもいいでしょう。
逆に「東京都心やその周辺のマンションを売り、東京オリンピックの影響がほとんどないところへ住み替えをする」というのならば、お得になる可能性は高いです。遠い場所ならばほとんどがこちらのパターンになりますし、東京郊外でもこれに当てはまるところはたくさんあります。
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