認定看護師の基礎知識。21個の資格。


看護士

看護師としてステップアップを考えている人に人気が高いのが認定看護師です。

①今の一般的な看護師の仕事では飽きたらない。

②もっと深く看護や医療のことを知りたい。

③もっと、給料がたくさん欲しい

……というのであれば、「認定看護師」になることも考えてみましょう。

1.認定看護師とは

認定看護師とは、「日本看護協会の認定審査に合格し、ある特定の看護分野に置いて、熟練した看護技術と知識を有することが認められた者」と定義されています。

つまり、「あれもこれもではなく、看護の特定のジャンルの中でのスペシャリスト」というように考えておけばいいでしょう。

1997年6月に始まっています。

最初は「救急看護」と「皮膚・排泄ケア」の二つだけでした。現在は、21あります。今後もっと増える可能性は十分にあります。

21ジャンル。

「救急看護」「皮膚・排泄ケア」「集中ケア」「緩和ケア」「がん化学療法看護」「がん性疼痛看護」「訪問看護」「感染管理」「糖尿病看護」「不妊症看護」「新生児集中ケア」「透析看護」「手術看護」「乳がん看護」「摂食・嚥下障害看護」「小児救急看護」「認知症看護」「脳卒中リハビリテーション看護」「がん放射線療法看護」「慢性呼吸器疾患看護」「慢性心不全看護」

 

すでに看護師として働いている人の多くは、これらのうちのどれかにはすでにかかわっているでしょう。今の職場で一生懸命やっていれば、「ベテラン」とは呼ばれるようになるかも知れません。ですが、認定看護師というスペシャリストとなるのは、また別の道なのです。

もし、「なってみようかな」と思うのならば、知っておかなければならないのは……

①認定看護師と一般の看護師の仕事内容の違い

②認定看護師になるには、どうすればいいか

③認定看護師になれば、どんないいことがあるか

……3つでしょう。

2.一般の看護師との違い

・個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。

・看護実践を通して看護職に対し指導を行う。

・看護職に対しコンサルテーションを行う。

……となっています。つまり、「自分自身がレベルの高い看護をするだけではなく、ほかの看護師の先生役やリーダー役にもなる」ということです。

3.認定看護師になるには

条件

A.保健師、助産婦、看護師の免許を持っていること。

B.実務研修5年以上、そのうち3年以上は認定されようとする分野での実務研修。

C.認定看護師教育機関での6か月・615時間以上の過程を終了。

……となっています。

Aは問題ないでしょう。

Bは特に意識しないでも条件を満たしている人もいるでしょう。そうでなければ、病院内での配属先を調整してもらう必要も出てきます。

仕事をやめないで準備するのならば、Cも病院側の協力が必要です。この「教育機関」には通信教育はありません。授業も日中だけです。通学のために、勤務を外してもらうような必要も出てくるでしょう。

これらを全部クリアした上で、テストを受けます。これに受かって初めて、認定看護師となれます。ハッキリいって、ハードルは高いです。

4.認定看護師のメリット

どういった病院に勤めるかで、変わってきます。

認定看護師を必要としていない病院だと、メリットはないと考えていいでしょう。「せっかくの資格や、身につけたスキル・知識を生かす機会もない」なんてことも現実にあります。

必要としている病院であれば、「重要な仕事を任される」「一般の看護師に対して、一段上のポスト(役職)が与えられる」といったメリットがあります。

そして、その認定看護師の資格そのものや、任される仕事が重要になるために、手当が出され、給料がアップします。

「看護師としてのやりがいも、給料もアップする」と期待していいでしょう。

 

5.資格を取る注意点

ですが、もし、認定看護師に興味があるのならば、この21のジャンルの勉強を始めておくのが確実です。

というのは、認定看護師の試験が受けられる条件に「看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)」とあるからです。

つまり、「看護師として実際に経験していないジャンルはNG」ということです。この年数に足りないのならば、そういったところに転職したり、病院内部で済む場合でも、異動させてもらう必要があります。

今ある21のジャンル

分野名・知識と技術(一部)

救急看護
・救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・災害時における急性期の医療ニーズに対するケア
・危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援

皮膚・排泄ケア
・褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
・患者・家族の自己管理およびセルフケア支援

集中ケア
・生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
・廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施(体位調整、摂食嚥下訓練等)

緩和ケア
・疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫など
の苦痛症状の緩和
・患者・家族への喪失と悲嘆のケア

がん化学療法看護
・がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
・副作用症状の緩和およびセルフケア支援

がん性疼痛看護
・痛みの総合的な評価と個別的ケア
・薬剤の適切な使用および疼痛緩和

訪問看護
・在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理

感染管理
・医療関連感染サーベイランスの実践
・各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築
糖尿病看護
・血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援

不妊症看護
・生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援
新生児集中ケア
・ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
・生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援

透析看護
・安全かつ安楽な透析治療の管理
・長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援

手術看護
・手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
・周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践

乳がん看護
・集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
・ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援

摂食・嚥下障害看護
・摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防
・適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施

小児救急看護
・救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護

認知症看護
・認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築
・行動心理症状の緩和・予防

脳卒中リハビリテーション看護
・脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア
・活動性維持・促進のための早期リハビリテーション
・急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援

がん放射線療法看護
・がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
・安全・安楽な治療環境の提供
慢性呼吸器疾患看護
・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理
・呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施
・急性増悪予防のためのセルフケア支援

慢性心不全看護
・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じ
た生活調整及びセルフケア支援
・心不全増悪因子の評価およびモニタリング

精神科認定看護師

また、こういった内容は時々見直しがされることがあります。実際に「認定看護師になってみよう」と思うならば、時々はチェックしておいたほうがいいでしょう。

 

認定看護師、専門看護師の転職のポイント。~要資格の求人は多い? 資格があると給料はアップする?


コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ