アンギオ室(血管造影室)で働く看護師の業務内容・役割


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看護師が配属される先には、広く浅く知識とスキルを求められるようなところもあります。小児科はその代表例です。

逆に高度な専門性が必要なところあります。「血管造影室」はそのひとつです。

1.アンギオ検査の目的

別名を「アンギオ室」と言います。

アンギオとは正確には、英語の「angiography(アンギオ・グラフィー)」のことです。ギリシャ語の「angeion」(血管)と「graphein」(記述、記録)が合わさってできています。

これらの言葉からわかるように、「アンギオ検査」「血管造影検査」とは、

血管などの体内の器官を見えるように工夫し、それを記録に残す

作業のことをいいます。それを担当する部署が、「アンギオ室」「血管造影室」です。

実際の方法は、血管の中に「造影剤」を入れ、その経路をX線(レントゲン)で撮影します。

造影剤はX線を通さないものが使われていますので、血管の形がくっきりと写しだされます。

これで、体内での血管の走り具合、形、分布の仕方がわかります。

検査で何が見つかる?

このアンギオ検査で発見することのできる病気や障害には、次のようなものがあります。

・脳=血管障害(動脈瘤、血管腫、脳梗塞、くも膜下出血、脳動静脈奇形、硬膜内血腫、硬膜外血腫など)、脳腫瘍、外傷による頭部内の損傷

・肺=肺がん、肺梗塞、気管支疾患、縦隔腫瘍

・内蔵=肝硬変、肝腫瘍、門脈圧亢進症、膵腫瘍、泌尿器系腫瘍、子宮がん、骨腫瘍、腎臓腫瘍

・手脚=四肢血管狭窄、閉塞性動脈硬化

2.アンギオ室(血管造影室)で働く看護師の業務内容

2-1.アンギオの手順

このように対象となる病気や障害が多いだけに、検査方法も様々です。

ただ、基本となる部分は同じです。どの場合でも共通する作業としては、次のようなものです。

①手や脚など太い動脈のあるところに、局所麻酔をし、そこの皮膚を小さく切り開く。

②ここからカテーテル(管)を入れ、血管の中を通す。

この際に、カテーテルでは硬さが足りないので、ワイヤを導線として使う。

③脳や心臓など目的の場所に達したら、カテーテルを通して、造影剤を流し込む。

④X線撮影を行う。

カテーテルを入れる部位は、検査する部位がたとえ脳であっても、手や脚が使われます。脚からならば、体の主要部分を縦断することになります。

2-2.IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)

また、最近増えているのが、IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)です。

アンギオのもともとの目的は検査です。そこから一歩進んで、血管に通したカテーテルを使って、そのまま治療まで行うのがIVRです。

この場合も画像撮影にはX線が使われます。違いはといえば、リアルタイムで写しだされることです。医師はそれで確認しながら、血管を広げたり、逆に血管を閉鎖したりします。

このIVRが開発されたおかげで、いくつかの病気はメスを使った手術をせずに治療をすることが可能になりました。

具体的には、動脈瘤、動静脈奇形、肝臓がんなどがあります。

2-3.チーム制で働く

もちろん、単なる検査の場合も、IVRの場合も、医師、放射線技師、臨床工学技士などがチームを組んで治療に当たります。

この顔ぶれは病院ごとに多少の違いがあります。医師にしても必ず二人以上が加わるところもあれば、一人だけのところもあります。

カテーテルの挿入は医師がやります。アンギオの機器やそれに関連する装置の操作は、放射線技師や臨床工学技士です。

3.アンギオ室担当看護師の役割

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この医療チームの中で、看護師さんが担当する役割は、おおよそのところは次のとおりです。

3-1.事前の準備

・患者さんへの検査内容の説明

・バイタル検査

・穿刺部位(カテーテルを入れる場所)によっては、剃毛

・患者さんの持病やアレルギーの確認

・救急カート(急変時用の備品)の点検

3-2.カテーテル挿入中

・血圧計、心電図モニターなどのチェック

・痛みや吐き気など患者さんへの対応

・機器の受け渡しなど医師らへのサポート

・患者さんの様子などの記録

3-3.検査後

・バイタル検査

・カテーテル抜去部分の腫れ、変色、痛み、内出血などの確認

・縫合部の出血の有無の確認

・止血バンドの圧迫状態の確認

「事前の準備」にかんして、ほかの診療科や配属部署と特に異なるのは、「検査内容の説明」でしょう。簡単に済ませるわけには行きません。

「造影剤」という異物を体の中に入れ、しかも血管に管(カテーテル)が入り、体を半分通り抜けます。患者さんの不安はとても大きいです。

さらに、カテーテル挿入中は、体が熱を持ったように感じます。また、ほとんど体を動かすことができません。患者さんの苦痛も大きいです。

患者さんにはしっかりと検査の目的を理解してもらい、リスクについても納得してもらう必要があります。

3-4.トラブルも身近

3-4-1.偶発症

実際に、急変やトラブルの危険性が常にあるのが、この「アンギオ」です。こういったトラブルは、ちょっとした手違いで起きるため、「偶発症」と呼ばれます。

偶発症として考えられるのは、血管の穿孔、出血、(造影剤の影響による)ショック症状、血栓症、血管内膜剥離、穿刺部末梢動脈の循環障害などなど無数にあります。

カテーテル挿入中だけではなく、検査後も、患者さんに異変がないか細心の観察が必要です。

また、患者さんだけではなく、医師や検査技師、看護師さん側にも、リスクが高いのも忘れてはいけません。

患者さんの体内に異物を挿入し、出血もするため、患者さん側、医師らスタッフ側の両方に感染症の危険性があのです。

3-4-2.X線

アンギオ室では必ず使うX線にも要注意です。X線機器から距離をおく、遮蔽する、使用する場所での滞在時間は短くするといったことが必要です。

そうしないと、医師、看護師らスタッフが被曝する危険性もあります。

これらの防止・防護は、病院全体では対策が採られているはずです。ですが、現場でそれらがちゃんと実行されるように、看護師さんは気を配らなければなりません。

3-4-3.検査後

「検査後」もなかなか簡単には終わりません。

患者さんは数時間は安静にしている必要があります。

この際にも、患者さんには痛みが残っていたり、取れる姿勢が制限されていたり、といったことがあります。

このケアを担当するのは、もちろん看護師さんです。

また、カテーテル挿入の際のトラブルがこの時に発覚するような場合もあります。「偶発症の可能性はまだ続いている」ということです。

3-4-4.造影剤の排出

検査後にもう一つ大事なのが、「造影剤の排出」です。

血管用の造影剤の材料は、海藻や魚介類にも含まれているヨードです。「副作用が少ない」とされていますが、長時間体の中に残していいようなものではありません。

血管から入れた造影剤は、尿に混じって排出されます。

これが順調にいっているかどうか確認し、また、順調にいくように患者さんを手助けしなければなりません。

排出される量は、尿の量と尿比重で推定します。造影剤が混じっていると、比重が増すのです。

この尿比重が通常値になるまで、水を多めに飲んでもらったり、輸液(点滴)の量を増やしたりします。

4.まとめ

全体を通していえることは、アンギオは患者さんにとってとても負担の大きいものです。さっきまで大丈夫と思っていても、患者さんの様子が急変することがあります。看護師さんには臨機応変に動く必要も出てきます。

それらのことから、アンギオ室の経験が長い看護師さんたちが口をそろえていうには、「一にも二にも、患者さんの観察が大事」です。

また、IVRに代表されるように、最先端の医療がどんどん入ってきています。看護師さんにも、それについていくための勉強が常に必要です。


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