コンサータの副作用はどんなもの?ADHDの治療薬は子供には危険?
2016/08/04
目次
1.ADHDの難しさ
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状には、多動性・衝撃性・不注意などがあります。人付き合いに大きなマイナスになるものばかりです。
また、この病気(障害)自体が世間ではあまり理解されていません。これらの症状が病気によるものではなく、性格上の欠点と誤解されることもしばしばです。
そのせいで、いっそう周囲の人からは敬遠されがちです。
2.子供用だった3つの治療薬
診療科は精神科です。ただし、治療といっても、内容としては、社会に溶け込むための特別なトレーニングがほとんどでした。
長らく、治療薬はないとされてきました。かろうじて、リタリンが小児用(18歳未満)に限定され、一部で使われていた程度です。
そんな中、2008年にようやく承認された治療薬がコンサータです。それも最初は小児用限定でした。大人用としても承認されたのは、まだ2013年のことです。
あとはストラテラです。こちらは小児用としては2009年、大人用としては2012年に承認されています。
今でも承認されているADHD治療薬はこれら2種類だけです。
3.コンサータの副作用
コンサータもストラテラもドーパミン、ノルアドレナリンといった情報伝達物質が実際に働く量を増やします。これで脳細胞や神経細胞の中の情報伝達をスムーズにします。
ストラテラの場合、効果が実感できるまでに約1か月かかるとされています。そのため、まずは即効性のあるコンサータから処方されるのが一般的です。
ただ、コンサータやほかの薬を使っても症状を抑えるだけで、ADHD自体は治りません。また、薬以外にも完治させる方法もありませんし、自然と治るようなものでもありません。
つまり、よほど医学が進歩して、画期的な治療方法が登場しない限り、長く使い続けることになります。
ところが、コンサータの副作用は強めで、習慣性・依存性もあります。
3-1.コンサータの副作用の種類
実は医薬品メーカー側で「すぐに処方医に連絡する副作用」としてピックアップしている症状は、全部で約100もあります。
これには、中耳炎、抜け毛、ドライアイ、関節痛など、素人には一見無関係に思えるものまで含まれています。
ですから、「精神面であれ、身体面であれ、何らかの変化があったら、とにもかくにも主治医に報告する。副作用かどうかは、自分で判断しない」ぐらいに考えておいたほうがいいでしょう。
比較的多く見られる、というものだけでも、次のような副作用があります。
・食欲減退
=食欲が減るという変化は「服用者の約4割に見られる」というデータもあります。また、これに伴い体重の減少もあります。
子供の副作用は放置しておくと、成長障害につながりますので、特に注意が必要です
・睡眠障害
=全体の約2割で寝付きが悪くなっています。また、夜中に目が覚めることも多いようです。
・動悸・頻脈
=これも約2割いるとされます。不整脈、血圧変動という形で出る場合もあります。
・精神障害
=不安が高まったり、簡単に興奮したりといった状況をいいます。幻覚が見えたり、妄想に走ったりもします。
・頭痛
これら以外では、吐き気・嘔吐、腹痛、便秘、幻覚、発熱などです。
また、特に服用を始めてから1~2週間は、次のような症状に要注意です(初期症状)。これらの症状が出ること自体は、多くはありません。ですが、深刻な結果になりがちです。
・狭心症
=胸が苦しい・痛い、違和感がある。
・脳卒中
=言葉が出にくい。ものが二重に見える。めまい、フラつき、強烈な頭痛、意識が薄れる。
・重度の皮膚のトラブル
=口の中や目などの粘膜がただれる。発疹、水ぶくれ、化膿。痛み、かゆみ。目の充血。
・重度の肝臓のトラブル
=発熱、発信、吐き気・嘔吐、食欲不振、倦怠感。皮膚や白目が黄変(黄色くなる)。小便の色が異常に濃い。
これら以外では、体の硬直、嚥下障害(ものが呑み込めない)、震え・痙攣、意識障害なども初期症状として警戒する必要があります。
即座に医師の判断を求めるようにしましょう。
3-2.一緒に使うと副作用が出やすい薬
いわゆる、のみ合わせの悪い薬というのがあります。
治療を受ける際に、医師から「今使っている薬はありますか」と聞かれるはずです。ですが、念のため自分でも把握しておきましょう。
特に問題になるのは、パーキンソン病の治療に使われるセレギリン(エフピー、MAO阻害剤)です。これは、まったく併用できません。高血圧になる可能性があります。
また、全く使えないわけではないが、併用する場合に特別な注意が必要なものは以下のとおりです。
・中枢性α2刺激薬(クロニジン塩酸塩)
=突然死の症例があります。
・アトモキセチン塩酸塩
=コンサータの効き目が強まってしまいます。
・その他
昇圧薬、クマリン系抗凝血薬(ワルファリンなど)、抗けいれん薬(フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドンなど)、三環系抗うつ薬(イミプラミン塩酸塩など)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンなど)
=それぞれの薬の効きめが強くなり過ぎる場合があります。
また、薬ではありませんが、アルコール類も要注意です。アトモキセチン塩酸塩と同じく、コンサータが効きすぎる可能性があります。
4.コンサータが使えない人・注意が必要な人
コンサータはたった2種類しかないADHDの治療薬です。ですが、使えない人、使うのには特別な注意が必要な人がいます。
4-1.服用してはいけない人
・過度の不安・緊張・興奮性がある人。
・緑内障、甲状腺機能亢進、不整頻拍、狭心症の患者・治療中の人。
・運動性チック、重症うつ病、褐色細胞腫の患者・治療中の人。
・メチルフェニデート(コンサータの有効成分)配合の薬で、アレルギー症状の経験のある人。
・モノアミン酸化酵素阻害薬を服用中、または中止後14日以内の人。
4-2.服用に慎重になる必要のある人
・てんかん患者、またはその病歴のある人。
・高血圧・心不全・心筋梗塞など心臓関連の患者、またはその病歴のある人。
・脳動脈瘤,血管炎,脳卒中など脳血管障害の患者、またはその病歴のある人。
・統合失調症,精神病 性障害,双極性障害などの精神系疾患の患者、その病歴のある人。
・薬物依存またはアルコール中毒の患者、その病歴のある人。
・心臓に構造的な異常またはほかの重大な問題のある人。
・重い消化管狭窄(食道、胃、小腸、大腸などが狭くなっている)のある人。
・高齢者、妊産婦、授乳中の人、6歳未満の幼児。
5.副作用が出たらどうすればいい?
コンサータを服用し、その副作用が出たように思っても、自分の判断で使用を中止したり、服用する量を減らしてはいけません。
そもそもその症状が副作用によるものかどうかもわかりません。
疑わしいと思ったのならば、服用をやめる前に、まずは医師に相談しましょう。
急にやめることでのトラブルがあります。コンサータの場合は、依存性が高い薬なので、特にそのトラブルが大きくなりがちです。
よくあるのは強い眠気です。幻覚まで見えることもあります。
もし、副作用と診断され、それを解決する必要がある場合には、徐々に服用量を減らしていくのが一般的です。「どのくらい減らすか」「代わりの薬をどうするか」はもちろん、医師が判断することです。
ただし、先に挙げた初期症状が出た場合は、この限りではありません。まずは、服用をストップし、即座に医師の診断を受けなければいけません。
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